介護サービスの指定(許可)を自分で取得する方法
介護サービスとは、介護保険制度を利用して受けることができるサービスのことをいいます。
対象は、65歳以上で要介護認定を受けた方と、40~64歳までの加齢に伴う病気(特定疾病)が原因で要介護認定を受けた方です。
この介護サービスは大きく分けると、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」に分けることができます。
このような介護サービス事業を行うためには、どのようなものが必要になるでしょうか?
介護サービスの指定(許可)を取得するまでの流れ、要件、必要書類などについて説明します。
介護サービスの指定(許可)とは
介護サービスの指定(許認)とは、いったいどのようなものでしょうか?
介護サービスには、居宅サービスや施設サービスなど多くの種類がありますが、これらのサービスを「介護保険」の適用を受けるサービスとして提供する場合、都道府県や市町村から「指定」を受けなければなりません。
指定には、サービスごとに定められた人員・設備・運営に関する基準に従う必要があります。また、前提として「法人であること」という条件もあります。
これらの条件や基準といった内容は、介護保険法等の関係法令を根拠にしていますが、これらの他、各都道府県、市町村の条例等に定める基準もありますので、指定申請の際には、確認が必要です。
ここでは、介護サービスの中から「訪問介護」事業の指定を例として、申請から取得までの流れ、必要書類などを説明していきたいと思います。
「訪問介護」とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者宅を訪問し、食事や入浴などの介護、調理や洗濯などの日常生活の支援を行うものです。
手続としては、事業所が所在する都道府県、市町村の介護関係などの担当部門へ確認し、介護サービス事業者として指定してもらうための申請を行います。
ちなみに東京都の場合は、東京都福祉保健財団が受付窓口となっています。
指定(許可)取得までの流れ
指定(許可)は、次の①~⑤の手順で取得します。
①指定の基準の確認
介護保険事業の申請にあたっては、法人格を有する必要があります。また、介護サービス事業ごとに設定された、人員・設備・運営に関する基準もありますので、これらを満たすかどうかを、確認しておきましょう。
②事前相談・指定前研修
事業所を管轄する申請先(都道府県、市町村)に、電話予約の上、事前相談を行います。こちらは、申請先によって、若干の違いがありますが、どの申請先でも事前相談はほぼ実施しています。
さらに、申請先によっては、事前相談の前に指定前研修会が実施されている場合、事前相談を行わず指定研修会ですべて説明する場合もあります。
事前相談にあたっては、事業内容を把握している代表者、管理者など決定権限を持つ人が臨むと話がスムーズに進みます。
また、介護保険事業所には、設備要件等の基準もありますので、新築する場合でも、賃貸する場合でも、着工前、契約前に事前相談することが望ましいです。
この事前相談時には、各基準等についても教えてくれますが、下書き段階で構いませんので、申請書や必要書類を作成しておくと、修正点なども指摘してくれますし、その後の申請が進めやすくなります。
③申請書類の提出
事前相談が終わった後、申請書類を作成し、必要な添付書類を準備し提出します。
この申請に当たっては、代表者等、決定権限を持つ方が窓口に行く必要があります。申請書類で、軽微な記入漏れ等は、その場で訂正することができますが、多数の記入漏れ・重大な不備があった場合は、受理されませんので、事前確認するようにしましょう。
この申請書類が受理された後、具体的に審査されます。
④審査(現地確認)
申請書の受理から指定まで、標準処理期間として約2カ月かかります。
この際、書類に記入漏れや不備があった場合は、補正の連絡が来ますので、速やかに対応するようにしましょう。
訪問系サービスでは、実施されないことも多いですが、デイサービスなどの通所サービス事業、介護老人福祉施設などの施設サービス事業では、現地確認も実施されます。
⑤指定(許可)
審査の結果、特に問題等なければ、介護サービス事業者として指定(許可)されます。
指定通知書が発行されますので、担当者と日程調整した上で、窓口まで受け取りに行きます。
指定(許可)取得の要件
介護サービス事業者として指定を受けるためには、介護保険法関連と各条例等で定められている基準などを満たす必要があります。
介護サービスの内容と各条例によって、多少異なってきますが、ここでは一般的な「訪問介護」サービスを例に要件を説明します。
法人格を有すること
介護保険各事業の指定を受けるためには、法人格を有する必要があります。
また、法人の定款には介護保険事業を実施することについての記載が必要です。
人員基準を満たすこと
以下の3つの職種に定められた人数の人員を配置しなければなりません。
①管理者
資格は不要です。もっぱらその職務に従事する者1名が必要です。
②サービス提供責任者
サービス提供の責任者でヘルパーのまとめ役です。資格、実務経験等の資格要件を満たす必要があります。事業の規模に応じて1名以上が必要です。
③訪問介護員
利用者宅に訪問してサービスを提供するヘルパーです。資格や研修修了が必要となります。常勤換算方法で2.5名以上の配置が必要です。
設備基準を満たすこと
訪問介護事業所には、事務室と相談室が必要となります。事務室と相談室は、業務に支障がなければ区画されていなくても大丈夫ですが、利用申し込みや、相談等に対応するのに、適切なスペースを確保することが必要です。また、指定訪問介護に必要な設備及び備品等が求められます。
運営基準を満たすこと
法令、条例等の基準を満たす運営基準を求められます。←分かりやすくしました
費用
訪問介護事業者(指定居宅サービス)の指定手数料は、申請先によって異なり、0円~3万円程度となっています。申請の際には、事前相談などで確認しておきましょう。
必要書類
介護サービス(訪問介護事業所の場合)の指定申請に必要な書類は、下記の通りです。
- 申請書(様式あり)
- 登記事項証明書
- 経歴書(管理者・サービス提供者)
- 従業者の資格を証する書類の写し
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 平面図
- 運営規定
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 資金確保の状況
- 事業所の建物の利用権限を証する書類の写し
- 誓約書
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書及び体制等状況一覧表
これら以外にも、必要に応じて添付書類が必要になる場合があります。
添付書類も多いのですが、申請先によって求められる書類が異なりますので、目安として捉え、実際は、申請先のホームページや事前相談によって確認してください。
まとめ
介護サービスの指定(許可)の手続きは、ローカルルールも多く、準備する書類も異なる場合が多いのですが、事前相談や指定前研修などで、不明点は確認することができますので、自分で指定(許可)を取得することは可能です。
介護サービスの種類によって、指定のための基準や、添付書類などが変わってきますが、基本的な部分は同じですので、申請先のホームページや事前相談などで確認しましょう。