「事業所関係変更(訂正)届」の書き方(記入例あり)
社会保険の適用事業所に事業主や電話番号の変更などがあると、「事業所関係変更(訂正)届」により、そのことを届け出なければなりません。
今回は、この届出書類の概要や書き方などについて解説します。
「事業所関係変更(訂正)届」の提出が必要になる場合
正式名称は「健康保険・厚生年金保険 事業所関係変更(訂正)届」ですが、この書類の提出が必要になるのは事業所に次の変更があった場合です。
- 事業主の変更
- 事業主の氏名の変更
- 事業所の連絡先電話番号の変更
- 「昇給月」、「賞与支払予定月」、「現物給与(※1)の種類」の変更
- 被保険者氏名などが印字された「算定基礎届」や「賞与支払届」、また、届出に必要な基本情報が収録されたCDの送付を希望するとき、または、不要になったとき
- 事業主代理人(※2)の選任(変更)・解任
- 社会保険労務士との業務委託契約の締結・解除
- 年金委員(※3)の委嘱・解任
- 健康保険組合の名称変更(訂正)
- 会社法人等番号(※4)の変更(訂正)
- 法人番号(※5)の変更(訂正)
- 事業所の「法人」「個人」「国・地方公共団体」の区分変更(訂正)
- 「本店」、「支店」の区分変更(訂正)
- 「内国法人」、「外国法人」の区分変更(訂正)
※1:「現物給与」とは、食事や住宅貸与、被服および定期券の支給など、報酬の一部または全部を通貨以外のもので支給する給与のことを言います。
※2:「事業主代理人」とは、事業主に代わって手続きを行う者のことで、一般的な会社では総務部長や人事部長などが選任されます。
※3:「年金委員」とは、厚生労働大臣から委嘱を受けて、厚生年金や国民年金の事業について、会社や地域で啓発、相談、助言などの活動を行う者のことを言います。
※4:「会社法人等番号」とは、登記所が決定する12桁の番号のことを言います。
※5:「法人番号」とは、国税庁から指定される13桁の番号のことを言います。(「会社法人等番号」の先頭に1桁の数字を加えたもの)
健康保険・厚生年金保険に関する届出書類には様々なものがありますが、事業所に関する変更届は、この「事業所関係変更(訂正)届」と「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」の2つだけです。
事業所の名称や所在地を変更した場合には、「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」によって届け出ることになりますが、それ以外の事業所に関する変更については、この「事業所関係変更(訂正)届」によって届け出ることになります。
「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」については以下の記事で詳しく説明しています。
>「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」の書き方(記入例あり)
記入例・記入にあたってのポイント
「事業所関係変更(訂正)届」の記入例と、記入にあたってのポイントは次のとおりです。
記入例
「事業所関係変更(訂正)届」は次のようなA4横の様式になります。
※以下の記入例は、事業主と連絡先電話番号を変更した場合のものです。
記入にあたってのポイント
この書類は、多くの事業所情報の変更に対応していることもあって複雑な様式になっていますが、提出にあたっては、記入が必須の箇所(様式上部左の「①事業所整理記号」、「②事業所番号」、下部の事業主が押印する箇所、提出年月日)と、該当する変更事項について記入するだけです。
比較的、届け出る機会の多い項目と、わかりづらい項目のみ、記入にあたってのポイントを説明します。
Ⓐ「⑧電話番号」
市外局番と市内局番の間、市内局番と加入者番号の間にはハイフンを入れて記入することになっています
Ⓑ「⑩事業主又は代表者の氏名/㋐事業主又は代表者の住所/㋑変更年月日」
事業主(代表者)が代わったときは、変更後の事業主(代表者)が変更前後の事業主(代表者)の氏名、住所、変更年月日を記入します。
事業主(代表者)の氏名が変わったときは、その事業主(代表者)が変更前後の事業主(代表者)の氏名、住所、変更年月日を記入します。
Ⓒ「⑭昇給月/⑯賞与支払予定月」
変更後の年間における昇給月および賞与支払予定月を記入します。
Ⓓ「⑱現物給与の種類」
変更後の現物給与の種類について、該当するものを〇で囲みます。
※「その他5.」を〇で囲んだ場合には、( )に詳細を記入します。
Ⓔ「⑳事業主代理人」
事業主代理人を選任・解任した場合には「有1」を〇で囲みます。この場合、Ⓖで説明する㋒、㋓、㋔も記入します。
※事業主代理人について変更がない場合には「無0」を〇で囲まなくても構いません。
Ⓕ「㉒算定基礎届用紙作成/㉔賞与届用紙作成」
被保険者氏名などが印字された算定基礎届用紙または賞与届用紙の送付を希望する場合には「要0」、不要な場合には「不要1」、届出に必要な基本情報が収録されたCD(ターンアラウンドCD)の送付を希望する場合には「CD要2」を〇で囲みます。
Ⓖ「㋒事業主代理人の氏名/㋓事業主代理人の住所/㋔選(解)任年月日」
変更前後の事業主代理人の氏名、住所、選任・解任年月日を記入します。
なお、事業主の押印については、事業主自らが署名(自筆)した場合には必要はありません。
添付書類や提出時期・提出先
「事業所関係変更(訂正)届」に添付しなければならない書類や、提出時期・提出先は次のとおりです。
添付書類
上記のすべての変更について添付書類が必要になるわけではありませんが、次の届け出である場合には添付書類が必要になります。
会社法人等番号に変更(訂正)があったとき
法人(商業)登記簿謄本のコピー
法人番号に変更(訂正)があったとき
法人番号指定通知書のコピー
※法人番号指定通知書のコピーを添付できない場合には、国税庁の「法人番号公表サイト」で確認した法人情報(事業所名称、法人番号、所在地が掲載されているもの)を画面印刷して添付しても構わないこととされています。
> 法人番号公表サイト/国税庁
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
提出時期・提出先
各種変更については原則として5日以内に、それ以外については速やかに「事業所関係変更(訂正)届」と上記の添付書類(該当の変更である場合のみ)を管轄の事務センターに郵送、または、年金事務所に提出しなければなりません。また、一定の手続きを行えば、電子申請も可能です。
※健康保険組合に加入している場合には、その組合にも定められた書類を提出することになります。
> 事業主の変更や事業所に関する事項の変更があったときの手続き/日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/jigyosho/20140815.html
まとめ
社会保険適用事業所に関する変更届には、今回説明した「事業所関係変更(訂正)届」と「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」がありますが、事業所名称と所在地以外の変更については、「事業所関係変更(訂正)届」で届け出ることになっています。
届出対象になっている事項が多いため、どのような場合に届け出なければならないのかを十分確認しておきましょう。