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増資(資本金増額)したら登記が必要!手順と必要書類は?

会社の資本金は登記事項です。
つまり、増資(資本金の増額)をする場合には増資の手続きと一緒に、登記の変更手続きも必要です。

増資の手続きは、増資の方法や会社の機関に応じて事前に計画を立てて、抜かりなく進めていくことが大切です。

ここでは、非公開会社が第三者割当により増資をする場合の具体的な手続きの流れと、登記手続きに必要となる書類などについて解説します。

増資とは

増資とは、会社が新たに株式を発行(新株発行)してその対価として出資を受けることにより、資本金を増額することです。

増資は、会社が事業資金を調達する手段のひとつです。
他の資金調達の方法としては、金融機関などから融資を受ける、補助金・助成金の利用や社債の発行など、様々な選択肢があります。

増資には、「株主割当」と「第三者割当」、「公募」の3種類の方法があります。
株主割当増資は、既存の株主に対して現在の持ち株比率に応じて新株を割り当てる方法です。
第三者割当増資は、株主に限らずに第三者に対して新株を割り当てる方法です。
公募増資は、不特定多数の投資家から資金を調達します。上場企業の増資、IPO(新規公開株式)等で利用されます。

増資の手続き

ここでは、非公開会社(株式譲渡制限のある会社)が第三者割当により増資をする場合の手続きの流れを紹介します。

手順①:株主総会で募集事項を決議

まず、株主総会を開いて、募集株式の内容について決議します。
株主総会で決議するのは以下の内容です。

  • 募集する株式の数
  • 募集する株式の払込金額(対価)
  • 現物出資(金銭以外の出資)の場合にはその財産の内容
  • 出資金の払込期間または払込期日
  • 増加する資本金及び資本準備金の金額

ただし、一部の内容のみを株主総会で決議し、その他の内容の決定については取締役会に委任することもできます。
その場合、株主総会で決議するのは以下の内容です。

  • 募集する株式の上限
  • 募集する株式の払込金額(対価)の下限

手順②:申込希望者への通知

募集株式の内容について決定したら、次は募集株式の引き受け希望者(出資希望者)に対して、以下の内容を通知して、申し込みを募ります。

  • 会社の商号
  • 募集事項(手順①で決議した内容)
  • 払い込みの場所(通常は振込口座)

手順③:出資希望者の申し込み

通知を受け、募集株式の引き受けを申し込む人は、以下の内容を記載した書面を株式発行会社に対して交付します。

  • 申込者の氏名、住所
  • 引き受けを希望する募集株式の数

手順④:株式の割当てを決定・通知

出資希望者からの申し込みを受けたら、株主総会または取締役会で誰に対してどれだけの株式を割り当てるかを決議します。

希望した株式数通りにしなければならないわけではなく、50株の引き受けを希望した人に30株割り当てることもできます。
そして、決定した結果を申込者に対して通知します。

手順⑤:申込者の出資金払い込み

株式の割当てを受けた申込者が、払込期間または期日に出資金を払い込みます。

手順⑥:新株発行、増資登記

出資金が払い込まれると、資本金増額の効力が生じます。新株が発行され、出資者は株主となります。
ただし、新株が発行されると言っても、「株券発行会社」以外では実際に紙の株券が発行されるわけではありません。

増資の効力が生じたら、その日から2週間以内に変更登記を行います。
資本金の額だけでなく、発行済み株式数も増えることになるため変更登記が必要です。

例外:総数引受契約をする場合

会社は、第三者割当による増資をする場合に、「総数引受契約」をすることができます。

総数引受契約とは、事前に募集株式の内容を決めておき、引受人との合意により全募集株式をその特定の引受人に割り当てる契約です。

総数引受契約をする場合には、上記の手順②〜④は不要です。
代わりに、総数引受契約について承認する株主総会または取締役会の決議が必要です。

増資の登記に必要な書類

第三者割当による増資の登記に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 募集株式の引き受けの申込書
  • 出資金の払い込みがあったことの証明書
  • (取締役会で募集事項を決定した場合)取締役会議事録
  • 資本金の計上に関する証明書

株主総会議事録は、株式の募集事項を決定した旨を記載します。

募集株式の引き受けの申込書は、出資希望者が募集株式の引き受けを申し込んだ証明として添付します。
ただし、総数引受契約をする場合には、総数引受契約書を添付します。

出資金の払い込みがあったことの証明書は、出資金が払い込まれた通帳のコピー等を付した証明書を添付します。

なお、登記は増資の効力が発生してから2週間以内に申請する必要があります。2週間を過ぎて申請した場合、会社法に基づき、過料が科せられる場合があります。

まとめ

増資とは、新たに株式を発行し、資本金を増額する手続きです。増資は企業が事業資金を調達する手段の一つで、株主割当、第三者割当、公募という3つの方法があります。
増資手続きは、株主総会での決議から始まり、申し込みの募集、株式の割当、出資金の払い込み、登記という流れを経て進行します。

増資は、上記のように何段階もの手順が必要となるため、
事前に手続きの流れをよく確認の上、計画的に進めていく必要があります。