新規開業支援資金とは? 制度の概要と支援の詳細について徹底解説!
新型コロナウイルスの感染は一向に収束の気配がなく、新たな感染の波が繰り返されています。
また、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー不足や、急速な円高による物価高などに伴い、企業や一般市民はますます苦しい事業・生活環境を強いられています。
こうした状況下、政府系金融機関である日本政策金融公庫(以下、公庫)では、新規に開業を目指す事業者や個人に対する支援資金を融資しています。
この記事では、この融資制度について詳しく解説します。
事業の目的
日本政策金融公庫が提供する国民生活事業では、女性や若者、またシニアの方や、過去に廃業した経歴があっても再度創業にチャレンジしたり、中小会計を適用するなど、幅広い利用者層に対する事業資金の支援を目的として、新規開業(支援)資金を融資しています。
この支援資金を活用することで、通常の融資よりも有利な条件で事業に活用することが可能となります。
参照:日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
主な支援分野
この新規開業支援資金は、主に下記の分野で適用されます。
女性、若者、シニアの方で創業する場合
女性(全般)や、35歳未満の若者、または55歳以上のシニア層の創業を支援します。利率は特別利率(後述)が適用可能となります。
廃業歴などがあり、創業に再チャレンジする場合
過去に廃業した経歴があり、今回創業に再チャレンジする場合にもこの制度で支援します。
本資金を活用することで、以前の事業で背負った債務を返済するために必要となる資金として使用することも可能で、通常よりも長期での返済が適用されます。
中小会計を適用して創業する場合
中小会計を適用する創業者に対しても支援可能です。
こちらも特別利率で利用可能です。
参照:中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/youryou/about/index.htm
事業の概要
事業の概要について解説します。
対象者
新規開業資金の支援を受ける対象者は、新規開業する場合や、新規開業して概ね7年以内であり、下記の要件に該当することが必要となります。
やや細かい条件となりますが、自分が該当するかどうかしっかりと確認しましょう。
- 雇用の創出を伴う事業を始めること
- 技術やサービスに工夫を加え、多様なニーズに対応する事業を始めること
- 現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める場合、次のどちらかに該当すること
・現在の企業に継続して6年以上勤務している
・現在の企業と同じ業種に通算して6年以上勤務している - 大学などで修得した技能と密接に関連した職種に継続して2年以上勤務しており、その職種と密接に関連した業種の事業を始めること
- 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始めること
- 地域創業促進支援事業または潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けて事業を始めること
- 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始めること
- 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始めること
- 前1~8までの要件に該当せずに事業を始め、新たに取り組もうとする事業について適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認め、1,000万円を限度として本資金を利用すること
- 既に事業を始めている場合は、事業開始時に前1~9のいずれかに該当していること
資金の使途
新規開業支援資金を利用して融資を受ける場合、当該資金の使途(使いみち)は次の項目に限定されます。
- 設備資金
- 運転資金
具体的には、新規に事業を始める際に必要となる各種設備の購入費用や、事業を継続するのに必要な運転資金が対象となります。
融資限度額
ポイントとなる融資額ですが、本事業の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっています。
返済期間
本事業を活用して融資を受けた際の返済期間は、設備資金の場合は20年以内、運転資金の場合には7年以内となっています。
なお、元金の支払いを先延ばしにする「据置期間」はいずれの場合でも2年以内ですが、企業の状況や融資担当者の判断によって異なるため、念のために確認が必要です。
適用金利
金利については、基準利率が適用されます。ただし、所定の要件に該当する方が必要とする資金に対しては特別利率が適用となります。
特別利率などの条件詳細については、上述した日本政策金融公庫のサイトを改めてご確認ください。
申請書類
申請に必要な書類は、創業前や事業開始間もない場合と、事業開始後2年以上経過している場合によってそれぞれ異なります。
詳細は次のとおりです。
創業前や事業を開始後間もない場合
- 創業計画書
事業開始後2年以上経過している場合
- 企業概要書
- 最近2期分の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む)
両者に共通の書類
- 運転免許証(両面)またはパスポート(顔写真ページおよび現住所の記載あるもの)
- 見積書(設備資金を申し込む場合)
- 許認可証(飲食店などの許可・届出等が必要な事業を営んでいる場合)
補足事項
本制度の申請は、公庫が定める「新創業融資制度」と組み合わせることで、無担保・無保証人で可能となります。
ただし、新創業融資制度を利用するには、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意していることが必要で、所定の審査を通過する必要があります。
問い合わせ先
詳細については、公庫の各支店で対応していますので、お住まいの所轄支店にご確認ください。
まとめ
日本政策金融公庫が提供する新規開業支援資金の目的と概要、様々な条件などについて詳しく解説しました。
先行き不透明な社会・経済状況下ですが、新規事業に挑む方には是非活用していただきたい支援制度のひとつといえるでしょう。
ご自身の状況をよく分析し、経済・社会全体の活性化へ向けての一助となるよう、各方面と協力しながら、新規事業の成功へ向けて取り組んでいただければ幸いです。