「特定求職者雇用開発助成金」で組織のダイバーシティ化&助成金獲得を!
あらゆる業界が深刻な人手不足に陥るなか、高年齢者や障害者などの多様な人材を積極的に活用する「ダイバーシティ」が長らく注目を集めています。経営資源に乏しい中小企業にとって、ダイバーシティは企業の存続・成長に好影響をもたらす施策のひとつです。
実は、中小企業をはじめとした組織のダイバーシティ化を後押しする助成金があります。
それが「特定求職者雇用開発助成金」です。
今回は、この助成金制度について、わかりやすく説明していきます。
特定求職者雇用開発助成金とは
特定求職者雇用開発助成金は、厚生労働省が行う助成金制度です。以下の全7コースで構成されています。
- 特定就職困難者コース
- 生涯現役コース
- 被災者雇用開発コース
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
- 安定雇用実現コース
- 生活保護受給者等雇用開発コース
- 障害者初回雇用コース
上記のコースのうち、障害者初回雇用コースを除く6つのコースは、ハローワーク等の紹介で対象の労働者を雇用すると、賃金相当額の一部を助成金として受給できます。
なお、障害者初回雇用コースは、常用労働者数45.5~300人の中小企業が障害者を初めて雇用し、一定の要件(法定雇用率の達成など)を満たした場合に、120万円の助成金が受給できるものです。
当記事では、ハローワーク等の紹介で雇用した場合に助成金がもらえる6つのコースを中心に説明します。
コース別対象労働者および受給額
特定求職者雇用開発助成金は、それぞれのコースによって対象となる労働者や受給額が異なります。
また、助成金を受給するには、ハローワーク等の紹介により雇用し、さらに継続して雇用することが確実であると認められる必要があるなど、要件が設定されています。
※受給額、助成対象期間、受給対象期ごとの受給額は、中小企業のものを記載しております。大企業も助成金を受給できますが、中小企業と比べて額は低くなります。
特定就職困難者コース
■対象労働者
- 母子家庭の母
- 60歳以上64歳未満の高年齢者
- 障害者
■受給額
・1週間の所定労働時間が30時間以上の者
対象労働者 | 受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
母子家庭の母、高年齢者 | 60万円 | 1年 | 30万円×2期 |
重度障害者等を除く身体・知的障害者 | 120万円 | 2年 | 30万円×4期 |
重度障害者等 | 240万円 | 3年 | 40万円×6期 |
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者(短時間労働者)
対象労働者 | 受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
母子家庭の母、高年齢者 | 40万円 | 1年 | 20万円×2期 |
重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 | 80万円 | 2年 | 20万円×4期 |
生涯現役コース
■対象労働者
・65歳以上の高年齢者
■受給額
・1週間の所定労働時間が30時間以上の者
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
70万円 | 1年 | 35万円×2期 |
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者(短時間労働者)
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
50万円 | 1年 | 25万円×2期 |
被災者雇用開発コース
■対象労働者
・東日本大震災による被災離職者、被災地求職者
■受給額
・1週間の所定労働時間が30時間以上の者
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
60万円 | 1年 | 30万円×2期 |
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者(短時間労働者)
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
40万円 | 1年 | 20万円×2期 |
なお、対象労働者を10人以上、1年以上継続して雇用した場合、60万円がさらに上乗せされます。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
■対象労働者
・発達障害者
・難治性疾患患者
■受給額
・1週間の所定労働時間が30時間以上の者
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
120万円 | 2年 | 30万円×4期 |
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者(短時間労働者)
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
80万円 | 2年 | 20万円×4期 |
安定雇用実現コース
■対象労働者(すべてに該当)
・雇用時において35歳以上60歳未満
・正規雇用労働者としての通算期間が1年以下で、過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
・失業状態
・正規雇用労働者としての雇用希望者
■受給額
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
60万円 | 1年 | 30万円×2期 |
生活保護受給者等雇用開発コース
■対象労働者
・ハローワーク等から3ヵ月超の支援を受けている生活保護受給者、生活困窮者
■受給額
・1週間の所定労働時間が30時間以上の者
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
60万円 | 1年 | 30万円×2期 |
・1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者(短時間労働者)
受給額 | 助成対象期間 | 受給対象期ごとの受給額 |
40万円 | 1年 | 20万円×2期 |
まとめ
以上が、特定求職者雇用開発助成金の各コースの概要です。助成金の対象となるコースを見つけることができたでしょうか。もし活用できそうなものがあれば、さっそく申請準備を進めてみてはいかがでしょうか。
なお、今回掲載した内容の他に、雇用関係助成金共通の要件がいくつかあります。詳細については、最寄りの労働局またはハローワークでご確認ください。