飲食店の営業許可を自分で取得する方法
飲食店を営業するには、保健所の営業許可(主に飲食店営業許可)を取得する必要があります。
この記事では、飲食店の営業許可を自分で取得するための手順や要件について解説します。
許認可取得までの流れ
飲食店の営業許可を取得するまでの流れを紹介します。
①保健所への事前相談
管轄の保健所を確認し、事前に相談に行きます。
営業の内容によって必要な許可の種類と施設の基準は異なります。一般的な飲食店の多くが「飲食店営業」の許可となりますが、業態によっては「喫茶店営業」の許可になったり、「菓子製造業」の許可も必要となったりします。
事前相談に適したタイミングは、施設の工事着工前です。設計図面などを持参して相談しましょう。もし、工事着工後に「これだと基準に合わない」と指摘されてしまうと、工事の変更が必要になり無駄なコストや時間がかかってしまうことになりかねません。
②申請書類の準備
飲食店の営業許可の申請には、基本的に以下の書類が必要です。事前相談の時に確認しましょう。
- 飲食店営業許可申請書(保健所で取得可能)
- 営業設備の大要・配置図(保健所で取得可能)
- 食品衛生責任者の資格証明書(食品衛生責任者手帳など)
- 登記事項証明書(法人の場合のみ・法務局で取得可能)
- 水質検査成績書(貯水槽や井戸水を利用する場合)
③営業許可申請
申請書類をそろえたら保健所で申請手続きをします。
工事完了後にすぐに営業を始めるためには、工事完了の10日前くらいに申請手続きを済ませましょう。申請手続きの際に、保健所の立会検査の日程を決めるのが一般的です。
④保健所による施設の立会検査
保健所の担当者が店舗を訪問し、立会検査を行います。
施設が申請内容どおりか、食品衛生法で定める基準を満たしているかを、実際に施設を見て細かくチェックします。基準をクリアしていない場合、改善した上で再度検査を受ける必要があります。
⑤許可証の交付
交付予定日に認印を持参の上、保健所で営業許可書を受け取ります。
許可書の交付を受ければ、晴れてお店の営業が始められます。
許認可取得の要件
飲食店の営業許可を取得するには、主に3つの要件を満たす必要があります。
専任の食品衛生責任者を置く
飲食店は、食品衛生責任者を一店舗につき一人以上置く必要があります。食品衛生責任者は、食品を扱う店舗で食中毒などを防ぐために、食品の衛生管理を行う人のことです。
食品衛生責任者になるには、各都道府県に設置されている衛生協会が実施する講習を受講する方法が一般的です。また、調理師や栄養士等の資格を持っている場合には、講習を受けなくても食品衛生責任者になることができます。
許可申請者が欠格事由に該当しない
許可を申請する人(お店の営業者)が以下に該当する場合には、飲食店営業許可を取得することができません。
- 食品衛生法違反をして刑に処せられた
- 過去に飲食店を営業しており営業許可取消処分を受けた
法人の場合には、役員に1人でも上記に該当する人がいる場合、許可を取得することができません。ただし、処罰されたり、営業許可取消処分を受けてから2年が経過していれば許可を取得することができます。
基準を満たした施設を完備する
店の設備や構造が法律で定める要件を満たしている必要があります。細かい基準は保健所によって異なりますので、事前相談の際に詳しい説明を受けてください。
代表的な設備のポイントの具体例を紹介します。
- シンクのサイズが基準を満たしているか
- 調理場と客席が扉等で分かれているか
- 厨房やトイレに基準を満たした手洗い場があるか
- 食器棚に戸がついているか
- 厨房の床が掃除をしやすい構造になっているか
- 厨房内に冷蔵庫等の設備が収まっているか
- 冷蔵庫に温度計が設置されているか
- 厨房内に蓋付きのごみ箱が設置されているか
費用
飲食店の営業許可を取得するためには、申請手数料がかかります。手数料は飲食店の営業形態や保健所により異なりますが、大体15,000円~20,000円程度です。
行政書士に手続きを依頼する場合には、別途報酬が発生します。
まとめ
飲食店の営業許可は、手間を惜しまなければ自分で取得することが可能です。
保健所での事前相談がポイントとなるため、気になる点をしっかりと確認できるように備えましょう。
お店のオープン予定日にスムーズに営業を始めるために、時間の余裕をもって準備することが大切です。