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育児休業制度を導入するには?手順をわかりやすく解説

「社長!僕、来年子供が生まれるんです。」
「お、それはおめでとう!」
「それで、育児休業を取りたいのですが。」
「育児休業?うちの会社にはそんな制度はないよ!」
「えっ?」

近年はこのような会話は減ってきたとはいえ、まだまだ育児休業が浸透していない会社もあるようです。そうした会社が育児休業制度を導入する手順について解説します。

育児休業制度とは

育児休業制度とは、文字どおり労働者が子を養育するために取得できる休業制度で、労働者は事業主に申し出ることで、原則として子が1歳になるまで、また、子が保育所に入れないなどの事情があれば最長で2歳になるまで休業することができます。

育児休業を取得することは、育児・介護休業法で定められた労働者の権利であるため、先ほどの社長さんのように「うちの会社には、その制度はない」と拒否することはできません。ですから、従業員が会社に申し出た以上、原則として会社は育児休業を取得させることになります。

しかし、何の準備もなく従業員に育児休業をさせれば、会社内は大きく混乱してしまうでしょう。いざ該当者が出たとき困らないよう、あらかじめ制度化しておく必要があります。

育児休業制度を導入する手順

では、具体的にはどのようにしたらよいのでしょうか?順にみていきましょう。

手順①:制度を理解する

まず、育児休業制度ついて担当者がよく理解することが必要です。

「育児休業を取得する段取りは?」「育児休業を除外できる労働者は?」「育児休業給付を受給する方法は?」「社会保険料はどうなるのか」など、知っておくべきことは数多くあります。

育児休業者が給付金を受給できなかったり、社会保険料の免除を受けられなかったりすることのないよう、担当者はしっかりと知識を蓄えておきましょう。

育児休業制度の概要については、厚生労働省のホームページでご確認ください。

>育児・介護休業法のあらまし/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103504.html

手順②:就業規則を整備する

次に、就業規則を整備しましょう。育児休業に関する項目を就業規則の本則に盛り込んでも構いませんが、分量が多くなりますので、一般的には同じような手続きが必要になる介護休業とあわせて「育児・介護休業規程」として作成することが多いと言えます。(このように本来、就業規則に規定すべき事項を別規程とした場合、その規程は就業規則の一部となります。)

育児休業に関する規定を一から全て作成するのは非常に大変ですから、ひな型を入手し、それをベースに、会社のやり方を一つ一つ決めていく方法をお勧めします。育児休業に関する規定例は厚生労働省などのサイトからダウンロードできます。

さて、「もう就業規則は整備したから大丈夫!」という会社もあるでしょう。しかし、育児休業や介護休業については、法改正により頻繁に取り扱いが変更になります。法改正があれば、就業規則の見直しも必要になりますので注意が必要です。

最新の育児・介護休業に関する規定例は、厚生労働省のホームページでご確認ください。

>育児・介護休業等に関する規則の規定例/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/35.html

手順③:マニュアル化を進める

育児休業は長い休みになることが多く、その間には色々な問題が発生します。休業中の住民税の特別徴収(天引き)に関することや、従業員との連絡の頻度・方法など、会社内でマニュアル化を進めておくとよいでしょう。

また、従業員が一人休業するのですから、会社としては該当従業員が担当していた業務を誰が行うのかについても考えなければなりません。既存の従業員で仕事をまわすのか、臨時のアルバイトを雇うのか、労働者派遣を利用するのか、育児休業該当者が現れる前にその対応方法も決めておく必要があります。

手順④:従業員に周知する

そして、育児休業制度に関する規定の整備ができたら、従業員への周知も忘れてはなりません。どんなにすばらしい制度を導入したとしても、その存在を従業員が知らなければ意味がないのです。制度を整備したり変更したりしたときは、必ず従業員によく周知し、制度を活用しやすい環境を作りましょう。

まとめ

今回は育児休業制度の導入・整備について解説しましたがいかがでしたでしょうか?

厚生労働省の「令和元年度雇用均等基本調査」によると、令和元年度に育児休業を取得した女性の割合は83.0%(平成30年度は82.2%)で、男性の割合は7.48%(平成30年度は6.16%)とされています。男性の育児休業はまだまだ少ないとはいえ着実に増加しています。

育児休業制度の準備は大変かもしれませんが、こうした制度が整備され実際に運用されていることは、従業員に大きな安心感をもたらすはずです。そしてそのことは従業員の定着率アップ、ひいては会社の生産性向上までつながっていくでしょう。