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登記申請の取下げは可能?必要書類は?(取下書の記載例あり)

登記の申請をした後で、何らかの理由で「申請を取り止めたい!」と思うケースもあることでしょう。

この記事では、そんな時に行う「取下げ」についての手順や必要書類、取下書の記載方法について解説します。

商業法人登記申請の取下げは可能

商業登記の申請をした後、その申請をキャンセルしたい場合にはどうすればよいのでしょうか。

そのような場合、登記申請を「取下げ」することができます。取下げとは、申請について、自分から申請を撤回することです。登記が完了する前であれば、取下げは可能です。

一方、自分から撤回するのではなく、法務局の判断で申請を認めないことを「却下」といいます。登記申請に不備がある場合、法務局はいきなり却下するということはなく、申請人に連絡して不備を補正するように指示します。

「取下げ」には、次の2種類があります。

  1. 補正のための取下げ
  2. 申請意思の撤回による取下げ

Aは、登記申請そのものについては行う意思はあり、申請情報や添付書類に何らかの不備があるのを直す前提として一旦登記を取り下げるという場合の方法です。

Bは、登記申請する意思がなくなった場合の方法です。

商業登記の取下げの場合、基本的にBの方法となるケースが多いでしょう。
なぜなら、Aの補正については、取下げをしなくても申請をしたまま補正できる場合がほとんどだからです。

法務局から不備を指摘された場合も、不備を訂正すればよいので、取下げまでする必要がないケースがほとんどです。

ただし、補正をするためにあまりに時間がかかってしまう場合などは一旦取下げをせざるを得ないというケースもあります。

申請取下げの具体例

「B.申請意思の撤回による取下げ」の具体例としては、以下のようなケースが考えられます。

①事実と異なる登記を申請した

何らかの手違いで事実と異なる内容で登記を申請してしまった場合があります。
たとえば、株主総会で承認されていないのに目的変更登記を申請してしまった、本人が就任することを承諾していないのに取締役就任登記を申請してしまったなどというケースです。

②申請した後で気が変わった

ひとり会社(株主も役員も自分一人だけ)の場合には、自分一人の意思決定で登記内容を変更することができるため、一度は変更しようと思って書類をそろえて登記を申請したものの、やはり気が変わって登記を取り止めたい、ということもあります。

たとえば、会社の商号(社名)を変えようと思ったもののやはり気が変わったから取り止めたい、などというケースです。

③謄本をすぐに取得したい

会社の謄本(登記事項証明書)を取得するために取下げをする場合があります。
登記申請中は会社の謄本を取得することができません。そのため、すぐに謄本を取得するためには一旦登記申請を取り下げるしかありません。

申請取下げの手順

申請を取り下げるための手順を紹介します。

手順①:法務局に連絡する

取下げをする前に、前もって法務局に連絡することをおすすめします。取下げをしたい旨、取下げをする事情を説明して指示を仰ぐ方が手続きがスムーズに進みます。

自分の取下げが、「補正のための取下げ」「申請意思の撤回による取下げ」のどちらに該当するのかも法務局に伝えておく方がよいでしょう。

手順②:取下書の提出

登記申請を取り下げるためには、受け付けられた法務局に取下書を提出します。
紙での申請をしている場合には、取下書も紙で提出します。

一方、オンラインで申請している場合には、取下書もオンラインで送信します。
取下書の記載例は後述します。

手順③:登録免許税の返還の手続き

すでに登録免許税を納付している場合、登録免許税を還付してもらう手続きをする必要があります。

受付をした法務局に、必要事項を記入した「登録免許税還付請求書」を提出します。

紙で登記を申請した場合は、取下書と一緒に提出します。

提出した添付書類の返却

法務局に提出した添付書類がある場合には、法務局から返却してもらいます。

取下げの処理が終わった後に法務局の窓口で受け取るか、あらかじめ返信用封筒を送っている場合には法務局にそれで返送してくれるように依頼しましょう。

申請取下げの際の必要書類

登記申請を取り下げるためには取下書が必要です。登録免許税を納付済みの場合には、登録免許税還付請求書も必要となります。

なお、司法書士等に代理してもらう場合には、委任状も必要です。

取下書の記載例

取下書には、以下の内容を記載します。

取下書の記載例

①取下げの対象

登記申請の受付年月日、受付番号、申請番号を記載します。
受付票などがなく、受付番号等がわからない場合には、法務局に確認しましょう。

②取下げの事由

不備を訂正するための取下げであれば、「書類補正のため」と記入します。申請意思の撤回による取下げであれば、「申請意思の撤回」と記入します。

③日付

取下げをする日付を記入します。

④申請人

本店の住所、商号、代表者の住所、代表者の資格(代表取締役など)、氏名を記入します。法務局に提出している会社の実印を押印します。

まとめ

取下げの手続きはそれほど複雑というわけではありません。ただし、前もって法務局に取下げをしたい旨を連絡して指示を仰ぐのがスムーズに処理するポイントです。登記が完了してしまうと取下げはできないので、取下げをしたい場合には速やかに対応しましょう。