商標登録はいくらでできる?費用と手順を簡単解説
当記事では、「商標登録の費用と手順」について簡単に解説していきます。
商標登録の手順
商標登録までの流れは、大きく分けて次の3つにより成り立っています。
(1)商標登録出願手続き
(2)拒絶理由通知への対応
(3)設定登録手続き
これらの手続きについて、簡単に説明します。
(1)商標登録出願手続き(商標法第5条)
①商標登録を受けようとする商標、②指定商品/サービスおよび政令で定める指定商品/サービスの区分、③氏名や住所など書誌事項を記載した願書を作成し、特許庁へ出願します。
出願を行う前に、登録を受けたい商標がすでに第三者によって出願されていないか、事前調査で商標の登録可能性を確認することもあります。
(2)拒絶理由通知への応答(商標法第15条の2、15条の3)
商標登録出願は、特許庁の審査官によって登録可否が審査されます。何らかの理由により出願を拒絶しようとするときは、商標登録出願人に対して拒絶の理由が通知されます。
拒絶理由の通知に対して出願人は、補正書や意見書を通じて反論する機会が与えられます。
(3)設定登録手続き(商標法第18条)
拒絶理由が解消されれば、商標登録を受けるべき旨の査定(登録査定)を受けとります。
その後、出願人により登録料が納入されれば、設定登録により商標権が発生します。
3.商標登録の費用
費用について、商標登録出願および設定登録に関しては、その手続きに必要な費用を特許庁へ納入することが法令等によって定められています。以下、これら費用について簡単に説明します。
商標登録出願にかかる費用
項目 | 金額 |
商標登録出願 | 3,400円に区分数×8,600円を加えた額 |
防護標章登録出願または防護標章登録に基づく権利の存続期間更新登録出願 | 6,800円に区分数×17,200円を加えた額 |
通常の商標登録出願では「3,400円+区分数×8,600円」が出願の際に必要な費用になります。指定する商品/サービスの区分数が多くすればそれだけ保護を受ける商標の権利範囲も広くなりますが、その分出願費用が高くなるため、費用対効果を考慮する必要があります。
防護標章登録とは、著名な登録商標を他人が非類似の商品/サービスに使用することによって出所混同を生ずるおそれがある場合、登録商標と同一の標章に限り他人の使用を排除するために認められる登録制度です(商標法第64条)。通常の商標登録出願より費用が高くなります。
設定登録にかかる費用
項目 | 金額 |
商標登録料 | 区分数×28,200円 |
分納額(前期・後期支払分) | 区分数×16,400円 |
更新登録費用 | 区分数×38,800円 |
分納額(前期・後期支払分) | 区分数×22,600円 |
商標権の分割申請 | 30,000円 |
防護標章登録料 | 区分数×28,200円 |
防護標章更新登録料 | 区分数×33,400円 |
通常の商標登録料およびその更新登録料については、分割して納付することができます(商標法第41条の2)。ビジネスの状況を鑑み、例えば、10年間も使用する予定のない商標については、分納を選ぶことで費用を安く抑えることができます。
なお、分納の場合、後期分の支払いは、商標権の存続期間の満了前五年までに納付しなければならず、期限の管理には注意が必要です。
その他(特許事務所に支払う費用)
商標登録の手続きを「代理人(特許事務所の弁理士等)」に依頼する場合には、法令等で定められた費用とは別に、特許事務所へ「代理人手数料」を支払う必要があります。事務所ごとに費用は若干異なりますが、弁理士会のアンケート調査結果によれば、1区分指定の場合の商標登録出願は5~8万円、また拒絶理由通知に対する意見書の作成は4~6万円の事務所手数料が請求されることが多いようです。
おわりに
今回の記事では「商標登録の費用と手順」について簡単に解説させて頂きました。指定する商品/サービスの区分数や、分割納付など支払いの方式によっても費用は大きく変わってきますので、自社のビジネス状況も鑑み支払い方針を策定されることをお勧めします。本記事が商標登録の費用の理解に少しでも役にたてば幸いです。