美容室の営業許可を申請・取得する方法
美容室の営業許可を取得するためには、管轄の保健所へ事前相談の上、届け出なければなりません。美容室の開設に資格は必要ありませんが、美容師としてサービスを行うためには美容師免許が必要です。
美容室オープンに必要な営業許可とは
美容室を新しくオープンさせるときは、お店の住所を管轄する保健所(生活衛生係・生活環境係など)へ届出を行わなければなりません。
一般的には、美容室と呼ばれていますが、保健所では「美容所」と規定しています。「美容所」とは、パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法によって容姿をより美しくすることを行うために設けられた施設です。
美容室をオープンさせること自体には、資格は必要ありません。しかし美容師としてサービスを行うためには、国家資格である美容師免許が必要になります。ですから、経営者自身が美容師免許をもっていて1人で美容室をオープンさせるのであれば、他に資格は必要ありませんし、資格を持たない経営者が美容師免許を持つ従業員を1名雇用して美容室をオープンさせるということも可能です。
ただし、美容室で働く美容師が2名以上いる場合は、管理美容師という資格が必要になります。管理美容師の資格とは、美容室の衛生状態を管理するためのものです。美容師法では、「常時2名以上の美容師がいる場合は管理美容師を置かなければならない」と定めています。
法律の文言通りで解釈すると、美容室に常勤の美容師が1名、非常勤の美容師が1名という体制ならば管理美容師の資格は必要ないと考えられますが、営業が始まった場合、美容師を増やすこともあるでしょうから、資格を取得しておいた方がよいでしょう。
管理美容師資格の取得方法
管理美容師資格は、大前提として既に美容師免許を取得していなければなりません。美容師免許を取得した上で美容師として3年以上の勤務経験があり、かつ、指定されている講習会を受講することにより、管理美容師の資格を取得することができます。
管理美容師資格認定講習会は合計18時間となっていますから、美容師免許の取得と比較すると容易に資格を取得することが可能です。美容師免許をもつ方が1人で働く場合でも、途中から従業者が増えることもあり得ますから、管理美容師の資格を取得しておくことをおすすめします。
取得の要件
新しく美容室(美容所)を開設するにあたって、確認(許可)を受けるためにクリアしなければならない法令基準や通知をまとめました。詳細に関しては、美容室をオープンさせる住所地を管轄する保健所に問い合わせを行ってください。
美容師
・美容師でなければ、美容を業としてはなりません。ただし、美容所の開設者は美容師でなくても構いません。
・美容師が常時2名以上である場合は、当該美容所の衛生管理を行うために管理美容師を置かなければなりません。ただし開設者が管理美容師の資格を保有している場合、その開設者が自ら主として管理する美容所について管理美容師となることも可能です。
床面積
・美容の業務を行う1つの作業室の床面積は、13㎡以上であること。
いすの台数
・1つの作業室に設置できる美容いすの数は、床面積13㎡に6台までとし、以降いすを1台追加するごとに床面積3㎡以上の面積の追加が必要です。
客の待合場所
・作業室には、作業中の客以外の者を勝手に出入りさせてはいけません。
・作業前の客は、作業室と区分された待合場所に待機させる必要があります。
その他の設備等
・床、腰板には、コンクリート・タイル・リノリューム・板等不浸透性材料を使用すること。
・洗い場は、流水装置とすること。
・採光、照明、換気を十分にすること。
・美容のための作業を行う場合の作業面の照度を100ルクス以上とすること。
・美容所内の炭酸ガス濃度は、0.5%以下を保たなければならない。
・消毒済物品容器と未消毒物品容器を設置すること。
・ふたの付いた汚物及び毛髪箱を設置すること。
・消毒設備を設置すること。
・美容を行うために十分な数量の器具類、客用の布片(タオル等)を備えておくこと。
美容室の営業許可取得までの流れ
美容室(美容所)の開設までの手続きは、届出先の保健所によって多少異なります。美容室の開設準備の段階で、管轄の保健所へ確認を行ってください。
手順①:事前相談
保健所に事前連絡の上、美容室の構造設備等の図面を持参して相談します。
新規で店舗の賃貸契約等を行う場合は、必ず契約前に保健所への事前相談を行うようにしましょう。
手順②:開設届と必要書類を提出
開設時に必要な書類の準備ができたら、保健所へ提出します。書類提出後には施設の検査もありますので、開業日までの日数に余裕をもって届け出ましょう。※必要書類については、のちほど説明します。
手順③:施設(美容室)の検査
施設が完成した後、保健所の職員が施設基準等に適合しているか検査します。施設工事に取り掛かる前に、施設基準については図面等で保健所に確認しておきましょう。
手順④:美容室のオープン
施設検査に合格(適合)し、保健所長の確認を得られれば開店することができます。後日、確認済証が交付されますので、認印を持って保健所に取りに行きましょう。郵送対応してくれる場合もあります。
なお、認印が必要かどうかは、保健所の運用によって異なりますので、受取の際には事前に確認しておいてください。
費用
美容室の施設検査手数料として、下記の費用が必要になります。
・検査手数料:15,000~24,000円程度
検査手数料は、届出を行う保健所により異なりますので、事前に確認しておきましょう。
管理美容師資格認定講習会を受講するときは、公益財団法人「理容師美容師試験研修センター」のホームページから最寄りの会場の講習会へお申し込みください。公衆衛生4時間、理・美容所の衛生管理14時間、合計18時間の講習を3日間で受講しなければなりません。
・講習会受講料 16,000円
必要書類
美容室(美容所)開設に必要な書類は下記の通りです。届出する保健所によって多少異なりますので、ご注意ください。書式については、保健所や自治体等のホームページからダウンロードすることができます。
1.美容所開設届
2.構造設備の概要
・施設の平面図など
3.従業者名簿
・美容師資格者の免許証(本証を提示)
・美容師資格者は医師による診断書(結核・伝染性皮膚疾患でないことがわかるもの、提出日の3ヵ月以内に取得したもの)
4.検査手数料
法人の場合は、法人の登記事項証明書(6ヵ月以内に取得したもの、原本提示)も必要です。なお、法人の登記事項証明書の事業目的に「美容室の経営、運営」等が入っているか確認しておきましょう。
まとめ
美容室の営業許可を取得するには特別な資格は必要なく、管轄の保健所へ届け出て施設検査を受けるだけです。
ただし美容サービスを提供するには国家資格である美容師免許が必要です。
また、常時2名以上の美容師がいる場合は、管理美容師の資格が必要となりますので、ご注意ください。
管理美容師の資格は、3年以上の勤務経験と合計18時間の講習を受ければ取得することができます。
そして法人の場合、登記事項証明書の提出が必要となりますので、事業目的に「美容室の経営・運営」等が含まれていることを確認してください。
既存の法人の事業追加の場合、定款の事業目的の変更登記が必要となりますので、ご注意ください。
LegalScriptなら登記書類を簡単作成
事業目的の変更登記は、司法書士等に依頼することも出来ますが、司法書士への報酬が発生します。LegalScriptなら、細かい登記の内容を勉強しなくても、登記に必要な書類をオンラインで簡単に作成することができます。
詳しいサービス内容は以下のボタンよりご覧ください。