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高年齢者雇用状況等報告書とは?提出先や提出方法をまとめて調査!

高齢化が進む日本において、高齢者を雇用している企業は数多く存在します。

通常の雇用とは違い、高齢者を雇用するには細かな配慮が必要です。

高齢者の雇用を守るため、高年齢者雇用状況等報告書という書類の提出が必要ですが、その内容とはどのようなものでしょうか?

高年齢者雇用状況等報告書に記載する内容や提出先、提出方法をご紹介していきます。

高年齢者雇用状況等報告書とは?

高年齢者雇用状況等報告書は、定年や継続雇用制度、創業支援等の措置状況などを報告する書類のことです。

この報告は、毎年、厚生労働大臣へ報告しなければならないとされています

提出した高年齢者雇用状況等報告書をもとに、その企業の高年齢者雇用が守られているかを確認します。

高年齢者雇用状況等報告書の用紙は、該当の企業や事業主あてに毎年5月下旬頃を目安に届く予定となっています。

高年齢者雇用状況等報告書の提出は義務?

高年齢者雇用状況等報告書は、常時雇用従業員数が31人を超える場合、提出が義務となっています。

ここでの常時雇用従業員数とは、

  • 1年以上継続して雇用している従業員(1年以上の雇用が見込まれる場合も含む)
  • 企業との雇用契約で定めた週の所定労働時間が20時間以上の従業員

のどちらも満たしている人数のことです。

雇用形態は関係ないため、正社員やパート、アルバイトなどすべてが該当します。

常時雇用従業員の中に、高齢者に該当する従業員がいない場合でも、高齢者雇用人数を「0」として提出しなければなりません。

また提出には期限があり、その年の6月1日から7月15日までに提出することとされています。

高年齢者雇用状況等報告書の記入内容は?

高年齢者雇用状況等報告書の記入内容は以下の通りです。

  • 事業主情報
  • 定年制の状況
  • 継続雇用制度の状況
  • 創業支援等措置の状況
  • 年齢別の常時雇用人数
  • 過去1年間の離職状況
  • 過去1年間の定年到達者数
  • 高年齢者雇用等推進者・担当者情報

主に、企業の内容や、何歳の高齢者が何名働いているか、過去の離職率はどのくらいかなどを記入します。

高年齢者雇用状況等報告書には、6月1日現在の高年齢者雇用状況を詳しく記入する必要がありますので、事前にまとめておきましょう。

また、高年齢者雇用状況等報告書は、2021年より記入様式が新しくなっていますので、記入の際は注意してください。

事業主情報

最初に、企業名称、代表者名、住所、電話番号などを記入します。

法人の場合は法人番号の記入も必要ですので、事前に国税庁のサイトで確認しておくとよさそうです。

定年制の状況

定年制の状況は、企業が定年制度を取り入れている場合には、「定年あり」という項目にチェックをつけ、定年の年齢を記入します。

定年の年齢が、業種や職種によって異なる場合には、最も若い年齢を記入してください。

定年について今後廃止や改定がある際にはその日付を記入し、予定をしている場合は「検討中」にチェックをしましょう。

定年制度を取り入れていない場合は、「定年なし」の項目にチェックをします。

継続雇用制度の状況

継続雇用制度についても、定年制度同様、該当の項目にチェックをします。

定年後に継続雇用制度を設置している場合は、「継続雇用先・対象」という項目にチェックをし、今後継続制度を導入する予定、改定する予定の場合は、その日付を記入します。

継続制度がない場合、「制度として導入していない」の項目にチェックをしましょう。

創業支援等措置の状況

創業支援等措置は、高年齢者雇用安定法により努力義務として認められており、

  • 70歳まで継続的に業務委託をする制度の導入
  • 70歳まで継続的に事業主が自ら実施する社会貢献事業に従事できる制度の導入
  • 70歳まで継続的に事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度

