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書類の書き方

被扶養者調書兼異動届の書き方(記入例あり)

被扶養者調書兼異動届とは、全国健康保険協会が実施する被扶養者資格の再確認時に被扶養者認定を解除すべき方がいる場合に提出する書類です。

今回は、この被扶養者調書兼異動届がどのようなものであるのかについて、また、記入例とともに書き方のポイントなどについて解説します。

被扶養者調書兼異動届とは

まずは、被扶養者調書兼異動届がどのようなものであるのかについて説明します。

被扶養者認定を解除するための書類

全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)では、毎年、被扶養者として認定されている方が引き続きその要件を満たしているかを再確認するため、加入事業所に被扶養者状況リストを送付しています。

加入事業所はこの再確認結果を被扶養者状況リストに記入して返送しなければなりませんが、この際、被扶養者認定を解除すべき方がいる場合に提出する書類が被扶養者調書兼異動届です。

※健康保険組合も加入事業所に対して毎年、同様の再確認を行っていますが、この記事では協会けんぽに加入している事業所での手続きについて説明しています。

なお、被扶養者状況リストの概要や書き方などについては、以下の記事で詳しく解説しています。

>被扶養者状況リストの書き方(記入例あり)

被扶養者(異動)届との違い

被扶養者調書兼異動届に似た届出書類として「被扶養者(異動)届」があります。こちらは、被扶養者認定を解除する場合のほか、被扶養者を追加する場合や被扶養者に氏名変更などがあった場合に、随時、年金事務所または事務センターに提出するものです。

一方、被扶養者調書兼異動届は、協会けんぽの被扶養者資格の再確認時に被扶養者状況リストとあわせて提出するもので、被扶養者認定の解除だけにしか対応していません。

被扶養者資格の再確認時に被扶養者の追加や被扶養者の氏名変更などがある場合には、別途、「被扶養者(異動)届」を提出しなければなりません。

被扶養者調書兼異動届の記入例・記入のポイント

被扶養者調書兼異動届の記入例と記入のポイントは次のとおりです。

記入例

被扶養者調書兼異動届は、次のように1枚で被保険者(従業員)1人分の被扶養者認定の解除について記入(1枚で配偶者1名、その他3名まで)するようになっています。

被扶養者調書兼異動届の記入例

この被扶養者調書兼異動届の様式は協会けんぽから送られてきますが、足りない場合や書き損じた場合には、協会けんぽのホームページからダウンロードすることもできます。また、被扶養者状況リスト専用ダイヤル(0570-057-150)に連絡すれば必要部数を送ってくれます。

記入のポイント

被扶養者調書兼異動届の記入方法は様式の裏面に書かれていますが、主なポイントは次のとおりです。

①「事業所整理記号」とは、事業所ごとに付与されている数字とカタカナなどの組み合わせのことですが、被扶養者状況リストの上部にも「事業所整理記号(年金)」として印字されていますのでこれを記入します。

②事業所の情報を記入し、事業主印を押します。事業主本人が署名した場合には押印は省略できます。

③「被保険者整理番号」とは、被保険者(従業員)ごとに加入手続きを行った順に付与される通し番号のことですが、扶養者状況リストの左端に印字されていますのでこれを記入します。

④被扶養者認定を解除する方がいる被保険者(従業員)の情報を記入します。被保険者(従業員)本人が署名した場合には押印は省略できます。

⑤被扶養者認定を解除する方が配偶者である場合に記入します。

⑥被扶養者認定を解除する理由に応じて次の日付を記入するとともに、右の欄の該当する理由に〇を付けます。

  • 死亡…死亡日の翌日
  • 離婚…離婚年月日
  • 就職(その会社の社会保険に加入)…就職年月日
  • 収入増加(年収が130万円以上になるなど)…事実発生日(不明な場合は申告日)
  • 75歳到達(後期高齢者医療制度に加入)…75歳の誕生日
  • 障害認定(年金+その他の年収が180万円以上)…該当日
  • 海外特例要件(※)非該当…事実発生日(令和2年4月1日時点で非該当の場合は令和2年4月1日)
  • その他の理由で被扶養者要件を満たさない場合…事実発生日(不明な場合は申告日)

※「海外特例要件」とは、海外に在住している(国内に住民票がない)場合でも被扶養者として認められるための要件のことで、海外に在住する目的が留学や観光、ボランティア活動など一時的な渡航であることなどの要件があります。

⑦被扶養者認定を解除する方の被保険者証の状況について次のいずれかに〇を付けます。

  • 添付(被扶養者調書兼異動届に被保険者証を添付する場合)
  • 滅失(被保険者証を紛失した場合)
  • 返不能(被保険者証の回収ができなかった場合)

なお、「滅失」または「返不能」に〇を付けて提出する場合には、「健康保険被保険者証回収不能届」(協会けんぽのホームページからダウンロード可)を添付する必要があります。

また、あとで被保険者証が見つかった場合にはその被保険者証は協会けんぽに返却しなければなりません。

⑧被扶養者認定を解除する方が配偶者以外である場合に記入します。

⑨被扶養者認定を解除する理由が「75歳到達」または「障害認定」である場合には、住民票上の住所を記入します。

被扶養者調書兼異動届の提出方法・提出期限

繰り返しになりますが、被扶養者調書兼異動届は被扶養者状況リストとあわせて提出するものですので、提出方法、提出期限は次のとおり被扶養者状況リストに準じます。

提出方法

被扶養者調書兼異動届は、被扶養者状況リストやその他必要に応じて提出する「被扶養者現況申立書」、添付書類とあわせて、協会けんぽから送られてきた返信用封筒に入れて郵送で提出します。

なお、この返信用封筒で郵送できるのは、被扶養者資格の再確認として提出が求められている上記の書類に限られています。別途作成した「被扶養者(異動)届」などを同封しないように注意してください。

提出期限

令和2年度の被扶養者状況リストや被扶養者調書兼異動届などの提出期限は、11月30日(月曜日)です。

まとめ

被扶養者調書兼異動届は、被扶養者資格の再確認を行った結果、被扶養者認定を解除すべき方がいる場合にのみ記入、提出が必要になるものです。

「被扶養者(異動)届」と似ていますが、あくまで被扶養者認定を解除するためだけのものであり、被扶養者の追加や被扶養者の氏名変更などをあわせて届け出ることはできませんので注意してください。