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設立準備

発起人は何をする人?役割や責任は?

発起人は、会社設立の際、資本金の出資、定款の作成など、会社設立の手続きを行う人のことを言います。会社設立の際に、発起人は必ず必要です。

発起人の意味をより詳しく理解するために、①株式会社の設立の種類、②発起人と意味が似ているけれども違う意味の用語、さらに、③発起人の役割・仕事と義務・発生してしまう可能性のある法的責任を、順に説明します。

株式会社の設立の種類:「発起設立」「募集設立」

会社を設立する際に、資本金の払い込みは必ず行わなければならないことです。これを発起人が全額引き受けて行う会社設立を発起設立といいます。

これに対して、発起人が資本金の一部の払い込みを引き受け、その他は株主となる人を募集して資本金の払い込みを行わせて会社を設立することを募集設立といいます。

会社設立についての説明をしている本などでは、発起設立を標準的なものとしていて、特に断り書きがない限り、発起設立の手続説明を会社設立の手続の説明としています。

募集設立で広く株主を募集すると、お金は出せるが経営に好ましくない人物も株主になり、株主総会で口を出せることになります。通常であれば、広くお金を集めることも設立時には必要がありませんので、募集設立はあまり使われません。そういうわけで、あまり本でも紹介されていないのです。

発起設立の例

募集設立の例

発起設立 資本金 400万円

募集設立 資本金 400万円

発起人A200 万円払い込み

発起人B100万円払い込み

発起人C100万円払い込み

発起人300万円払い込み

株主1~5 20万円ずつ払い込み

⇒5人を発起人が取りまとめ

発起人と意味が似て非なる用語

混同しがちな用語①:株主と発起人

通常、株主は払い込む資本金の額に応じて株式が発行されます。これに対して、発起人は全員株主になることが予定されています。会社設立の時の出資金の分だけ、株式が発行されて株主となります。

株主は、発行済み株式総数に対する持株数に応じた株主としての権利を会社に行使できます。株主総会に出席して、会社のために意思決定する権利(共益権といいます)と配当等の経済的利益を受ける権利(自益権といいます)を持っています。

会社のために株主であることを原因として義務を負うわけではありません。会社が万が一倒産した場合、何ら債務を負わないこととなります。ただし、株式の価値は0になってしまいます。

これに対して、発起人は資本金の払込責任・善管注意義務があり、これらに違反すると損害賠償責任を負う可能性があります。

善管注意義務というのは、その職業人であれば期待される注意義務のことです。発起人の場合、設立事務を大きなミスなく、確実に行うことが期待されています。

混同しがちな用語②:取締役と発起人の違い

取締役は会社の業務を執行する「機関」であり、任期があります。発起人は設立中の会社の事務を行うのみで、会社の機関ではなく、任期も会社法で定められていません。

また、取締役は発起人により選ばれますが、発起人が取締役から選ばれることはありません。

ただ、共通しているのは、発起人と取締役は会社に対して善管注意義務を負う点です。

内容は取締役が経営を適切に行う責任を負っているので、より重いですが、同じ注意義務が課されています。

発起人の役割、義務と責任

発起人の役割

発起設立の場合、発起人が行うべき事務は、主に次の4つです。

・定款作成
・資本金の払い込み
・株式会社設立にあたって必要な事項の決定
・株式会社設立登記手続

なお、定款は認証手続きというのがあり、公証人に行ってもらう必要があります。発起人の決議または定款の規定により取締役を選任しますので、1人会社の場合は発起人自身が選任され、そのあと取締役として登記の手続きを行います。

発起人の義務と責任

最後に、発起人の義務と責任には主に次の4種類があります。

・資本金の払込みを現物出資によって行なった場合、その価額が定款記載の額より著しく不足する場合に、不足額を支払う義務
・会社が不成立になった場合に処理すべき事務、費用等についての責任
・会社設立の事務をするにあたって、任務を怠り、会社に損害を与えた時の責任
・会社設立の事務をするにあたって、第三者に対して損害を与えた時の責任

以上の責任は原則として発起人全員が連帯責任を負うことになりますので、会社設立の際は慎重に手続きを進めていく必要があります。

発起人の資格・人数

発起人には、資格が特にありません。外国籍の方・海外居住者でも制限はありません。また、発起人の人数には制限がありません。

しかし、発起人があまり多いと、募集設立の場合と同じような問題点があります。そのため、大人数で発起設立する例は、実務上ほとんどありません。

発起人には年齢制限がなく、未成年でもできるとされます。しかし、登記の際に必要な印鑑証明書は15歳以上でないと作成できないため、発起人になれるのは必然的に15歳からとなります。