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「取締役」「取締役会」は絶対に必要?それぞれの機関を簡単解説

株式会社は必ず取締役を置かなくてはなりません。また、一定の機関設計を行う株式会社は、3人以上の取締役で構成される取締役会を置く必要があります。

この記事では、株式会社の機関でとても重要である取締役と取締役会について解説します。

取締役は必ず設置する機関

取締役とは、業務執行に関する意思決定を行う者です。株式会社は必ず1名または2名以上の取締役を置かなくてはなりません。

また、公開会社(※)は取締役会の設置が義務づけられているため、取締役は必ず3人以上置かなくてはなりません。

※公開会社とは、発行する株式の全部又は一部に株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する定款の定めのない株式会社をいいます。また、非公開会社は、株式の全部に譲渡制限を付けている株式会社をいいます。

取締役の変更が発生したら登記が必要

取締役に就任、退任、交代の事実があった場合、その事実があった日から2週間以内に、取締役の変更登記をする必要があります。その際に係る費用(登録免許税)は1万円(資本金が1億円を超える株式会社は3万円)です。

会社代表権を持つ取締役

取締役会設置会社の場合は、取締役会の決議によって選任された代表取締役が会社代表権を持ち、代表取締役以外の取締役はその権利を持ちません。一方、取締役会非設置会社では、原則として、各取締役が業務執行権の他に、会社代表権も有します。

例外的に、取締役会非設置会社でも、以下の1.~3.に該当する方法で代表取締役を定めた場合は、代表取締役が会社代表権を持ちます。

  1. 定款
  2. 定款の定めによる取締役の互選
  3. 株主総会の決議

会社代表権がない取締役との契約が無効になるケースも

代表権のない取締役と契約した場合には、株式会社との契約とは見なされずに、契約が無効とされる場合があります。株式会社と取引する場合には、取引前にその会社の登記事項証明書を確認して、代表権のある取締役と契約を締結する必要があります。

公開会社と非公開会社の取締役の違い

公開会社の取締役は、経営に関する豊富な知識や経験をもった“プロ”が就任することが多いのですが、非公開会社の場合には、創業者一族などがそのまま取締役に就任することが多くなります。そのため、公開会社のほうが、経営と所有の分離が進んでいるケースが多いです。

取締役会は要件によって設置する機関

取締役会は、3人以上の取締役で構成される株式会社の機関です。以前は、株式会社は取締役会を必ず設置しなければなりませんでしたが、2006年5月の会社法施行後は、非公開会社では、取締役会の設置は任意となりました。

取締役会の設置義務がある会社

会社法において、株式会社が次のいずれかに該当する場合には、取締役会を設置する必要があります。

  1. 公開会社
  2. 監査役会設置会社
  3. 監査等委員会設置会社
  4. 指名委員会等設置会社

上記の1.~4.に該当する株式会社は、ある程度大きな規模の会社です。旧法下では有限会社に区分されていたような家族経営的な小規模な株式会社の場合、取締役会を置かなくてはならないというケースはそれほど多くはないでしょう。

取締役会での決議事項

取締役会では、取締役会でしか決議できない事項をはじめ、業務執行にかかわる意思決定を行います。

取締役会で決議する事項については、「取締役会では何を決めるの?知っておきたい決議の方法・内容」の記事で詳しく紹介しています。

取締役会の設置・廃止には登記が必要

商業登記では、取締役会を設置したり廃止したりする場合には、取締役会設置会社の定めの設定または廃止の登記をしなくてはなりません。その際に係る費用(登録免許税)は1件あたり3万円です。

取締役会の廃止についての詳細は、「取締役会を廃止したら登記!申請手順と必要書類は?」の記事をご覧ください。