【役員任期】最適な期間を決めるポイントとは?
株式会社の役員には任期がありますが、取締役については1年から10年、監査役については4年から10年の期間の中で自由に定めることができます。(公開会社を除く)
任期をどのくらいの期間にするのが適切なのかは、会社の事情によって変わってきます。
ここでは、役員任期の最適な期間を決めるためのポイントについて解説します。
役員任期とは
株式会社の役員は、任期を定めなければなりません。任期というのは、その役職に就いている一定の期間のことです。
任期を無期限とすることはできず、取締役であれば1年から10年まで、監査役であれば4年から10年までの期間を定める必要があります。役員任期は、定款で定めます。
なお、公開会社(株式の譲渡制限がない会社)の場合には、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年よりも長くすることはできません。任期を最後まで全うすることを、任期満了と言います。
任期が長い場合のメリット・デメリット
役員の任期は、長ければ長いほどいいかと言うとそうとは限らず、一長一短があります。
それぞれの会社の事情に合わせて適切な役員任期を定めることが大切です。
メリット
メリット①:役員変更登記のコストや手間を軽減できる
役員の任期を長くすると、役員変更登記をする頻度が低くなり、登記申請で発生する登録免許税や申請の手間をかけずに済むというメリットがあります。
たとえば、任期が2年の会社であれば2年に1回登記を申請しなければなりませんが、任期が10年の会社であれば10年に1回登記を申請すればよいことになります。
登録免許税は毎回1万円(資本金1億円以上であれば3万円)がかかるため、任期10年の会社であれば10年で1万円の登録免許税で済みますが、任期2年の会社では同じ10年で登録免許税は5万円かかることになります。
メリット②:役員候補を頻繁に探す必要がない
任期が長い場合には、頻繁に役員候補を探す必要がない点もメリットと言えるでしょう。
任期が2年の会社であれば、2年ごとに新たな役員候補を探さなければなりません。同じ人に役員を続けてもらうこともできますが、本人が1期しか続ける意思がない可能性もあります。役員任期が長ければ、本人が辞任しない限りは任期期間中は役員候補を探す必要がなく、同じメンバーで安定した状態を維持できます。
デメリット
デメリット①:役員を辞めさせたい場合にトラブルになる可能性がある
役員に選任したものの、期待したような能力ではなかった場合や他の役員との相性が悪い場合など、辞めさせたい役員が出てくる可能性もあります。
そのような場合、任期が短ければとりあえず任期が満了するまで待つこともできますが、任期が長い場合には辞任してもらうか解任することを検討する必要があるでしょう。
本人がすんなりと辞任してくれれば問題ありませんが、解任した場合には、解任された役員が会社に対して損害賠償請求をする可能性もあります。
役員任期が長い場合、このようなトラブルが生じる可能性がないとは言えません。
デメリット②:役員変更登記の申請を忘れてしまう可能性がある
たとえば役員任期が2年の場合、2年に一度登記の手続きをすることになるため、登記を忘れる可能性はそれほど高くありませんが、任期が10年という場合、10年に一度の登記のことを忘れてしまう可能性があるでしょう。
役員任期の管理をしっかりと行っていれば問題はないのでしょうが、うっかり忘れてしまった場合には、過料と言うペナルティーを課されて数万円の支払いを命じられる可能性があります。
任期が短い場合のメリット・デメリット
任期を短くすることにもメリット・デメリットがあります。主なものを紹介します。
メリット
メリット①:登記申請の時期や申請方法を忘れる可能性が低い
任期が短い場合、役員変更登記を申請する頻度も高くなるため、登記申請の時期を忘れてしまう可能性は低くなるでしょう。また、頻繁に行う必要がある分、申請方法にも慣れて、登記申請の際に戸惑うことなくスムーズに手続きできる場合が多くなります。
メリット②:同じ役員が長期間とどまらないため活性化しやすい
役員の任期が長い場合、同じ役員が長期間とどまることとなり、馴れ合いが生じてしまったり、会社の方針や経営戦略が硬直的になってしまうといった可能性もあります。
役員任期が短い場合、能力の低い役員は任期満了と共に短期間で退任してもらうことができ、役員の入れ替えがスムーズにできるため、社内の活性化が期待できます。
デメリット
デメリット①:頻繁に登記申請をする必要がありコストがかかる
役員任期が短いと、頻繁に登記申請をする必要があり、そのたびにコストがかかります。任期が2年の会社であれば、2年に1度、必ず登録免許税が最低でも1万円が発生することになります。
デメリット②:役員候補を短期間で探さなければならない
役員任期が短い場合、次の役員候補を短期間で探す必要があります。同じ役員を再度選任することもできますが、本人が1期のみしかやりたくないという場合もあり、任期満了後の役員をどうするかについて頻繁に頭を悩ませなければならない可能性があります。
取締役が1人の場合の任期について
取締役が1人だけの会社の場合、任期は長くする方が合理的です。いわゆるひとり会社(株主も取締役も同一人物で1人だけ)という会社の場合、自分だけの会社ということなので、役員を途中で変えたいという状況になることは考えにくく、任期がきても同じ役員を再任するケースがほとんどのため、任期を短くする必要性は低いと考えられます。最長の10年にしても問題ないでしょう。
取締役が2人以上の場合の任期について
取締役が2人以上の場合には、役員を変えたくなる状況になる可能性があります。任期が長い場合、途中で役員に辞めてもらうためには、辞任してもらうか、株主総会の決議で解任するということになり、その役員が退任することに納得しなければトラブルになる可能性があります。
特に、親族以外の第三者を役員とする場合にはより注意が必要となるでしょう。
このような場合、任期を長くしすぎてしまうことによるリスクを避けるため、2~4年程度が妥当と言えるかもしれません。
まとめ
役員任期を長くするか短くするかには、それぞれメリット・デメリットがあります。何を重視するのかや、役員が何人必要なのかなどの会社の事情に合わせて適切な任期を定めることが大切です。
任期を何年にした場合でも、役員変更登記は定期的に必ず必要となります。自己流で書類を作る場合、不備があり訂正が必要になったり、誤った内容の登記をしてしまうなどのトラブルが起こりえます。LegalScript(役員変更)を活用することで、簡単な入力で役員変更登記に必要な書類作成がすべてカバーできます。
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