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目的変更登記の必要書類は?(変更登記申請書の記入例あり)

会社の目的は、組織運営の根本規則である定款の条項であり、登記すべき事項です。そのため目的変更は、株主総会を開催して定款変更の決議をするという方法で行います。

定款変更が可決されれば、本店所在地において2週間以内に目的変更登記を申請します。

目的変更登記の必要書類一覧

目的変更登記の申請には、次の書面を添付します。

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 委任状(場合により必要)

株式会社変更登記申請書

登記の申請方法は、通常の書面申請と申請用総合ソフトを使用するオンライン申請があります。

申請用総合ソフトはダウンロードが必要でパソコンの動作環境もあるので、詳しくは登記・供託オンライン申請システムのホームページをご参照ください。

変更登記申請書(目的変更)の記入例

登記申請書を作成する前に近くの法務局で会社謄本(履歴事項全部証明書)を取得します。登記もオンライン化が進んでいるので、どこの法務局でも取得できます。

なお、登記情報提供サービスを利用すれば、法務局に行かなくてもインターネットを通じて会社謄本に記載されているのと同じ登記情報の内容を確認することができます。

登記申請用紙は、A4縦に横書きです。会社謄本に記載されているとおりに、申請書を作成します。

登録免許税3万円の収入印紙は、別の白紙のA4用紙の真ん中よりやや右(消印作業のため)に貼付します。

申請書と収入印紙を貼付した用紙のつづり目に申請書に押印した印鑑と同じ印鑑で契印します。

ここからは、それぞれの項目を記入する際の注意点を紹介します。

会社法人等番号

会社謄本に会社法人等番号12桁が記載されています。

商号

フリガナは会社の種類を除いて片仮名で左に詰めて記載します。

本店

会社謄本に記載されている本店を記載します。

登記すべき事項

登記すべき事項は、電磁的記録媒介(CD-R等)に記録して提出することもできます。

ここで登記すべき事項の記載について少し詳しく説明します。
変更前の目的が以下の場合を例に挙げます。

1.飲食店の経営

2.食料品の輸出入及び販売

3.前各号に附帯する一切の業務

ここで新たに目的として損害保険代理業を追加したときの別紙の記載例は次のようになります
注意すべき点は、追加した損害保険代理業のみを記載するのではなく、既存の目的も含めてすべての目的を記載する必要があることです。

「目的」

1.飲食店の経営

2.食料品の輸出入及び販売

3.損害保険代理業

4.前各号に附帯する一切の業務

「原因年月日」令和〇年〇月〇日変更

なお、「原因年月日」の日付は、定款変更の効力発生日(株主総会決議日または株主総会で決定した効力発生日)を記載します。

添付書類

司法書士に申請を依頼した場合は「委任状」と記載します。

株主総会議事録

株式会社は、株式を発行し不特定多数の人から出資を集めて活動する会社形態です。

出資をした人を株主といい、出資しやすくするため株主は、引受けた株式の価格以上の責任を負わないという仕組みをとっています。

株主は、原則として出資額に応じて株主総会での議決権を有します。実際に会社を経営するのは株主が選んだ取締役ですが、株主は株主総会で議決権を行使して会社の基本的事項を決定したり、間接的に会社の経営に参加します。

株主総会は、会社の組織運営や管理その他会社に関する一切の事項について決議でき、毎年決算後に開催される定時株主総会と必要に応じて開催される臨時株主総会があります。

会社の目的変更は、定款条項の一部削除又は追加する会社の行為です。
組織運営の根本規則である定款を変更するのは、会社と株主にとって影響が大きいので株主総会を開催して株主に了承してもらう必要があります。

株主総会で定款を変更するには、特別決議が求められ、議決権の過半数を有する株主が出席(定款に定めれば3分の1まで軽減可)し、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。

株主総会が終了すれば、議事の経過の要領及び結果について議事録を作成します。

取締役会議事録と違って、法律上、株主総会議事録に出席した役員が署名又は記名押印する規定はありません。
しかし、株主総会議事録の真実性確保のため、会社の代表者又は出席した役員が署名又は記名押印するのが望ましいと考えます。

株主リスト

定款変更をして会社の目的を変更するように、登記すべき事項に株主総会の決議が必要な場合、株主総会議事録に加えて株主リストを添付します。

株主リストの内容は、議決権数上位10名の株主または議決権の割合が3分の2に達するまでの株主のいずれか少ない方の株主の氏名、住所、株式数等が記載されたもので会社の代表者名義で作成します。詳しい書式例は法務省のホームページをご参照ください。

委任状

司法書士(代理人)によって申請する場合は、会社の代表者が法務局に届けてある印鑑を押印した委任状を添付します。

まとめ

会社が営む事業が目的として登記されており、会社謄本をみれば、その会社がどのような事業を営んでいるかある程度わかるようになっています。そのため会社の目的には適法性があり、かつ営利性および明確性が必要です。

会社が目的を変更する場合、変更後の目的がこれら適格性を備えているかどうか調査し、問題がなければ、定款変更の準備に入ります。

また、特定の事業目的(例えば古物商や飲食業等)に変更し、事業を開始するには、行政官庁の許認可を必要とする場合があるので、事前に事業目的の表現の仕方(記載)について行政官庁に相談することを勧めます。