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登記簿には何が書かれている? 記載情報を区分別に紹介

会社の登記簿(履歴事項全部証明書)には、会社のさまざまな基本情報が記載されています。

実は、登記簿は、いつでも、誰でも取得できます。
登記簿を見て、見込顧客や新規顧客について調べることもでき、ビジネスや取引を円滑に行うための参考にすることも可能です。

それでは、登記簿によって、どのような情報を知ることができるのでしょうか。

当記事では、登記簿の具体的な記載情報についてご紹介します。

登記簿(履歴事項全部証明書)とは

法人の「履歴事項全部証明書」は、発行日の時点で効力がある登記内容の全部に加えて、一定期間(約3年以内)の変更履歴についても記載されている公的証明書です。

履歴事項全部証明書によって、現在の登記内容全部と、過去の一定期間内に変更された登記内容全部を確認することができ、その内容を公に証明できます。

登記簿に記載されている情報

株式会社の登記簿には、区分に従って、以下の内容が書いてあります。
順に説明していきましょう。

※会社によって記載のないものもあります。

①商号区

会社法人等番号

会社法人等番号とは、会社の登記の記録ごとに付けられる12桁の番号で、登記簿の検索などに使われます。

商号

会社の名前のことです。
株式会社の場合はその中に「株式会社」の文字を使わなければなりません。

また、登記簿には記載されませんが、平成30年3月12日以降法人登記の申請を行う場合は、申請書に法人名のフリガナを記載することになりました。

本店

会社本店の住所が記載されています。

本店とは、会社の所在地を指し、設立時に設定します。そして変更があったら変更登記を行います。
本店と本社はよく混同されやすいですが、本店は必ず1つです。
本社は、会社によっては例えば東京本社、大阪本社などと複数ある場合もあります。また、本社以外を本店としている場合もあるので要注意です。

公告をする方法

株式会社は貸借対照表またはその要旨を世間に公告しなければいけないことになっています。

官報(国の発行する機関誌)、日刊紙(新聞等)または電子公告(WEB上)のいずれかで行わなければなりません。

会社成立の年月日

会社設立の登記を申請した日が記載されます。

このほかに商号区には、貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項や中間貸借対照表等に係る情報の提供を受けるために必要な事項が記載されることもあります。

②目的区

目的

会社の目的(事業内容)について記載されています。

③株式・資本区

発行可能株式数

株式会社の発行できる株式の数の上限が記載されています。

基本的にこの枠内で新株発行しなければならず、この枠を変更するためには厳格な手続を踏まなくてはなりません。

株券発行会社である旨

株券を発行している会社は、その旨が記載されています。
近年は株券を発行することは少なくなってきています。

発行済株式の総数並びに種類及び数

すでに発行した株式の数が記載されています。

資本金の額

資本金の額が記載されています。

会社の純資産には資本金の他に資本剰余金・利益剰余金等がありますが、登記簿に記載されるのは資本金のみです。

株式の譲渡制限に関する規定

会社が公開会社なのか非公開会社なのかがここでわかります。
多くの中小規模会社がこの設定をしています。

この他にも、株式・資本区には、単元株式数、種類株式について、株主名簿管理人について等が記載されていることもあります。

④役員区

取締役

取締役の名前が記載されています。

取締役は会社の業務執行をおこなったり、業務執行の決定をする役員です。

監査役

監査役の名前が記載されています。 

監査役は会社経営において違法または著しく不当な職務執行がないかを調べたりそれを是正する役員です。

代表取締役

代表取締役の名前と住所が記載されています。

代表取締役は取締役の中でも、対外的に会社を代表して契約などの業務を行う役員です。

このほかにも、会社の機関設計によって会計参与、会計監査人、特別取締役、執行役、代表執行役等の役員の情報が記載されてることもあります。

⑤会社状態区

取締役会設置会社に関する事項

会社が取締役会を設置する場合に記載されています。

監査役設置会社に関する事項

会社が監査役を設置する場合に記載されます。

このほかにも特別取締役に関する事項、委員会設置会社に関する事項、破産に関する事項等、機関設計や会社の状態について記載されることもあります。

⑥登記記録区

登記記録を起こした事由及び年月日

登記記録を作った理由が記載されます。

①~⑥以外にも会社の状態によって役員責任区、会社支配人区、支店区、新株予約権区、会社履歴区、企業担保権区に情報が記載されることもあります。

まとめ

この記事では、法人の「履歴事項全部証明書(登記簿)」について、区分ごとに具体的な内容を紹介しました。
登記簿は、会社の基本情報や過去の変更履歴が記載された公的な証明書で、誰でも取得可能です。ビジネスや取引先の信頼性を確認する際に役立つツールとしても活用されています。

登記簿の内容には、会社の名称や本店住所、事業内容、株式の発行状況、取締役や監査役などの役員情報が細かく記載されています。
さらに、取締役会や監査役の設置状況、登記の理由や記録も確認できます。

この情報を参考にすることで、見込顧客や新規顧客についてより詳しく理解し、業務に役立てることができます。