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【法人税確定申告書】別表の記載内容とは?

法人税確定申告書には多くの別表がありますが、必ず提出しなければならないものと、会社の規模や決算の状況に応じて提出するものに分けられます。

今回は、法人税確定申告書の主な別表の記載内容について解説します。

法人税確定申告書の別表とは?

法人税確定申告書は、決算日の翌日から2か月以内に決算報告書や勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書などとともに管轄の税務署に提出しなければならない書類です。

法人税確定申告書には別表があり、さらに、別表ごとに枝分かれしている別表(別表〇(1)、(2)…、別表〇の2、3…など)や付表などもありますので、それらをすべて含めると300種類以上の書類があります。

ただし、必ず提出しなければならない数種類の別表以外は、会社の規模や決算の状況に応じて該当がある場合に提出することになっていますので、すべての別表を提出しなければならないわけではありません(これについては後半で説明します)。

主な別表の記載内容

別表は複数ありますが、ここでは、令和2年4月1日以降に終了する事業年度に対応する主な別表の記載内容について説明します。

別表1・各事業年度の所得に係る申告書-内国法人の分

法人名や法人番号、代表者名、住所などの法人に関する情報、また、当該事業年度における法人税額、地方法人税額などを計算するための書類で、次葉(じよう)とセットになっています。

別表1は、表紙に相当する書類で、一般的には、以下で説明する別表で各種の計算をしたあと、それらの計算結果を踏まえて最後に記載する書類になります。

別表2・同族会社等の判定に関する明細書

同族会社や特定同族会社に該当するのかどうか(該当する場合には納税額の計算が異なります。)を判定するための書類で、「期末現在の発行済株式の総数又は出資の総額」や「上位3順位の株式数又は出資の金額」などを記載します。

なお、法人税法上の同族会社とは、上位3株主グループが株式の50%超を保有している会社のことを言い、特定同族会社とは、上位1株主グループが株式の50%超を保有していて、資本金の額または出資金の額が1億円超の会社、または、資本金の額または出資金の額が5億円以上の会社の100%子会社のことを言います。

別表4・所得の金額の計算に関する明細書

税務上の損益計算書のような書類で、会計上は収益に該当しなくても税務上は益金に該当するもの、会計上は費用に該当しても税務上は損金に該当しないもの、また、その逆のパターンも含めて、加算、減算を行って、税務上の所得金額と欠損金額を計算します。

なお、この別表4に限った話ではありませんが、上記のような計算が必要なのは、法人税は、会計上の利益(収益―費用)に対して課税されるわけではなく、税務上の所得(益金―損金)に課税されるためです。

別表5(1)・利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

税務上の貸借対照表のような書類で、期首の利益積立金額と資本金等の額、また、期中におけるそれぞれの増減額(原則として別表4の加算、減算を反映)を記載して、期末の利益積立金額と資本金等の額を計算します。

別表5(2)・租税公課の納付状況等に関する明細書

租税公課、つまり、法人税や地方法人税、都道府県民税、市町村民税、法人事業税の納付状況などについて記載します。

別表6(1)・所得税額の控除に関する明細書

期中に受け取った公社債の利子や預貯金の利子などの収入金額、また、その収入金額から源泉徴収された所得税額の内訳などを記載します。

別表7(1)・欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書

当期に欠損金が生じた場合に、欠損金を繰り越したり、繰越欠損金を当期の所得金額から控除したりするときにその明細を記載します。

なお、欠損金とは、「益金-損金」がマイナスになった場合の額のことで、一定の要件を満たすと、翌事業年度以降に繰り越すことができ、黒字になったときに相殺できるようになっています。

別表8(1)・受取配当等の益金不算入に関する明細書

法人税法上、受取配当金のうち益金に算入しないとされているもの(剰余金の配当など)を、当期の所得金額から差し引くためにその明細を記載します。

別表11(1)・個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

取引先の受取手形や売掛金などの金銭債権が回収不能になる場合(貸倒れ)に備えて計上しておく貸倒引当金については、資本金の額または出資金の額が1億円以下である中小企業など(資本金の額または出資金の額が5億円以上の会社の100%子会社を除く)であれば、一定の限度額まで損金に算入できることになっています。

