福利厚生とは?新たな福利厚生を導入するメリット・デメリットや注意点
最近、会社独自の福利厚生を導入しているところが増えています。
従業員のニーズにマッチする福利厚生を導入することで、従業員の会社に対する満足度や定着率の向上、会社のイメージアップなどが期待できます。
この記事では、そもそも福利厚生とはどのようなものなのか、また、新たな福利厚生を導入するメリット・デメリット、導入する際の注意点などについて解説します。
福利厚生とは?
福利厚生とは、一般的に会社が従業員やその家族の健康を向上させるため、また、従業員がより働きやすい環境を整えるための制度のことを言います。
福利厚生には、法令で定められている「法定福利厚生」と会社が独自に導入する「法定外福利厚生」があります。
法定福利厚生
法定福利厚生とは、法令で定められている福利厚生のことで、健康保険・介護保険、厚生年金保険、労災保険・雇用保険などのいわゆる社会保険・労働保険、また、子ども・子育て拠出金などを指します。
なお、上記の社会保険・労働保険の保険料、子ども・子育て拠出金の会社と従業員の負担割合は以下の通りです。
健康保険・介護保険、厚生年金保険の保険料 | 会社と従業員とで折半 |
雇用保険の保険料 | 会社が約6割、従業員が約4割を負担(事業の種類によって多少異なる) |
労災保険の保険料と子ども・子育て拠出金 | 会社が全額を負担 |
法定外福利厚生
法定外福利厚生とは、法令では定められていないものの会社が独自に導入する福利厚生のことを言います。
例えば、給料に加算される手当としては、通勤手当や住宅手当、扶養手当などがあります。
その他には、結婚祝い金や出産祝い金、慶弔見舞金、資格取得に必要な費用の補助、保養施設などの割引サービス、持ち株制度などがあります。
なお、最近、福利厚生代行業者が提供する「カフェテリアプラン」や「パッケージプラン」と呼ばれるプランで、様々なメニュー(レジャー施設やスポーツ施設の費用補助、人間ドックの費用補助、介護や育児サービスの費用補助など)の中から従業員が選択して利用できるようなものも注目されています。
福利厚生を導入するメリット・デメリット
新たな法定外福利厚生を導入する会社側のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
会社側のメリットとしては、必ず効果が出るわけではありませんが、主に次のようなことが挙げられます。
- 既存従業員の定着率が向上(離職率が低下)する。
- より優秀な人材を採用できるようになる。
- 会社のイメージアップになる。
デメリット
会社側のデメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- コストが増える。
- 総務などの福利厚生担当者の業務が増える。
- 十分検討したうえで導入したとしても良い効果が出ない場合もある。
福利厚生を導入する際の注意点
新たな法定外福利厚生を導入する際の主な注意点は次のとおりです。
従業員が求めている福利厚生を把握する
従業員が求めている福利厚生は、当然ながら会社によって異なりますし、従業員ごとでも異なります。他社(特に大企業)が導入している目新しい福利厚生をそのまま導入したとしても、自社の従業員には歓迎されない可能性もあるでしょう。
こうしたミスマッチを防ぐため、導入する福利厚生は、経営幹部や管理部門だけで決定するのではなく、まずは全従業員にアンケート調査などを行って実際に従業員がどのような福利厚生を求めているのかを把握することが重要です。
このアンケート調査の調査票には、あらかじめ会社で導入が可能と考えられるいくつかの福利厚生と「その他」(これを選択する場合には具体的に記入してもらう。)を記載しておき、その中から選択してもらうようにしておけば、ある程度は希望する福利厚生のバラツキを防げるでしょう。
導入する福利厚生を従業員に周知する
上記のアンケート調査の結果を踏まえて導入する福利厚生を決定し、その準備が整えば、従業員にその内容や利用方法などについて周知する必要があります。
(導入する福利厚生が決定すれば、原則として就業規則や社内規程においてその内容を規定する必要がありますのでそのあたりも漏れのないようにしてください。)
特に、導入する福利厚生が給料に加算される新規の手当などではなく、利用するにあたって従業員からの申請手続きなどが必要なもの(例えば、スポーツ施設の費用補助など)である場合には、その内容や利用方法などについて詳細に周知しておかなければ、利用率もそれほど上がらないでしょうし、導入した効果も薄れることになりますので必ず事細かに周知するようにしてください。
必要に応じてその内容を見直す
新たに福利厚生を導入した場合、導入してそれで終わりではありません。上記で説明したとおり、導入した福利厚生を利用するにあたって従業員からの申請手続きなどが必要なものである場合にその内容や利用方法などについて詳細に周知しておけば、その福利厚生が従業員に求められていたものである限り、一般的には多くの従業員が利用するでしょう。
しかしながら、何かしらの要因(例えば、期待していた内容ではなかった、また、申請手続きが煩雑であるなど)によりあまり利用されないこともあります。
このため、当面は定期的に利用率などを確認し、もし、利用率が低いようであれば、その福利厚生の内容や利用方法を見直すことも必要になります。
まとめ
従業員が求めている福利厚生を導入することで、コストはかかりますが、既存従業員の定着率向上や優秀な人材の採用、また、会社のイメージアップにつながる可能性があります。
最近の求職者、特に新卒者は、入社を希望する会社として給与額の高さだけでなく、福利厚生の充実も求めている傾向にあります。今後は少子高齢化によりさらに人材不足になっていくことを考えると、会社としては業務効率化を進めて給与額を上げること、また、福利厚生も充実させていくことが求められるでしょう。