
古物商の許可申請に必要な「URL疎明資料」。聞きなじみのない書類ですが、インターネット取引をする場合の必須書類です。基本的な内容の説明に加え、必要となるケースや実際に用意する書類などを詳しく解説します。
目次
古物商の申請に必要な「URL疎明資料」とは
古物商許可の取得のためには、多くの書類を揃えて申請する必要があり、その一つに「URLの使用権限があることを疎明する資料」があります。この文字を見ただけでは、いったい何が必要なのか悩まれる方も多いと思います。
本記事では、いわゆる「URL疎明資料」とはどういったものなのか?何を用意すればよいのか?などを詳しく説明していきます。
そもそも「URL疎明資料」とは何か?
「URL疎明資料」とは、ひとことで言えば、インターネットを利用して古物取引を行う場合に、「私はこのURLで古物を売買します」ということを示す資料です。
本来、古物商許可の目的は盗品の流通防止と早期発見にあり、そのために警察としては、販売者が「いつ、どこで、何を売ったのか」を把握しておく必要があるため、届出が義務付けられているのです。
提出が必要なケース
前述のとおり、インターネット上で古物取引を行う予定があれば提出が必要となりますが、一方で、不要なケースや判断が難しいケースもあります。
提出が必要とされるケース
- 自社開設のECサイトでの販売
- 他社ECモールへのショップ出店(Amazon、楽天市場、ヤフオクストア、メルカリshopsなど)
提出不要とされるケース
- 会社情報の掲載にとどまり古物取引を行わないホームページ
確認が必要なケース
- フリマサイトやオークションサイトで都度出品
自社ECや他社ECモールへの出店など、事業者独自のURLが存在する場合は提出が必要になる可能性が高い一方、フリマサイトやオークションサイトにてショップ出店をせずに一品ずつ出品するケースは、警察署(都道府県)によって提出の可否判断がわかれているのが実情です。管轄の警察署がどのような取り扱いをしているか、事前に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。

具体的な提出書類の例
実際に必要となる書類は、利用するホームページによって異なります。
ECサイトを自社開設する場合や、他社サイトを利用する場合、まだホームページが完成していない場合について見ていきましょう。
自社開設のECサイト(独自ドメイン取得)
独自ドメインを取得して開設する自社ECの場合、代表的な書類が2点あります。
1.プロバイダが発行した通知書
レンタルサーバー会社などのプロバイダが、ドメインの取得・登録が完了した際に発行する「ドメイン割当通知書」がこれにあたります。この書類には、通常、「登録者名」「ドメイン名」「発行元(プロバイダ名)」の3つの情報が記載されています。書類の名称はプロバイダによって「登録完了のお知らせ」、「設定通知書」、「ユーザー証明書」、「ドメイン取得証」など、異なることがありますが、上記の3つの情報が記載されていれば代用することができます。
ただし、この書類は書面で交付されたものに限り「URL疎明資料」として扱われ、メールなどによって電子データで交付されたものは認められないのが一般的です。また、書面での交付に応じてくれるかどうかもプロバイダによって異なります。
2.「WHOIS情報検索」の検索結果画面
「WHOIS情報検索」とは、ドメイン名やIPアドレスの登録者に関する情報をデータベース化したもので、誰でもインターネット上で参照できるシステムです。
検索結果画面にて、申請者本人の氏名や法人名を確認できれば、その画面を印刷することで「URL疎明資料」として使うことができます。
ただし、プロバイダ側が利用者のプライバシー保護のために氏名などの個人情報を非公開設定にしていることも少なくありません。検索結果に自身の氏名などが表示されない場合には、レンタルサーバー上の管理者画面で設定を変更するか、直接ドメイン業者に問い合わせてみる必要があります。
なお、ドメインの所有権が申請者にない場合は、上記の書類でドメインの所有者を示したうえで、ドメインの所有者から発行してもらったURL使用承諾書をあわせて添付します。
独自ドメインは取得せず、他社サイトにて出店
独自ドメインを取得せずに他社サイト上で出店する場合は、利用するプラットフォームによって提出する書類が若干異なります。
【代表的な例】
Amazon
AmazonからはURL使用承諾書が発行されないため、プロフィールページを印刷して提出します。その際、出品者として申請者の氏名が記載されているか、URLの記載があるかを確認しておきましょう。
なお、管轄の警察署によっては、URL使用許諾書を発行できない旨のAmazonからの返信メール文面などが求められることもあるようです。
メルカリshops
こちらも運営側からはURL使用承諾書が発行されませんが、ショップ開設時に送付される審査完了メールをPDF化・プリントアウトして提出するよう公式でアナウンスされています。
ただし、管轄の警察署によっては、プロフィールページの印刷が必要となる場合もあります。
BASE、STORES
BASEとSTORESについては、ともに使用承諾書が発行されますので、それを添付書類として使うことができます。請求方法はそれぞれのヘルプページからご確認ください。
他のプラットフォームにおいても、申請者本人の氏名とURLを記載したプロフィールページで対応できるケースが多いですが、警察署によって取り扱いに差があるため、申請の際には事前に問い合わせておいたほうが確実でしょう。
ホームページが完成していない場合の対処法
これから古物商許可を申請する場合、ホームページが未完成というケースもあるかと思います。そういった場合には、後からURL届出の手続きを行えば問題ありません。(ホームページ開設後、14日以内に届け出る必要あり)
ドメイン取得さえしていれば、「ドメイン割当通知書」や「WHOIS情報検索」で使用権限を確認することはできますが、内容がある程度完成していないと取引実態が確認できず、審査に影響が出てしまう可能性もあります。
なお、完成後のホームページのトップページには、古物商の氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、古物商許可証の番号の表記が義務付けられているので、忘れずに記載しておきましょう。
まとめ
- 「URL疎明資料」はインターネットを利用して古物取引を行う場合に必要な書類
- 自社ECや他社ECへのショップ出店は提出が必要だが、フリマやオークションなどへの都度出品は警察署によって取り扱いが異なる
- 提出が必要な場合も、統一的な添付書類が決められていないことが多く、個別での確認が必要となる
「URL疎明資料」は、古物商許可の趣旨を鑑みると、審査において重要な書類といえます。ドメイン業者や他社EC業者とのやりとりが発生することもあるため、早めに必要書類を確認してスムーズに許可申請を進めましょう。