のことです。

創業支援等措置も上記同様に、「制度として導入している」「制度として導入していない」

「検討中」など、該当の項目にチェックをしてください。

年齢別の常時雇用人数

年齢別の常時雇用人数も記入が必要です。

上記に記載している通り、1年以上継続して雇用しているもしくは雇用の見込みがある従業員で、勤務時間が20時間以上の従業員数が常時雇用人数にあたります。

前年の6月1日から今年の5月31日までの期間で、44歳以下、45歳以上49歳以下、50歳以上54歳以下など、細かく記入します。

なお、用紙内訳には女性の人数も記入が必要です。

過去1年間の離職状況

過去1年間の離職状況には、前年の6月1日から今年の5月31日までの期間で退職した人数および求職活動支援書を作成した人数を記入します。

求職活動支援書は、高年齢者の職務経歴、職業能力等の再就職に関する内容を企業や事業主が記載したものです。

退職した人数と求職活動支援書を作成した人数の記入の際には、上記同様女性が何人いるかも記入します。

過去1年間の定年到達者状況

就業規則に継続雇用制度を記載しており、前年の6月1日から今年の5月31日に退職した従業員がいる場合は記入します。

就業規則に継続雇用制度等を記載していない場合は、記入しなくても問題ありません。

企業が定めた定年年齢が64歳までの場合は、65歳未満に人数を記入し、それ以上の場合は65歳以上のところに記入します。

さらに平成24年の改正法により、継続雇用の対象者を限定する基準の経過措置を導入している場合は、過去1年のうち適用年齢の達した従業員数を記入しましょう。

高年齢者雇用等推進者・担当者情報

最後に高年齢者雇用等推進者や担当者を記入します。

高年齢者雇用推進者は、高年齢者の雇用促進や継続のために企業内の体制や建物などを整備する責任者または担当者のことです。

問い合わせや不明点があった場合は、ここに記入した推進者や担当者が対応することになりますので、忘れずに記入してください。

高年齢者雇用状況等報告書の提出先や方法は?

高年齢者雇用状況等報告書の提出先は、企業本社の所在地を管轄しているハローワークです。

支社や支店を管轄しているハローワークと勘違いされる場合が多いので、提出の際には注意しましょう。

提出は、電子申請、郵送、ハローワークへの持込の3つの方法があります。

それぞれの詳しい申請方法は、以下で解説します。

電子申請

1つ目の提出方法は、電子申請です。

電子申請は、インターネットを使用してデータを入力していきます。

データ入力が完了したら、そのまま提出可能なため、ハローワークへ行く必要がなく、ハローワークの開庁時間を気にすることなく提出できます。

管轄のハローワークが遠い場合やハローワークの開庁時間内に出向けない場合などは、電子申請が便利です。

ただし、電子申請を行うにはGビズIDの取得が必要です。

GビズIDは、企業や事業主に1つずつ割り当てられるIDで、取得すれば多種の行政サービスの利用ができます。

今までは、各種申請や登録などの際、用紙に記入して提出することがほとんどでした。

しかし、インターネットの普及により電子化が進んでいるため、GビズIDの取得がおすすめです。

郵送

2つ目は郵送にて申請する方法です。

郵送のメリットは、ハローワークへ向かう時間がない場合や電子申請用のGビズIDの取得を考えていない場合は郵送がよいでしょう。

郵送のデメリットは、郵便代がかかる点や届くまでに日数がかかってしまう点です。

到着後に不備や不足があった場合、返送にも時間がかかり、再度提出の場合はさらに日数がかかってしまいます。

郵送をする場合は日数がかかることも考慮し、期日よりも前に申請しましょう。

持込

3つ目はハローワークの窓口へ、直接持ち込む方法です。

窓口へ直接持参する場合、記入した書類をその場で確認してもらえるため、手続きが早く進む場合があります。

万が一、不備や記入漏れがあっても、その場で修正できるため、何度も出向く必要がありません。

ただし、ハローワークの窓口は平日の昼間のみ開庁していることが多いため、必ずその時間に提出する必要があります。

また、窓口の混雑状況によっては待ち時間が発生する場合があるため、窓口へ持参する際は時間に余裕をもって行くようにしましょう。

提出時の注意点

高年齢者雇用状況等報告書を提出する場合、記入漏れがないか確認しましょう。

人数を記入する際は、6月1日時点の人数であるか確認します。

提出期限は、6月1日から7月15日までです。

電子申請の場合は、事前にGビズIDの取得が必要となりますので、忘れずに行ってください。

郵送の場合は、配送日程を確認し、期日までに届くかを調べましょう。

窓口へ持参の場合は、管轄のハローワークの開庁時間を事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

高年齢者雇用状況等報告書の提出方法について見てきました。

高年齢者雇用状況等報告書は、高齢者の就業にとっても企業にとっても大切な申請であり、提出は企業や事業主の義務です。

期限内に提出することはもちろん、申請内容に虚偽がないかも確認しましょう。

申請の方法は3つありますが、どの方法が一番適しているかを見て、期日前に必ず申請を行いましょう。