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障害者雇用状況報告書を詳しく知りたい!提出時のポイントも紹介

従業員が既定の人数以上従事している事業主は、身体障害者や知的障害者、精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にしなければなりません。

この記事では、障害者を雇用する際に提出が必要な障害者雇用状況報告書について、詳しくみていきます。

提出の際に気をつけるポイントもありますので、ぜひ参考にしてください。

障害者雇用状況報告書とは?

障害者雇用状況報告書は、従業員が40人以上いる場合、その会社の事業主が提出する書類です。

提出対象となる企業宛に、5月下旬~6月初旬の間に関係書類一式が届きます。

障害者雇用状況報告書は、毎年6月1日現在の障害者雇用状況について、ハローワークへ提出する必要があります。

また提出日が「6月1日」と決められていることから、「ロクイチ報告」や「6/1報告」とよばれることもあります。

障害者雇用状況報告書の提出は事業主の義務です。

そのため、提出を怠ったり嘘の報告をした場合、障害者雇用促進法により30万円以下の罰金となることがあるので、注意してください。

提出対象は?

障害者雇用状況報告書の提出は、障害者を40人以上雇用している企業の全てが提出対象ではありません。

障害者雇用状況報告書を提出する義務がある企業は、常用労働者が40人以上の企業ですが、労働者を1人と数える際の基準があります。

重度ではない障害者の場合、週の所定労働時間が30時間以上は1人として数えますが、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満であれば0.5人と数えます。

そのため、所定労働時間が30時間未満の障害者を40人雇用していても、障害者雇用状況報告書の提出義務にはなりません。

報告書の記入内容は?

続いて提出内容についてみていきましょう。

障害者雇用状況報告書に記入する内容は、

  • 雇用状況
  • 事業所別内訳
  • 障害者の雇用の促進等に関する法律別表に掲げる種類別の身体障害者数
  • 障害者雇用推進者、記入担当者

などです。

特段難しい内容などはなく、よくある報告書や申請書類と同じように記入して提出するようになります。

それぞれの項目や内容については、以下にて詳しく紹介します。

企業、事業主情報

はじめに企業や事業主の情報を記入します。

法人名称、代表者氏名、住所、電話番号の他、事業の種類や事業所数も記入し、法人の場合は法人番号も記入しましょう。

法人番号が不明な場合は、国税庁のサイトにて確認可能です。

記入の際は漏れがないようにし、ゴム印を使用する場合は2枚目以降も押印しましょう。

雇用状況

次に雇用状況の記入方法です。

先程もお伝えした通り、障害者1人を1と数えるわけではありません。

6月1日現在で、週の所定労働時間が30時間以上の障害者を何人雇用しているのか、30時間未満の障害者を何人雇用しているのかなどを計算し、まとめておく必要があります。

さらに患っている障害は、身体障害なのか、知的障害なのか、もしくは精神障害なのかという点、その障害が軽度なのか重度であるかという点でも計算が変わってきます。

正しい情報を抽出してまとめた後、報告書に記入しましょう。

事業所別内訳

事業所別の内訳では、雇用保険の適用を表す適用事業所番号や、事業所の名称、事業所在地、事業内容、事業所の区分、除外率などを記入します。

事業所の区分は、特例子会社に含まれる事業所に該当する場合と指定就労継続支援A型に該当する場合、それ以外の場合に分けられます。

事前にどの区分に該当するのか確認しておきましょう。

障害者雇用については、法定雇用率が決められています。

しかし、職業によっては障害者を雇用することが難しい業種もあります。

そこで雇用する労働者の数を計算する際に、該当となる労働者数を控除できる制度が除外率です。

障害者の雇用の促進等に関する法律別表に掲げる種類別の身体障害者数

障害者雇用状況報告書には、身体障害者数の記入が必要です。

これは法律に基づいて、障害の種類別に記入し提出します。

障害の種類は、

  • 視覚障害者
  • 聴覚または平衡機能障害者
  • 音声、言語、そしゃく機能障害者
  • 肢体不自由者
  • 内部障害者
  • 重度身体障害者(原則として身体障害者手帳の等級が1級または2級の人)
  • 上記以外の身体障害者(原則として身体障害者手帳の等級が3級から6級の人)
  • 重度知的障害者
  • 上記以外の知的障害者
  • 精神障害者

