【役員の氏名変更】登記までの流れは?
役員の氏名が結婚やその他の理由によって変わったときは、法務局に変更登記を申請しなければなりません。
今回は、役員の氏名変更にともなう登記申請について解説します。
役員の氏名が変更したときの登記
取締役など役員の氏名(正しくは「氏」ですが、説明上「氏名」としています)が結婚その他の理由によって変わったときは、その旨の変更登記を法務局に申請しなければなりません。
この変更登記の申請先・申請期限や必要書類、費用は次のとおりです。
※この記事では株式会社であることを前提に説明しています。
申請先・申請期限
氏名変更に限りませんが、変更登記の申請先は、登記上の本店所在地を管轄している法務局(本局)や支局などの、いわゆる登記所です。
申請期限は、事実発生から2週間以内で、申請が遅れても受け付けてもらえますが、あまりにも遅いと判断されれば、100万円以下の過料(罰金のようなもの)に処される可能性がありますので注意が必要です。
管轄がわからない場合には、各都道府県の本局などに問い合わせいただくか、下記の法務局のホームページでご確認ください。
> 管轄のご案内/法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html
必要書類
役員の氏名変更の登記申請に必要な書類は次のとおりです。
- 株式会社変更登記申請書
- 委任状(代理人に登記申請を委任する場合のみ)
戸籍謄本などの氏名が変更になったことを証明する書類の添付は不要です。
その他の変更登記申請の添付書類を見てもこの申請で証明書類を求められてもおかしくはないのですが、商業登記規則の規定上、現状は求められていません。
費用
役員の氏名変更の登記申請に必要な費用は1万円(登録免除税)です。ただし、資本金の額が1億円を超える会社の場合は3万円です。
司法書士に依頼する場合は、その司法書士にもよりますが、1万円程度の費用が別途かかります。
同時に婚姻前の氏の記録の申出をする場合
役員の氏名変更の登記申請をする場合、あわせて婚姻前の氏の記録を申出ることができます。
この申出とは具体的にどのようなものなのか、また、その方法などについて説明します。
婚姻前の氏の記録の申出とは
これまで、商業登記簿には現在の氏名しか記載できませんでしたが、2015年(平成27年)に法令が改正され、商業登記簿の役員欄に氏名が記載されている者については、その氏名とあわせて婚姻前の氏も記録できるようになりました。
この取り扱いの変更は、取引先などの第三者が会社の登記事項を見たときに、仕事上、旧姓を使用している役員の本人確認ができないなど、業務に支障が出る可能性などが考慮されたためです。
なお、この申出はいつでもできるわけではなく、次の登記申請を行う場合に同時に行わなければなりません。
- 設立の登記の申請
- 清算人の登記の申請
- 役員(取締役、監査役、執行役、会計参与若しくは会計監査人)又は清算人の就任による変更の登記の申請
- 役員又は清算人の氏の変更の登記の申請
これらがどのような申請内容であるのかについての説明は省略しますが、氏名変更の登記申請については上記4に該当するため、その際にあわせて婚姻前の氏の記録の申出を行うことができます。
> 役員の登記の添付書面・役員欄の氏の記録が変わりました(平成27年2月27日から)/法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html
申出の方法
役員の氏名変更の登記申請と同時に婚姻前の氏の記録を申し出るためには、変更登記申請書に次の事項を記載する必要があります。
- 婚姻前の氏を記録すべき役員の氏名
- その役員の婚姻前の氏
具体的にどのように記載するのかについては、下記の法務局の記入例でご確認ください。
> 株式会社(役員の氏名変更(役員につき婚姻前の氏の併記の申出をする場合))/法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252649.pdf
また、変更登記申請書には、戸籍謄本や戸籍抄本、戸籍の記録事項証明書など、上記について証明できる書面を添付しなければなりません。
通常の氏名変更の登記申請ではこれらの書類は求められませんが、この申出には必要になりますのでご注意ください。
費用
婚姻前の氏の記録の申出には登録免許税はかかりません。登録免許税がかかるのはメインとなる登記申請だけです。
氏名変更の登記申請とあわせて申し出るのであれば、上記で説明したとおり1万円(資本金の額が1億円超の場合は3万円)だけを負担すればよいということです。
ただし、戸籍謄本や戸籍抄本などを取得するには別途費用がかかります。
まとめ
役員の氏名が変更した時は、2週間以内に変更登記の申請が必要です。また、その際にはあわせて婚姻前の氏の記録の申出を行うことができます。
女性の役員の中には、仕事では旧姓を使用される方も多くいますので、氏名変更の登記申請の際には十分配慮するようにしましょう。