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法人事業税って何?課税対象や納付方法などをわかりやすく解説

法人事業税は、法人税や法人住民税と同様に法人の利益に対して課税され、納税額があれば確定申告時に納めなければならない税金です。

この記事では、法人事業税の概要や税率、納付方法などについて解説します。

法人事業税とは

法人は収益活動を行うにあたり、道路などの公共施設を使用しています。すなわち法人は収益活動を行う上で都道府県などから公共サービスを受けていることになります。

法人事業税とは、そうした公共サービスにかかる経費の一部を、サービスを受けている法人に負担させるという目的で、都道府県が法人に対し課税する税金のことです。

法人事業税は、法人の所得金額または収入金額に対して課税され、「所得割」「収入割」から構成されています。

なお資本金の額または出資金の額が1億円を超える普通法人の場合は、後述の外形標準課税が適用されます。

課税対象

法人事業税の課税対象となるのは、課税される都道府県内に事務所(事業所)があり、かつ、事業を行っている法人や法人ではない社団または財団で収益事業を行っているものです。

税率

税率は各都道府県によって異なります。ここでは、北海道を例に挙げて説明します。

北海道の法人事業税(資本金1億円以下)の所得割の税率は以下のとおりです(電気供給業を行うものを除く)。

法人の種類所得区分等令和2年(2020年)4月1日以後に開始する事業年度の税率
普通法人(一般の法人、法人でない社団または財団)所得のうち年400万円以下の金額3.5%
所得のうち年400万円を超え800万円以下の金額5.3%
所得のうち年800万円を超える金額7.0%
資本金の額または出資金の額が1,000万円以上で、3以上の都道府県に事務所または事業所のある法人の所得7.0%
特別法人(協同組合、信用金庫、医療法人など)所得のうち年400万円以下の金額3.5%
所得のうち年400万円を超える金額4.9%
出資金の額等が1,000万円以上で、3以上の都道府県に事務所または事業所のある法人の所得4.9%
収入金課税法人(ガス供給業、生命・損害保険業を行うもの)収入金額1.0%

また、電気供給業を行うものの税率は以下のとおりです。

事業の内容所得区分等令和2年(2020年)4月1日以後に開始する事業年度の税率
一般送配電事業・送電事業・特定送配電事業収入金額1.0%
小売電気事業・発電事業収入金額0.75%
所得金額1.85%

出典:北海道ホームページ

なお、令和4年(2022年)4月1日に創設される「配電事業」及び「特定卸供給事業」については、「配電事業」が収入金額の1.0%、「特定卸供給事業」が収入金額の0.75%+所得金額の1.85%とされています。

外形標準課税

外形標準課税とは、資本金の額または出資金の額が1億円を超える普通法人(収入金額課税法人・公益法人等・特別法人および人格のない社団等は対象外)に対して課せられる税金です。「所得割」、「付加価値割」及び「資本割」からなっています。

納付までの流れ

法人事業税は、事業年度終了の日から2ヶ月以内に申告・納税を行わなければなりません。また、納付額は以下の計算式によって計算されます。

納付額=所得割(収入割)×税率-中間申告額

損金算入が可能

法人税や法人住民税とは違い、法人事業税は経費として損金の額に算入することが可能です。

損金算入の時期は申告書を提出した事業年度であり、更正または決定があった場合も、同様にその更正または決定があった事業年度の損金の額に算入されます。

ただし、その事業年度の直前の事業年度の法人事業税については、その事業年度の終了の日までにその法人事業税の全部または一部の申告や更正・決定がなされていない場合であっても、その事業年度の損金の額に算入することができます。

特別法人事業税

特別法人事業税は、令和元年に法人事業税(所得割・収入割)の一部を分離して創設された国税です。ただし、この税金は人口を基準として国から特別法人事業譲与税として都道府県に譲与されます。

対象法人は法人事業税(所得割または収入割)の納税義務者です。納付額は法人事業税額(基準法人所得割額または基準法人収入割額)に一定の税率を乗じたものとなります。

また、申告や納付は都道府県に対し、法人事業税とあわせて行うこととされています。

分割基準

法人の事務所や事業所等が2以上の都道府県に所在する場合があります。その場合には、納める法人事業税を所在する都道府県ごとに按分する必要があります。

その按分に用いる基準を「分割基準」といいます。

「分割基準」には、都道府県ごとの従業員の数や固定資産の価額などがあります。

まとめ

法人事業税は法人税や法人住民税と同様に法人の利益に対して課せられ、申告や納税を行わなければならない税金です。

ただし法人事業税には、申告を行った事業年度の損金に算入することが可能であったり、資本金の額や出資金の額が1億円以下とそうでない場合とにおいて課税の仕組みや税率が変わったりするなど、法人税や法人住民税とは異なる特徴があります。

法人税や法人住民税だけではなく、法人事業税の仕組みや計算方法についても理解しておきましょう。