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貨物軽自動車運送事業とは?開業に必要な要件や届出方法を詳しく解説

軽自動車を使用した運送業(貨物軽自動車運送事業)は、初期投資もそれほど必要なく、軽自動車(2022年10月から乗用車も使用可)が1台あれば比較的簡単に始められる事業です。

しかし、開業には役所への届け出が必要です。

この記事では、貨物軽自動車運送事業の開業に必要な要件や届出方法について詳しく解説します。

開業を検討されている方はぜひ参考にしてください。

軽貨物運送事業とは?

貨物軽自動車運送事業は、軽自動車や排気量125ccを超えるバイクなどを使用して、有償で荷主の荷物を指定された場所へ運送する事業です。正式名称は貨物軽自動車運送事業ですが、「軽貨物運送事業」や「軽貨物運搬事業」などと呼ばれるケースもあります。

運送に使用する軽自動車は黒ナンバーをつけなければなりません。そのため、貨物軽自動車運送事業そのものを黒ナンバーと称することもあります。

ほかの貨物運送業との違い

運送事業は、人を運ぶ「旅客運送」と貨物を運ぶ「貨物運送」に大別され、さらに貨物運送に関しては「貨物軽自動車運送事業」「一般貨物自動車運送事業」「特定貨物自動車運送事業」の3つに分類されます。

一般貨物自動車運送事業は、不特定多数の荷主の需要に応じて、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車および二輪の自動車を除く)を使用して貨物を運送する事業です。

それに対して特定貨物自動車運送事業は、特定の荷主の需要に応じて、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業を指します。

貨物軽自動車運送事業がほかの2つの運送業と大きく異なるのは、事業に使用する自動車が「三輪以上の軽自動車および二輪の自動車(バイク)」に限られるという点です。

貨物軽自動車運送事業は届出のみで開業可能

一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業は、どちらも事業を始めるにあたって役所の許可が必要です。

しかし、軽貨物運送事業の場合、許可は必要ありません。一定の要件を満たしていれば、役所への届出だけで開業できます。

比較的簡単に事業を開始できるため、軽貨物運送事業主の多くは個人事業主です。

貨物軽自動車運送事業に必要な要件

貨物軽自動車運送事業を開業するにあたっては以下のような要件が必要になります。

営業所

営業活動と運転者の管理を行う拠点を定めなければなりません。

自宅を営業所とすることも可能です。

事業用自動車

貨物軽自動車運送事業で使用する自動車は、軽霊きゅう自動車、軽普通自動車または125ccを超えるバイクのいずれかです。

2022年10月より、軽乗用車でも可能になりました。新車でなくてもかまいません。中古車でも大丈夫です。

届出書には種別ごとの数を記載します。

車庫

車庫は、原則として営業所に併設されている必要があります。併設できない場合は、営業所からの距離が2km以内でなければなりません。その他以下の要件を満たしている必要があります。

  • 使用予定の事業用自動車すべてを収容できるものであること。
  • 使用権原を有し、自らが使用権原を有する旨の宣誓書が添付されていること。
  • 都市計画法等関係法令に抵触しないこと。都市計画法等関係法令(農地法、建築基準法等)に抵触しない旨の宣誓書が添付されていること。

休憩・睡眠施設

乗務員が利用できる適切な休憩・睡眠施設が必要です。

運送約款

運賃・料金の収受・事業者の責任などを定めた運送約款を策定します。荷主の正当な利益を害するおそれがないものでなければなりません。

運送約款に関しては、国土交通省が定める標準約款を使用することも可能です。その場合、届出書に添付する必要はありません。

管理体制

事業の適切な運営を確保するための管理体制を整えます。

具体的には、過積載、過労運転の防止、乗務前後の点呼、乗務員に対する監督などの管理を行える体制が必要です。

また、1つの営業所に10台以上の車両を配置する場合、資格を有する整備管理者を選任する必要があります。

運賃・料金

荷主に対して不当とならないように運賃・料金を設定します。利用者にわかりやすいように営業所に掲示しなければなりません。

損害賠償能力

自動車損害賠償保障法等に基づく責任保険または責任救済に加入する計画があり、自賠責保険や事業用の自動車任意保険に加入するなど十分な損害賠償能力を保持している必要があります。

所属する地域の運輸局が定める様式によっては、損害賠償の支払い能力を有することの宣誓書を添付しなければならない場合があります。

貨物軽自動車運送事業の届出に必要な書類

貨物軽自動車運送事業の届出には以下のような書類の提出が必要です。

届出書などの書類は国土交通省各エリアの運輸局のホームページからダウンロードできます。

届出書の様式は、各運輸局によって多少異なります。

  • 貨物軽自動車運送事業経営届出書(正と控えの2部)
  • 運賃料金設定(変更)届出書(正と控えの2部)
  • 運賃料金表
  • 事業用自動車等連絡書
  • 車検証の写し(新車の場合、完成検査証写し)
  • 整備管理者選任届(10台以上の場合)

貨物軽自動車運送事業の手続きの流れ

貨物軽自動車運送事業の開業に必要な手続きについて、順を追って説明します。

①貨物軽自動車運送事業を届け出る

管轄の国土交通省運輸支局の輸送部門に貨物軽自動車運送事業の届出に必要な書類(前項参照)を提出します。

②事業用自動車等連絡書の発行を受ける

届出書類に不備がなければ、その場で事業用自動車等連絡書が発行されます。窓口の混雑具合にもよりますが、所要時間は通常10分程度です。

③車検証・ナンバープレートの発行を受ける

事業用自動車等連絡書の発行を受けると、ナンバープレートと新しい車検証を発行してもらいます。

ナンバープレートが発行されるのは、軽四輪の場合は軽自動車検査協会、軽二輪・小型二輪の場合は事業を行う営業所を管轄する運輸支局の登録部門です。

軽四輪の場合は黒ナンバー、軽二輪・小型二輪の場合は緑ナンバーが発行されます。

貨物軽自動車運送事業で注意すべき事項

個人事業主として従事する場合でも従業員を雇う場合でも、以下のような点に注意する必要があります。

安全走行のための体制を作る

休憩が十分とれるように勤務時間・乗務時間を定め、これを遵守しなければなりません。

乗務前には、ドライバー・車両の点検の確認を行い、これを記録します。

アルコールチェッカーによる酒気帯びや疾病・疲労の有無の確認も必要です。

旅客の運送はできない

貨物軽自動車運送事業で運送できるのは貨物だけです。事業として人を乗せて運ぶことは禁止されています。

過積載運行に注意

過積載運行をしないように注意しなければなりません。

貨物軽自動車運送事業で利用される車には、軽バン・軽トラック・軽乗用車があります。

軽トラック・軽バンの最大積載量は、車種や乗車条件(乗車人数)によって異なる可能性がありますが、おおむね350kgです。

軽乗用車の場合の積載可能な重量は、以下の式によって求められます。

(乗車定員 - 乗車人数)× 55kg

例えば、乗車定員4人で運転手のみが乗車している場合の最大積載量は、165kgです。

(4 – 1)×55=165

また、視野や運転操作を妨げるような積載はしないように注意しなければなりません。

車両の表示

自動車の両側面には、氏名または名称・記号を見やすく表示する必要があります。

表示は、はっきりと消えないもので記入します。

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