特許の存続期間は何年?今さら聞けない知的財産権
みなさん、「知的財産権」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日常生活においてはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ビジネスの世界では企業の活動に大きな影響を与えています。
例えば今年、米アップル社がiPhoneにおいて、他社が持っている知的財産を無断で使っていたため、アメリカの連邦裁判所より約3,000億円もの損害賠償命令が下されました。また、医薬品分野では、製品が知的財産で守られなくなったことを理由に、売上が9割近くも減ってしまったということもあります。
この記事では、「知的財産」について、言葉の意味やその範囲、また知的財産の取得方法について解説したいと思います。
「知的財産」って何?
特許庁のホームページによれば、「“知的財産”とは、知的創造活動によって生み出されたもの」であると定義されています。ここで知的財産の特徴として、創作活動によって生み出されたものが「財産的な価値」をもっていることが挙げられます。
このように財産価値をもつ創作物が他人に勝手に使われてしまっては、創作者の創作意欲が削がれるばかりでなく、国や業界として産業が発展しないことにもなりかねません。
そこで、創作した人の権利を広く保護するために「知的財産制度」と呼ばれる制度が作られました。
知的財産の種類
知的財産は、いくつかの種類に分類されます。以下にその代表的なものを紹介します。それぞれの知的財産によって「保護される対象」や「保護される期間」が違います。
特許
創作活動によって得られた、“物品(モノ)”、“物品の使い方(使用方法)”、“物品の作り方(製造方法)”が含まれます。例えば、自動車でいえば、自動車の「部品」や「装置」、「部品の製造方法」などが挙げられます。特許は、出願した日から20年間(出願が認められることが条件)、その権利が保護されます。
意匠
物品の“デザイン(形状や模様など)”は意匠権によって保護されます。自動車でいえば、自動車の「外観(ボディーの形状)」や「ホイールのデザイン」などが挙げられます。意匠は、登録した日から20年間、その権利が保護されます。
商標
商品やサービスの“ロゴ”や“称呼(呼び方)”は商標権によって保護されます。自動車で言えば、「車種名(プリウスやエスティマなど)」や「会社名(トヨタや日産など)」、およびそれらの「ロゴ」などが挙げられます。商標は、特許や意匠とは違って、登録した日から10年間、その権利が保護されます。
その他
上記に挙げたもの以外にも、楽曲や絵画などの創作物(著作物)や、顧客情報や企業秘密など(営業秘密)も知的財産に範囲に含まれ、それぞれ法律によって保護されます。
知的財産の取得方法
特許や意匠、商標は、創作しただけでは法律による保護を受けることができません。原則として、国の知的財産を管轄する行政機関(日本の場合は特許庁)へ、書類による申請が必要です。
知的財産の内容を記載した書類、および所定の費用を納入します。その後、特許庁にて所定の審査が行われ、審査を無事クリアすれば、権利として保護された知的財産が確立します。
まとめ
今回の記事では、知的財産の定義やその範囲、また知的財産の取得方法について簡単に紹介させて頂きました。
日頃あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、皆さんのアイデアを適切に保護するための法律として、特にビジネス業界においては大きな影響を与えています。
これを機に、ニュースなどで「知的財産」という言葉を見聞きした際、少しでも注目して頂ければ幸いです。