【解説】納税証明書の種類「その1」「その2」の違いは?
納税証明書は、金融機関に融資を申し込むときなど様々な場面で必要になるものですが、税金の種類によって、税務署や都道府県、市町村、特別区が個別に発行します。
今回は、納税証明書の種類と取得方法ついて解説します。
納税証明書とは
納税証明書は、会社が金融機関に融資を申し込むときや、官公庁の仕事を受注するとき、また、車検を受けるときなどに提出を求められます。
税金には、国税や都道府県税、市町村税、特別区(東京23区)税がありますが、その納税証明は、それぞれ、税務署、都道府県、市町村、特別区が個別に行います。提出先がどの税金に関する納税証明を求めているのかによって、その納税証明書を取得できる窓口は異なりますので注意が必要です。
国税に関する納税証明書
国税には、所得税や法人税、消費税などがありますが、これらの納税証明は税務署が行います。税務署が発行する納税証明書の種類や取得方法は次のとおりです。
納税証明書の種類
税務署が発行する納税証明書の種類は次のとおりです。
種類 | 証明内容 |
納税証明書(その1) | 納付すべき税額、納付した税額、未納税額などの証明 |
納税証明書(その2) | 所得金額の証明 ※個人は申告所得税および復興特別所得税に係る所得金額、法人は法人税に係る所得金額です。 |
納税証明書(その3) | 未納の税額がないことの証明 ※税目を指定した「その3の2」(申告所得税、復興特別所得税、消費税、地方消費税)や、「その3の3」(法人税、消費税、地方消費税)の証明もあります。 |
納税証明書(その4) | 証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことの証明 |
※金融機関に融資を申し込むときには、一般的にその1とその2の提出を求められることが多いと言えます。
なお、この税務署が発行する納税証明書は、確定申告を行っている法人または個人を対象にしているものです。このため、サラリーマンで給与以外に収入がなく確定申告を行っていないような方については取得することはできません。このような方が、例えば、住宅ローンを申し込む場合には、都道府県民税と市町村民税または特別区民税(いわゆる住民税)の納税証明書や課税証明書などの提出を求められます。
取得方法
上記の納税証明書を取得するためには、次のいずれかの方法により請求手続きを行う必要があります。
①オンラインで請求する
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用してオンラインで請求します。
この場合、納税証明書を電子ファイルで受け取ることもできますし、税務署の窓口や郵送で受け取ることもできます。
手数料は、その1、その2については、税目数×年度数(×枚数)×370円、その3、その4については、枚数×370円です。
※納税証明書を電子ファイルで受け取る場合は、1つの請求に対して1つの電子ファイルが発行されますので、手数料は1枚として計算されます。(納税証明書を紙媒体で税務署の窓口や郵送で受け取る場合には実際の枚数で計算されます。)
※手数料は、納税証明書の受け取り方に応じて、インターネットバンキングで納付するか、税務署の窓口で現金または収入印紙で納付することになります。
②納税証明書交付請求書(書面)で請求する
管轄税務署の窓口に納税証明書交付請求書を提出(郵送も可)して請求します。
この場合の手数料は、その1、その2については、税目数×年度数×枚数×400円、その3、その4については、枚数×400円です。
※納税証明書交付請求書を郵送する場合には、上記の手数料の額に相当する収入印紙を同封します。
国税に関する納税証明書の請求手続きの詳細については、下記の国税庁のホームページでご確認ください。
> [手続名]納税証明書の交付請求手続/国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/01.htm#shomen
都道府県税に関する納税証明書
都道府県税についての納税証明は都道府県が行います。対象税目と納税証明書の取得方法は次のとおりです。
対象税目
都道府県税には次のようなものがありますが、これらの納税証明書は都道府県が発行します。
- [法人]都道府県民税
- [法人]事業税
- [個人]事業税
- 自動車税 など
なお、特別区(東京23区)の法人は、市町村民税相当分とあわせて都民税を納付することになっています。(つまり、次で説明する法人の特別区民税はないということです。)
取得方法
上記の納税証明書を取得する方法は、各都道府県によって多少異なりますが、原則としては、都道府県税事務所などの窓口に所定の交付請求書を提出するか郵送で提出することによって請求します。(原則として1通(1税目)あたり400円の交付手数料がかかります。)
都道府県税に関する納税証明書の請求手続きについては、各都道府県のホームページでご確認ください。
市町村税・特別区税に関する納税証明書
市町村税および特別区(東京23区)税についての納税証明は、市町村および特別区が行います。対象税目と納税証明書の取得方法は次のとおりです。
対象税目
市町村税および特別区税には次のようなものがありますが、これらについての納税証明書は市町村および特別区が発行します。
- [法人]市町村民税
- [個人]市町村民税または特別区民税/都道府県民税
- 軽自動車税 など
なお、個人の場合、市町村民税または特別区民税と都道府県民税を合わせたものになりますので、いわゆる住民税の納税証明書の請求窓口は、都道府県民税も含めて市町村または特別区になります。←分かりやすく修文しました。
取得方法
上記の納税証明書を取得する方法は、市町村および特別区によって多少異なりますが、原則としては、市町村および特別区の役所、役場、市税事務所などの窓口に所定の交付請求書を提出するか郵送で提出することによって請求します。(原則として1通(1税目)あたり300円の交付手数料がかかります。)
市町村税および特別区税に関する納税証明書の請求手続きについては、各市町村、特別区のホームページでご確認ください。
まとめ
納税証明書は、会社でも個人でも必要になることがありますが、会社に限って言えば、金融機関に融資を申し込むときや、官公庁の仕事を受注するときなどに提出を求められます。
提出を求められている納税証明書が、国税に関するものなのか、あるいは、都道府県税や市町村税、特別区税に関するものなのかを十分確認したうえで、各窓口で取得するようにしましょう。