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事業再構築補助金とは?第12回(最新)の公募内容をわかりやすく解説

2024年7月現在、第12回事業再構築補助金の公募受付が開始されています。

事業再構築補助金は本来、コロナによる景気低迷の打開策として開始された補助金です。しかしコロナが収束傾向にあり

第12回では、第11回までとは大きく公募内容が変化しました。

本記事では、第12回事業再構築補助金の公募内容についてわかりやすく解説します。

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの感染の終息以降も苦境にあえぐ中小企業の事業再構築を支援する補助金です。新たな分野への進出や業種・業態の転換、事業の再編成などの抜本的な事業再構築を行おうとする中小企業を支援します。

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金はすでに第11回までの公募が終了し、2024年7月現在第12回分の公募が開始されています。その時々の経済環境などに合わせて公募要領は毎回改訂されてきました。公募が開始されてからも、随時公募要領などの更新にご注意ください。

現在募集中の第12回公募の申請枠(事業類型)は全部で5つで、さらに2つの上乗せ措置があります。それぞれの枠についてくわしく解説します。

補助対象事業は、事業終了後一定期間内に年平均成長率や従業員最低賃金の引き上げなどの所定の要件を満たさなければなりません。

所定の要件には全枠共通の必須要件の他、事業累計ごとの補助対象要件があります。

成長分野進出枠(通常類型)

成長分野への進出を目指す事業者や、国内市場の縮小に直面していて事業再構築を検討する事業者を支援します。

  • 補助金額:最低100万円からで従業員の規模によって上限が異なり、最大6,000万円です(従業員101人以上の場合)。
  • 補助率:中小企業等は1/2、中堅企業等は1/3 
  • 補助対象経費:建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費、研修費など

※特定の条件を満たすと、補助金額の上限と補助率がアップする場合があります。

短期に大幅な賃上げ(事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、 ②給与支給総額+6%を達成すること)を実施すると、従業員規模101人以上の企業の補助上限額は7,000万円にアップします。中小企業の補助率は2/3、中堅企業では1/2になります。

成長分野進出枠(GX進出類型)

グリーン成長戦略「実行計画」14分野に取り組む事業者の事業再構築を支援する事業です。

  • 補助金額:最低100万円からで従業員の規模によって上限が異なり、最大1億円です(中堅企業の場合)。
  • 補助率:中小企業等は1/2、中堅企業等は1/3

※特定の条件を満たすと、補助金額の上限と補助率がアップする場合があります。

短期に大幅な賃上げ(事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、 ②給与支給総額+6%を達成すること)をすると、従業員規模101人以上の中小企業の補助上限額は1億円、中堅企業は1.5億円にアップします。補助率では中小企業は2/3、中堅企業では1/2になります。

  • 補助対象経費:成長分野進出枠(通常類型)とほぼ同じ

コロナ回復加速化枠(通常類型)

今でもコロナの影響で当時抱えた債務の借り換えを行っている事業者や、事業再生に取り組む事業者の事業再構築を支援する補助事業です。

  • 補助金額:最低100万円からで従業員の規模によって上限が異なり、最大3,000万円です(従業員51人以上の場合)。
  • 補助率:中小企業等は2/3、中堅企業等は1/2
  • 補助対象経費:成長分野進出枠(通常類型)とほぼ同じ

※一定の金額までは、補助率がアップします。金額は従業員数に応じて異なります。

従業員数51人以上の中小企業の場合、1,200万円までの補助率は3/4になります。従業員数51人以上の中堅企業の場合、1,200万円までの補助率は2/3になります。

コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)

コロナ禍が終息した現在、最低賃金の引上げの影響を大きく受ける事業者を支援する補助金です。

  • 補助金額:最低100万円からで従業員の規模によって上限が異なり、最大1,500万円です(従業員21人以上の場合)。
  • 補助率:中小企業等は3/4、中堅企業等は2/3

※借換に関して一定の要件を満たさない場合、一部の補助率はダウンします。

コロナ借換保証等で既存債務を借り換えていない中小企業の補助率は2/3、中堅企業の補助率は1/2にダウンします。

  • 補助対象経費:成長分野進出枠(通常類型)とほぼ同じ

サプライチェーン強靱化枠

ポストコロナに対応した国内サプライチェーンの強靭化に資する取組をこれから行う事業者への支援策です。

サプライチェーン強靱化枠は、ほかの4つの申請枠とは公募内容が大きく異なります。

  • 補助金額:1,000万~5億円(※建物費がない場合は3億円以内)
  • 補助率:中小企業者等は1/2、中堅企業等は 1/3
  • 補助対象経費:建物費、機械装置(必須※)、システム構築費

※補助対象経費のうち、生産のための機械装置の導入は必須です。

卒業促進上乗せ措置

サプライチェーン強靭化枠をのぞく上記の4つの補助事業で、中小・中堅企業等から中堅・大企業等へと規模拡大する事業者に対して上乗せされる支援策です。

次項で説明する中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置との同時申請はできません。

  • 補助金額:成長分野進出枠・コロナ回復加速化枠の補助金額上限に準じます。
  • 補助率:中小企業者等は1/2、中堅企業等は 1/3
  • 補助対象経費:各事業類型の補助金額上限に準じます。

中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

成長分野進出枠・コロナ回復加速化枠で、継続的な賃金引上げ及び従業員増加に取り組む事業者に対して上乗せされる支援策です。

上の項で説明した卒業促進上乗せ措置との同時申請はできません。

  • 補助金額:100万~3,000万円
  • 補助率:中小企業者等は1/2、中堅企業等は 1/3
  • 補助対象経費:各事業類型の補助金額上限に準じます。

こんな事業主におすすめ|事業再構築補助金の採択事例

採択事例①(飲食料品卸売業)

地場野菜の加工・卸売りを行っていた企業がコロナ禍で取引先の売上減少に影響を受けました。取引先に依存しないビジネスとしてテイクアウト・手土産専門店の出店や、キッチンカーでの販売など新たにBtoC事業を展開する計画が補助事業として採択されました。

採択事例②(運輸業)

運送業の2024年問題に加え、燃料費・タイヤ費等の高騰で経営環境が悪化する中、トラック用タイヤ交換・保管・海外製タイヤ販売などへの事業領域拡大に補助金が支給されました。

事業再構築補助金の応募手続き

2024年6月現在公募が行われている第12回の事業再構築補助金の申請方法は以下のとおりです。

申請方法

申請の受付は電子申請システムでのみ可能です。

申請には、事前にGビズIDプライムアカウントを取得する必要があります。

代理申請は認められていません。必ず申請者自身が申請内容を理解したうえで、自分で申請してください。

公募期間

  • 公募開始:2024年4月23日(火)
  • 申請受付:2024年5月20日(月)18:00
  • 応募締切:2024年7月26日(金)18:00
  • 補助金交付候補者の採択発表:2024年10月下旬~11月上旬頃(予定)

審査結果の通知・公表

補助金交付候補者の採択の決定後、採択・不採択が事務局から通知されます。

採択されると、事業主の名称や事業の計画などの公表があります。

まとめ

事業再構築補助金はほかの補助金に比べると仕組みが非常に複雑です。選択率も低く、第12回から審査がさらに厳格化される予定です。

申請を検討されている事業者の方は早めに準備をはじめるとよいでしょう。