古物商の営業許可を自分で取得する方法
古物の売買を事業で行う場合や、インターネットショップ等で継続的に中古品を取り扱いたい場合、古物営業法に基づく営業許可を取得する必要があります。
この記事では、許可取得までの流れと営業許可の要件について説明します。
古物商の営業許可とは
古物の具体例としては、古本、古着、骨とう品、電化製品、中古車、中古CD・DVDなどが挙げられます。また「一度使用されたもの」だけではなく、買ったり譲られたりしたが、「一度も使用していないもの」も含まれます。
古物取引の最大の特徴は、窃盗や強盗といった犯罪によって取得された物品が混じっているおそれがあるということです。古物の売買が、自由勝手に行われると、犯罪に関係する物品が処分されやすくなり、その結果、犯罪が助長されることにもなりかねません。
そこで、古物営業法という法律に基づいた許可が必要ということになるわけです。
古物商とは
古物商とは、簡単にいうと、古物を自ら又は他人の委託を受けて、売買又は交換する営業のことです。具体的には、古着屋などのリサイクルショップ、中古CDショップ、中古車販売業などです。もちろん、インターネットを利用して取引する場合も含まれます。
手続としては、営業所(営業所のない者は住所)が所在する都道府県の公安委員会の許可を受けます。窓口になるのは警察署生活安全課です。
営業許可取得までの流れ
営業許可は、次の①~④の手順で取得します。
①許可取得要件の確認
後述する「欠格要件に該当しないこと」等、許可取得のための要件に合致しているかを確認しましょう。
要件自体は、厳しいものではありませんし、特に資格なども必要ありません。また営業所をどこにするか、ホームページ上で取引するか等も考えておきましょう。
②申請書類の作成と必要書類を集める
各警察署のホームページからダウンロードするか、窓口で必要書類を入手し、作成します。また、住民票や身分証明書なども必要となりますので、これらの必要書類も集めます。申請する都道府県によって、書式や求められる書類が多少異なる場合もありますので、申請前に管轄の警察署へ事前ヒアリングを行っておくと安心です。
③警察署に書類を提出する
営業所(住所)を管轄する警察署の生活安全課(名称は異なる場合もあります)へ、書類一式を提出し、申請手数料も支払います。提出の際は、事前にアポイントをとるようにしましょう。担当者が不在の場合、受付してくれないこともありますので、確認するようにしてください。
また、その場で訂正や修正を行う場合もありますので、筆記具と印鑑(書類に押印したものと同じもの)をご持参ください。印鑑は訂正印として使用します。
④古物商許可証を受け取りに行く
警察署に申請書を提出した後、約40日程度で交付されます。
許可証の受け取りは、法人の場合、代表者が、個人の場合は本人が出向く必要があります。
営業許可取得の要件
特に資格要件はありませんが、営業所ごとに責任者として管理者を1名選任しなければなりません。また、欠格要件に該当しないことが求められます。
管理者は、申請人本人で構いませんので、営業所が1カ所のみの場合、特に問題ありません。
欠格要件も、通常であれば、特に問題ありませんが、簡単に以下に列挙します。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑、または古物営業法規定の罪を犯して罰金の刑に処せられ5年を経過しない者
- 暴力的不法行為をするおそれがあると認められる相当な理由がある者
- 暴力団員、元暴力団員等
- 住居の定まらない者
- 古物商許可を取り消されて5年を経過しない者
- 許可取り消しとなり、聴聞から処分確定までの間に自主返納してから5年を経過しない者
- 心身の故障により古物商または古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
なお、欠格要件に該当しないことは、誓約書に記名、押印することで誓約します。
費用
古物商の営業許可申請の際には、手数料として19,000円が必要となります。手数料は、申請書提出の際、同じ警察署内で販売している収入証紙を貼付する方法で支払います。
必要書類
古物営業許可申請に必要な書類は、下記の通りです。個人の場合と、法人の場合で、少し変わりますのでご注意ください。
なお、「様式あり」の書類は、ホームページからダウンロードもしくは警察署の窓口で手に入れることができます。
個人の場合
- 申請書(様式あり) 1通
- 略歴書(様式あり) 1通
- 誓約書(様式あり) 1通
- 住民票の写し(申請時前3ヶ月以内発行のもの)
- 身分証明書(本籍地の役所で発行されるもの。禁治産者、準禁治産者及び破産宣告(破産手続開始決定)の通知を受けていないことを証明するものです。)
- 営業所の管理者について、2から5の書類(申請者と同一人の場合は不要です)
以下、必要に応じて必要となる書類です。
- URLを使用する権限のあることを明らかにする書類(ドメイン割り当て通知書のコピー等)
- 営業所の土地・建物(登記されている場合)の登記簿謄本 1通
- 営業所の土地・建物の所有者が申請者と異なる場合は、賃貸借契約書の写し、または使用承諾書 1通
- 営業所の見取図と周辺図
これら以外にも、管轄警察署によって提出を求められる書類もありますので、事前に確認しておきましょう。
法人の場合
基本的に個人の場合の書類と同じものが必要です。
- 申請書(様式あり) 1通
- 略歴書(様式あり) 1通
- 誓約書(様式あり) 1通
- 住民票の写し(申請時前3ヶ月以内発行のもの)
- 身分証明書(本籍地の役所で発行されるもの。禁治産者、準禁治産者及び破産宣告の通知を受けていないことを証明するものです。)
- 営業所の管理者と役員全員(監査役も含む)分の2から5の書類
以下、必要に応じて必要となる書類です。
- URLを使用する権限のあることを明らかにする書類(ドメイン割り当て通知書のコピー等)
- 営業所の土地・建物(登記されている場合)の登記簿謄本 1通
- 営業所の土地・建物の所有者が申請者と異なる場合は、賃貸借契約書の写し、または使用承諾書 1通
- 営業所の見取図と周辺図
- 法人の登記事項証明書 1通
- 法人の定款 1通
なお、登記事項証明書や定款には「古物商の営業」についての記載が求められます。
古物商の営業許可申請は、以前は開設する営業所が都道府県をまたぐ場合、それぞれの都道府県の警察署に申請が必要でしたが、古物営業法の改正により2020年4月1日より、主たる営業所(いわゆる本店)の管轄警察署に申請すればよいことになっています。
まとめ
古物商の営業許可を取得するための申請書などの作成書類は、記載ボリュームは多くありません。むしろ、住民票の写しや、身分証明書を集める方が手間を要するかもしれません。
身分証明書は、本籍地の役所で発行されるもので、運転免許証やマイナンバーカードのことではありませんので、ご注意ください。
本籍地が遠隔地の場合は、郵送でも取得可能ですが、時間がかかりますので、早めに手配するようにしましょう。