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増資(資本金増額)したら登記が必要!手順と必要書類は?

会社の資本金は登記事項であり、増資をした場合には登記の変更手続きが必要です。

増資の手続きは、増資の方法や会社の機関に応じて事前にスケジュールを考え、抜かりなく進めていくことが大切です。ここでは、増資の手続きの流れや登記手続きに必要となる書類などについて解説します。

増資とは

増資とは、会社が新たに株式を発行してその対価として出資を受けることにより、資本金を増額することです。

増資は、会社が事業資金を調達する手段のひとつです。他の資金調達方法としては、金融機関などから融資を受ける(借金する)方法もありますが、その場合は当然ながら借金返済が必要です。増資は、借金以外の方法で資金調達したい場合に適した方法なのです。

増資には、「株主割当」と「第三者割当」の方法があります。株主割当は、既存の株主に対して現在の持ち株比率に応じて新株を割り当てる方法です。
第三者割当は、株主に限らずに第三者に対して新株を割り当てる方法です。
株主割当と第三者割当では、増資の手順が異なります。

増資の手続き

ここでは、非公開会社(株式譲渡制限のある会社)が第三者割当により増資をする場合の手続きの流れを紹介します。

手順①:株主総会で募集事項を決議する

まず、募集株式の内容について、株主総会で決議します。
決議する内容は、以下のものです。

  • 募集する株式の数
  • 募集する株式の払込金額(対価)
  • 現物出資(金銭以外の出資)の場合にはその財産の内容
  • 出資金の払込期間または払込期日
  • 増加する資本金及び資本準備金の金額

ただし、募集する株式の上限と払込金額の下限のみを株主総会で決議し、その他の内容についての決定を取締役会に委任することもできます。

手順②:申込希望者への通知を行う

募集株式の引き受け希望者(出資希望者)に対して、以下の内容を通知して申し込みを募ります。

  • 会社の商号
  • 募集事項(手順①で決議した内容)
  • 払い込みの場所(通常は振込口座)

手順③:出資希望者が申し込みを行う

募集株式の引き受けを申し込みたい人は、以下の内容を記載した書面を株式発行会社に対して交付します。

  • 申込者の氏名、住所
  • 引き受けを希望する募集株式の数

手順④:株式の割当てを決定して通知する

出資希望者からの申し込みを受けたら、株主総会または取締役会で誰に対してどれだけの株式を割り当てるかを決議します。希望した株式数通りにしなければならないわけではなく、50株の引き受けを希望した人に30株割り当てることもできます。決定した結果を、申込者に対して通知します。

手順⑤:申込者が出資金を払い込む

株式の割当てを受けた申込者が払込期間または期日に出資金を払い込みます。

手順⑥:新株が発行され増資の登記をする

出資金が払い込まれると、資本金増額の効力が生じます。新株が発行されて出資者は株主となります。ただし、新株が発行されると言っても、「株券発行会社」以外では実際に紙の株券が発行されるわけではありません。


増資の効力が生じたら、その日から2週間以内に変更登記を行います。資本金の額だけでなく、発行済み株式数も増えることになるため変更登記が必要です。

例外:総数引受契約をする場合

会社は、第三者割当による増資をする場合に、「総数引受契約」をすることができます。

総数引受契約とは、事前に募集株式の内容を決めておき、引受人との合意により全募集株式をその特定の引受人に割り当てる契約です。

総数引受契約をする場合には、上記の手順②から④は不要です。代わりに、総数引受契約について承認する株主総会または取締役会が必要です。

増資の登記に必要な書類

第三者割当による増資の登記に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 募集株式の引き受けの申込書
  • 出資金の払い込みがあったことの証明書
  • (取締役会で募集事項を決定した場合)取締役会議事録
  • 資本金の計上に関する証明書

株主総会議事録は、株式の募集事項を決定した旨を記載します。

募集株式の引き受けの申込書は、出資希望者が募集株式の引き受けを申し込んだ証明として添付します。ただし、総数引受契約をする場合には、総数引受契約書を添付します。

出資金の払い込みがあったことの証明書は、出資金が払い込まれた通帳のコピー等を付した証明書を添付します。

なお、登記は、増資の効力が発生してから2週間以内に申請する必要があります。

まとめ

増資をするためには、何段階もの手順が必要となるため、事前に手続きの流れをよく確認の上、計画的に進めていく必要があります。

それに伴い登記に必要な書類も比較的多くなるため、自己流ですべて用意をするのは意外と大変です。

リーガルスクリプトを活用すれば、簡単な入力で増資の登記に必要な書類を揃えることができます。詳しくはこちらのページをご確認ください。