設立費用と法律で比較!株式会社と合同会社は何が違うの?
会社を設立しようとする時に、株式会社を設立するのかそれとも合同会社を設立するのか迷うことも多いはず。
この2つの会社の違いについて簡単に解説していきたいと思います。
設立にかかる費用
まずは、法人を設立するまでの費用面を比較してみたいと思います。創業期は何かと入り用ですので、一番気になる部分かもしれません。
株式会社の場合
登録免許税
まず、一番大きな出費は設立登記を申請する際に発生する登録免許税の額です。
税額は資本金の0.7%でこの額が15万円に満たない時は15万円となります(登録免許税法別表第一第24号(一)イ)。
つまり、資本金の額が21,442,999円を超えない場合は15万円となるので、多くの会社はこの額になるはずです。
また、産業競争力強化法に基づく市区町村による創業支援を受けた場合に登録免許税を半額にできる制度もありますので、自治体に確認した上で利用してみるのもよいかもしれません(租税特別措置法第80条2項)。
定款の認証
株式会社を設立するに当たって公証人による定款の認証を受けなければなりません(会社法第30条)。
公証役場で定款の認証をしてもらうための手数料として5万円かかります(公証人手数料令第35条)。
また、定款の謄本手数料として、1ページあたり250円かかります(公証人手数料令第40条)。おおむね2000円程度かかると考えておけばよいと思います。
公証人についてもっと知りたい方は「公証役場とは何をする場所?公証人の仕事とは?」の記事もご参考ください。
印紙代
さらに、定款を紙で作成する場合には定款に収入印紙を4万円分貼付する必要があります(印紙税法別表第一課税物件表第6号文書)。
ただし、電磁的記録による定款(電子定款)を作成した場合は、この印紙代は不要になります。
その他の費用
その他には、必要に応じて以下の費用がかかる場合があります。
- 法務局に届け出る代表者の印鑑作成の費用
- 印鑑証明書の交付費用
- 登記簿謄本の取得費用
株式会社の設立にかかる費用は最低でも約20万円から25万円程度かかることになります。
合同会社の場合
登録免許税
合同会社の場合も税額は資本金の0.7%ですが、この額が6万円に満たない時は6万円となります(登録免許税法別表第一第24号(一)ハ)。資本金の額が8,585,999円を超えない場合は6万円となるので、多くの会社はこの額になるはずです。
定款の認証
株式会社を設立する場合と異なり、合同会社の場合は公証人による定款の認証を受ける必要はありません。
所有と経営が分離していない合同会社は定款の認証が不必要であると考えられるからです。
よって、定款の認証にかかる費用はありません。
印紙代
合同会社の場合も、定款を紙で作成する場合には定款に収入印紙を4万円分貼付する必要があります(印紙税法別表第一課税物件表第6号文書)。
株式会社と同様、電磁的記録による定款(電子定款)を作成した場合は、この印紙代は不要になります。
紙で作成した定款に収入印紙を貼付し忘れてしまう人もいるようですが、基本的に脱税となりますので気をつけましょう。
その他の費用
株式会社と同じく、その他に次のような費用がかかる場合があります。
- 法務局に届け出る代表者の印鑑作成の費用
- 印鑑証明書の交付費用
- 登記簿謄本の取得費用
合同会社の設立にかかる費用は最低でも約6万円から10万円程度かかることになり、株式会社より安く設立できます。
設立後にかかる費用
株式会社の場合
設立後のランニングコストとして最低限かかる費用として主なものを挙げると以下の通りです。
法人住民税
資本金1000万円以下で従業員50人以下の法人の場合、約7万円かかります。
決算公告
株式会社は定時株主総会後決算公告をする義務があります(会社法440条第1項)。この決算公告を官報によって行う場合は約6万円かかります。
合同会社の場合
法人住民税
株式会社と同じく、資本金1000万円以下で従業員50人以下の法人の場合、約7万円かかります。
決算公告
合同会社の場合は、決算公告義務がありませんので、これに関する費用は発生しません。
合同会社は決算公告が必要ない分運営が楽になることが多いです。
法律面の違い
最後に、その他の法律的な違いを簡単にみていくことにします。
株式の発行
株式会社は文字通り株式を発行することができます。これに対して合同会社は株式を発行することができませんので株式を公開してIPOしたりすることはできません。
規律
株式会社では所有と経営が分離しているため、その運営は取締役等が行い、定款変更や役員の選任など会社の根本にかかわる部分は株主総会の多数決で行うスタイルが原則です。
これに対して合同会社は、いわゆる組合的規律が採用されており、会社運営は社員(出資者)が行わなければならず、定款変更や役員の選任等の重要事項も社員内で決めることになります。
まとめ
以上が、株式会社と合同会社の違いです。費用面だけでなく、法律面でも双方に違いがあることがおわかりいただけたでしょうか。これから法人設立を行う方で、会社形態を株式会社にするか合同会社にするかでお悩みの方は、当記事を参考にしていただけると幸いです。