と細かくわかれていますので、それぞれの人数を記入します。

こちらも正確な内容を記入するため、事前に人数の把握をしておくことが必要です。

障害者雇用推進者、記入担当者

最後に障害者雇用推進者と、担当者名を記入します。

障害者雇用推進者とは、障害者の雇用促進や継続を図るために、会社内の障害者雇用の取り組み体制を整備したり、建物や設備などを整備する責任者のことです。

提出方法は?

障害者雇用状況報告書の記入が終わったら提出します。

提出方法としては、管轄のハローワークへ電子申請する、郵送する他、直接持ち込みするという3つがあります。

それぞれの特徴や詳しい方法をみていきます。

電子申請

電子申請は、どこからでも申請が可能です。

そのため、会社内で作成したものをその場で送信できるので、提出に出向く手間がかかりません。

ただし電子申請を行うには、電子署名もしくはGビズIDが必要です。

電子署名は有料となっており、主に士業関係者が取得します。

そのため、一般の企業で電子申請を行う場合は、電子署名ではなくGビズID取得の方がよいでしょう。

GビズIDは、1つのIDとパスワードを取得することにより、複数の行政サービスの利用が可能となるIDです。

このIDは、他の助成金や補助金の際にも使用できることがあるため、事前に取得しておくのがおすすめです。

郵送

ハローワークへ持込時間がない場合やGビズIDを取得しない場合、郵送で申請を行うことも可能です。

郵送であれば、ハローワークへの開庁時間を気にせずに提出することができます。

ただし郵送の場合、到着までに時間がかかることが想定されます。

遅延することも含めて、提出期限よりも1週間以上余裕をもって提出しましょう。

持込

実際に書類に間違いがないか確認して欲しい、不明点を確認したいという場合は、ハローワークの窓口へ直接書類を持ち込むこともできます。

窓口では、ハローワークの担当者にその場で確認してもらえるため、間違いや記入漏れがあった場合でもすぐに対応が可能です。

窓口への直接持ち込みはその場で修正ができる反面、平日の開庁時間に出向かなければなりません。

時間の制約が出てくるうえ、曜日や時間帯によって、待ち時間が発生することも考えられます。

窓口へ持ち込む際は、開庁日や開庁時間を前もって調べてから向かうようにしましょう。

提出時に気を付けるポイント

先にもお話しした通り、提出先は事業所を管轄するハローワークです。

提出の際は、記入漏れがないか、複写の場合は2枚目以降も記入してあるかを確認しましょう。

提出の際、電子申請であれば事前にGビズIDの取得を忘れずに行ってください。

郵送の場合は、申請書が届くまでに時間がかかることや郵便代がかかること、窓口へ直接申請する場合は、開庁時間や窓口対応時間に気をつけるようにしてください。

どの提出方法でも、申請期限は基本的に7月15日となっているため、余裕をもって忘れずに提出しましょう。

まとめ

障害者雇用状況報告書の内容、及び提出方法について詳しく見てきました。

障害者雇用状況報告書の提出は、障害者を雇用する企業や事業主の義務です。

失念していた、期限に間に合わなかった場合など、法律により罰せられる場合があります。

また、正確な報告ができなかった場合、意図していなかったとしても、虚偽の報告を行ったとみなされてしまうこともあるので、事前に雇用している障害者の人数や内容を詳しく把握しておく必要があります。

不明な場合は、管轄のハローワークにて対応可能ですので、早めに書類の記入を行い、期限を待たずに提出することが理想です。