目的変更登記をオンライン申請する手順
新たな事業を始める場合など、会社の事業目的を変更する場合には変更登記が必要です。目的変更の登記申請はオンライン申請で行うこともできます。オンライン申請はやり方を覚えると便利なため、一通り知っておくとよいでしょう。
この記事では、目的変更登記をオンライン申請する手順などについて解説します。
目的変更登記とは
会社は、どのような事業を行うのかという「目的」を定款で定め、登記する必要があります。
会社の目的は、株主総会の決議によって変更することができます。
新しい事業を始めるために目的を追加したり、一部の事業を廃止したので目的を削除したり、現在の事業目的の表現を一部変更(例:「レストランの経営」を「飲食店経営」に変えるなど)したりする場合があります。
会社の目的は、必ずしもすぐに実現する事業である必要はありません。
将来的に行う見込みのある事業目的や、もしかしたら行うかもしれないレベルの事業目的であっても、登記することができます。
ただし、実態とかけ離れた目的を登記することは、会社の実態が見えにくくなり信用力低下につながる可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。
会社の目的を変更した場合には、変更日から2週間以内に目的変更登記をする必要があります。
目的変更登記をオンライン申請する方法
目的変更登記を含む商業登記の申請方法は、書面申請のほかに、オンライン申請があります。
オンライン申請は、インターネットを利用して登記申請データを送信する方法です。
オンライン申請には、次のようなメリットがあります。
①自宅や会社などインターネット環境があれば、申請するために法務局の窓口に出向く必要がない。
②登録免許税をインターネットバンキングで納付できる。(書面申請の場合には、収入印紙を購入する必要がある)
③申請書に不備があった場合、書面申請だと法務局の窓口に出向く必要があるが、オンライン申請ではオンライン上で補正(修正)ができる。
④登記の完了状況をオンライン上で確認できる。
登記・供託オンライン申請システム
目的変更登記をオンライン申請する際は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用します。
これは、目的変更登記などの商業登記や、不動産登記・供託などの手続きをインターネットで自宅などから行うことができる公的なオンラインシステムです。
目的変更登記をオンライン申請する手順
手順①:目的変更案を考える
変更する目的案を考えます。目的は、基本的に自由な表現が認められています。
ただし、明確で普通の人が理解できる表現であることが求められます。
また、違法性のある内容や公序良俗に反する内容(例:復讐代行業)は認められません。
手順②:株主総会で決議する
目的変更は、定款の変更となるため、株主総会の特別決議で承認される必要があります。株主総会終結後は、決議内容を記した株主総会議事録を作成します。
手順③:必要なソフトのインストールと利用者登録
オンライン申請をする前提として、「登記・供託オンライン申請システム」に登録します。
インターネットで「登記・供託オンライン申請システム」のページを開き、トップページから「申請者情報登録」をクリックし、必要な情報を登録します。
登録をしたら、ソフトウェアのダウンロードページから「申請用総合ソフト」をインストールします。
手順④:申請書様式選択と申請書情報の入力
申請用総合ソフトにログインし、申請書情報の入力をします。
「処理状況表示」→「申請書作成」→「申請書様式一覧選択」の順にクリックしていき、「目的変更登記の申請書」を選択します。
会社法人等番号・商号・本店・登記の事由・登記すべき事項・登録免許税等の必要な情報を入力していきます。
手順⑤:電子署名
申請書に電子署名を付与します。
電子署名の方式には、ICカードで署名とファイルで署名の2つがあります。
「電子署名」をクリックし、「ICカードで署名」または「ファイルで署名」を選択します。ICカードの場合には、ICカードリーダーにICカードを差し込んで「OK」をクリックします。ファイルで署名の場合には、電子証明ファイルを選択して「開く」をクリックします。アクセスパスワードを入力して確定すると、電子署名の付与が完了します。
手順⑥:データの送信
電子署名した申請書情報を送信します。
手順⑦:登録免許税の納付
登録免許税の納付を行います。
インターネットバンキングによる電子納付をする方法と、郵便局などで収入印紙を購入して用紙に貼り付けて提出する方法があります。
登録免許税は、3万円です。
オンライン申請でも書面申請でも登録免許税の金額は変わりません。
手順⑧:添付書類の提出
目的変更登記には、申請書情報以外にも添付書類が必要です。
基本的な添付書類は以下のものです。
- 株主総会議事録
- 株主リスト
これらの書類を、「申請書総合ソフト」の「書面により提出した添付書類の内訳表の印刷」をクリックして用紙に印刷したものと一緒に管轄の法務局に提出します。
提出方法は、持参する必要はなく、郵送できます。
ただし、この添付書類が届いた時点から法務局による審査が開始されるので、急いでいる場合には持参した方が早いでしょう。
なお、添付書類についてもオンラインで提出することができます。
この場合には、手順③の後、PDF化した添付書類に電子署名をして、電子署名した添付書類を申請書に添付する作業を行います。
まとめ
会社で新規事業を始める場合など、目的変更が必要となる場面は比較的よく起こりえます。そのため、オンライン申請の方法をマスターしておくと便利です。目的変更登記をオンライン申請する場合でも、書面申請の場合と同様に株主総会議事録等の添付書類は必要です。
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