貸倒引当金として計上している金銭債権の中に、法人税法上の個別評価金銭債権(一般的に回収不能または回収が困難な不良債権のこと)がある場合には、債務者ごとに個別評価の事由(法令上のどのパターンに該当するのか)や当期の繰入額などを記載し、繰入限度額の計算を行います。

別表11(1の2)・一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

上記と同様に、資本金の額または出資金の額が1億円以下である中小企業などが対象になりますが、こちらは、法人税法上の一括評価金銭債権(個別評価金銭債権に該当しない金銭債権)がある場合に、当期の繰入額などを記載し、繰入限度額の計算を行います。

別表14(2)・寄附金の損金算入に関する明細書

国や地方公共団体、公益社団法人などに対する寄附金はその全額を損金に算入でき、その他に対する寄附金は、一定の計算式によって求められる額までを損金に算入できることになっていますので、寄附金の支出がある場合にはその明細を記載します。

別表15・交際費等の損金算入に関する明細書

期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である中小企業などは、交際費を年間800万円まで、または、交際費の額のうち接待飲食費(飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く))の50%に相当する額まで損金に算入することができ、大企業(期末の資本金の額または出資金の額が100億円を超える法人を除く)は、交際費の額のうち接待飲食費の50%に相当する額まで損金に算入できるようになっています。

このため、交際費の支出がある場合には、その明細、また、損金算入限度額や損金不算入額などを記載します。

別表16(1)・旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書

減価償却費についても一定の償却限度額まで損金に算入できますが、この書類では旧定額法または定額法(毎年定額の金額を減価償却処理する方法)で計上している減価償却費が償却限度額を超えていないかなどを計算するためにその明細を記載します。

別表16(2)・旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書

上記の書類とセットになりますが、この書類では定率法(残存価格を一定割合で減価償却処理する方法)で計上している減価償却費が償却限度額を超えていないかなどを計算するためにその明細を記載します。

別表16(6)・繰延資産の償却額の計算に関する明細書

繰延資産とは、支出の効果が翌年以降に及ぶもの(会社の創立費、開業費、開発費など)のことを言いますが、この繰延資産を償却費として損金経理(決算において費用または損失として経理すること)している場合には、その額のうち一定の償却限度額までは損金に算入できることになっています。該当する場合にはその明細を記載します。

別表16(7)・少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書

資本金の額または出資金の額が1億円以下の中小企業、または、農業協同組合などで青色申告書を提出する法人が、法人税法上の少額減価償却資産(取得価額が30万円未満の減価償却資産)を取得した場合には、年間で300万円を上限としてその全額を損金に計上できる特例があります。この特例の適用を受ける場合にはその明細を記載します。

別表16(8)・一括償却資産の損金算入に関する明細書

企業規模を問わず、法人税法上の一括償却資産(取得価額が20万円未満の減価償却資産)を取得した場合には、個別に管理することなく、まとめて3年間にわたって均等償却し、年度ごとに損金に算入できることになっていますので、その明細を記載します。

提出が必要な別表は会社によって異なる

別表は全てを提出しなければならないわけではありません。

一般的には、別表1、別表2、別表4、別表5(1)、別表5(2)は必ず提出することになりますが、そのほかの別表については、その別表に記載すべき項目を決算書に計上している場合や、中小企業などで税法上の特例の適用を受けるために提出することになります。

まとめ

法人税確定申告書には多くの別表がありますが、必ず提出しなければならないものと、会社の規模や決算の状況に応じて提出するものに分けられ、全ての別表を提出しなければならないわけではありません。

決算や法人税確定申告書の作成・提出を税理士に任せている企業も多いですが、自社で対応する場合には、税額を抑えるためにも各別表がどのような意味を持っているのかなどについては十分理解しておく必要があります。