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定款を紛失したらどうする?再作成までの流れを解説

定款は提出書類として必要となったり、内容を確認したいと思ったりした場合に、見つからないと慌ててしまうかもしれません。この記事では、定款を紛失した場合の対処法と定款再作成の手順をご紹介します。

定款紛失時の対処法

定款は常に会社の本店に備え付けておく必要がありますが、日頃から目にするものではないため、いざ定款が必要となったときに見当たらず、紛失してしまうケースもあるでしょう。

そのような場合の対処法をご紹介します。

データを探す

紙の定款が見つからないときには、電子データを探してみましょう。
定款を作成する際に、PC等にデータ入力している場合があります。PC本体やUSBメモリ等の記録媒体にデータがないか探してみると、案外見つかることもあります。

また、定款作成を専門家に依頼した場合や、許認可申請や補助金申請等の手続きの際に専門家に定款のコピーを渡したことがあれば、専門家がデータを持っている可能性が高いです。

データが見つかれば、それを印刷して紙の定款を作成します。

公証役場に請求する

株式会社を設立する場合、必ず公証役場で定款の認証を受けます。そのため、設立時の定款のデータは公証役場に残っています。

定款認証の時、電子定款の方法で手続きした場合には、電子認証のオンラインシステムを利用して「同一情報の提供」を請求することができ、電子文書として定款のデータを手に入れることができます。

電子定款ではない場合、認証を受けた公証役場に定款の謄本の請求をすることができ、紙の定款の謄本を手に入れることができます。(原則として設立から20年以内)

いずれの場合も、公証役場に残っている定款のデータは設立した時のものなので、設立後に定款を変更している場合には、変更後のデータを手に入れることはできません。

法務局に登記の添付書類の閲覧申請をする

登記申請をした際に提出した書類は、利害関係者からの請求があり、正当な理由があると認められるときは閲覧することができます。

会社の設立登記をした時に添付した定款や、その後に定款を添付して行った登記申請がある場合、登記申請から5年以内であれば閲覧が認められる場合があります。ただし、これはあくまでも閲覧なので、定款をコピーしたりすることはできません。また、定款を紛失したという理由で必ず閲覧が認められるとは限りません。

定款を再作成する

データが見つからない場合に一番現実的な方法は、定款を再作成することです。定款は何度でも再作成が可能で、定款を再作成しても公証役場や法務局での手続きは必要なく、株主以外を関与させる必要がありません。そのため、株主が自分だけという場合などは、定款の再作成はすぐに実現可能です。

定款を再作成する手順

定款を再作成する場合の手順を紹介します。

手順①:定款の原案の作成

定款には、必ず記載しなければならない内容(絶対的記載事項)、取り決めた場合には必ず記載しなければならない内容(相対的記載事項)、それ以外に任意で記載できる内容があります。

一般的な定款の作成例などを参考に、絶対的記載事項については必ず記載漏れがないように気を付けながら定款の原案を作成します。その際、会社の謄本(履歴事項全部証明書)、過去の株主総会議事録等を確認し、定款と内容が矛盾しないように気を付けましょう。

会社の謄本には、会社の商号、目的、本店、公告方法、発行可能株式総数、株式の譲渡制限に関する規定などが載っており、これらは定款にも記載する内容です。

ただし、本店については、会社の謄本には具体的な住所地(例:東京都新宿区〇町〇丁目●番〇号)まで載っていますが、定款には最小行政区画まで(例:東京都新宿区)しか定めないこともできます。

手順②:株主総会での承認

会社の定款は、会社のルールを定めた重要なものなので、変更するためには株主総会の特別決議で承認される必要があります。特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席者の議決権の3分の2以上の賛成によって可決されます。株主が自分だけ、身内だけなどであれば問題ありませんが、そうでない場合には注意が必要です。

手順③:新しい定款の作成

株主総会で定款変更が承認された場合には、定款変更が承認された旨を記載した株主総会議事録を作成し、新しい定款を作成します。

新しい定款を作成したら、紙の定款だけでなく、電子データもなくならないように記録媒体に保存して大切に保管しましょう。

まとめ

定款を再作成するための手順自体はそれほど複雑ではありません。ただし、定款には記載すべき項目が多岐にわたるため、自分でゼロから作成するのは骨の折れる作業となり、必要事項が漏れてしまうこともあります。

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