外国人雇用状況の届出 怠ったら30万円の罰金も
すべての事業主には、外国人の雇入れと離職の際にその者の氏名や在留資格、在留期間などをハローワークに届け出ることが義務付けられており、これを怠った場合には、30万円以下の罰金を科される可能性があります。
今回は、この外国人雇用状況の届出について説明します。
外国人雇用状況の届出とは
2007年10月1日から、すべての事業主には、外国人労働者(特別永住者および在留資格が外交や公用である者を除く。)の雇入れまたは離職の際に、当該外国人労働者の氏名や在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ届け出ることが義務付けられました。
この届出は、不法就労を防止することと、ハローワークが外国人の雇用環境の改善に向けて事業主へ助言や指導を行うこと、また、離職した外国人へ再就職支援を行うことなどを目的としています。
外国人雇用状況の届出方法
外国人雇用状況の届出は、書面によって届け出るか、インターネットによって届け出るかの2つの方法があります。
書面による届出
外国人雇用状況を書面によって届け出る場合には、その外国人が雇用保険の被保険者であるのかどうかで届出様式が変わるため注意が必要です。
外国人が雇用保険被保険者である場合
雇用保険の被保険者となる者を雇入れる場合には、その者が日本人であるか外国人であるかを問わず、「雇用保険被保険者資格取得届」(様式第2号)を提出することになります。
この場合に外国人である場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」に次の項目を記載して、雇入れの翌月10日までにハローワークに提出することで、外国人雇用状況の雇入れの届出を行ったことになります。
①氏名(ローマ字)
②国籍・地域
③在留資格
④在留期間
⑤資格外活動許可の有無
⑥派遣・請負の就労区分
また、雇用保険の被保険者である者が離職する場合には、「雇用保険被保険者資格取得届」と同様にその者が日本人であるか外国人であるかを問わず、「雇用保険被保険者資格喪失届」(様式第4号)を提出することになります。
この場合に外国人である場合には、この「雇用保険被保険者資格喪失届」に上記とほぼ同様の事項を記載して、離職日の翌日から起算して10日以内にハローワークに提出することで、外国人雇用状況の離職の届出を行ったことになります。
なお、2020年3月1日以降の外国人の雇入れ、離職について、「雇用保険被保険者資格取得届」または「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する場合には、別様式に在留カードの番号を記載してあわせて届け出なければなりません。
外国人が雇用保険被保険者でない場合
雇用保険の被保険者とならない外国人の雇入れ、離職については、「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書」(様式第3号)の提出が必要になります。
この書類に記載する事項も上記の「雇用保険被保険者資格取得届」や「雇用保険被保険者資格喪失届」とほぼ同様で、雇入れまたは離職の翌月末日までにハローワークに提出します。
なお、2020年3月1日以降の雇入れ、離職についての届け出から、在留カードの番号を記入する様式に見直されています。
インターネットによる届出
外国人雇用状況の届出は、厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を利用してインターネットで行うこともできます。
ただし、上記で説明した「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況届出書」などの届出用紙により、一度でもハローワークに届出を行ったことがある場合には、インターネット上でユーザID・パスワードを取得できないようになっています。この場合には、まずはハローワークに問い合せが必要になります。
外国人雇用状況の届出を怠った場合の罰則
これまでに説明した、外国人雇用状況の届出をしない場合、または、虚偽の届出をした場合には、30円以下の罰金を科される可能性があります。
現実的には、単に届出を忘れていた程度でこの罰則が適用されることはないと言えますが、特に外国人の採用が多い会社などでは、この届出が法律上の義務であることを十分に理解しておかなければなりません。
まとめ
外国人雇用状況の届出は、雇用あるいは離職する外国人が雇用保険の被保険者でない場合にも必要です。
届け出なかった場合には、30万円以下の罰金を科される可能性もありますので、特に外国人の採用が多い会社では忘れないように注意しましょう。