なぜ必要?株式会社設立時の「印鑑証明書、顔写真付き身分証明書」
株式会社を設立する際には、いくつかの書類を準備する必要があります。
その中には印鑑証明書と顔写真付き身分証明書も含まれており、「何に使うの?」と疑問を抱く方の声を耳にします。
この記事では、株式会社の設立時に「印鑑証明書」と「顔写真付き身分証明書」の提出が求められる場面と理由を紹介します。
印鑑証明書、身分証明書を提出する場面
株式会社を設立するにはさまざまな手続きが必要で、手続きによっては印鑑証明書や身分証明書の提出が求められます。具体的な場面には、定款の認証を受けるときと設立登記を申請するときです。
公証人に定款認証を受けるとき
定款には、設立しようとする会社の目的、商号、本店所在地、出資される財産の価額及び発起人の氏名等を記載し、その上で公証人の認証を受ける必要があります。この際、公証役場には定款とともに発起人全員の印鑑証明書を提出します。
設立登記を申請するとき
設立登記を法務局に申請するときは、いくつかの書類を提出します。その書類の中に、取締役等の就任承諾書(取締役会を設置している場合は代表取締役の就任承諾書、取締役会を設置していない場合は取締役全員の就任承諾書)があります。
取締役等の就任承諾書には、商業登記規則61条7項により、取締役に就任しようとする者個人の身分証明書又は印鑑証明書を添付します。
身分証明書の代表的なものは、次のとおりです。
- 住民票写し
- 住基カードのコピー
- 運転免許証のコピー
- マイナンバーカードの表面のコピー
しかし、規則61条7項ただし書記載のとおり、取締役に就任しようとする者個人の印鑑証明書を添付すれば身分証明書を添付する必要がありません。実務においては、印鑑証明書を添付することが大部分ですので、身分証明書を添付する例は少ないでしょう。
「印鑑証明書」と「顔写真付き身分証明書」が必要な理由
これまでに説明したように、定款を作成するときには公証人に印鑑証明書を提出し、本人確認として顔写真付き身分証明書を提示する必要があります。また設立登記を申請するときは法務局に印鑑証明書又は顔写真付き身分証明書を提出する必要がある場合があります。
それでは、なぜ公証役場等で印鑑証明書や顔写真付き身分証明書を提出する必要があるのでしょうか。
近時の実体がなく名前だけの会社が、振り込め詐欺の舞台として利用されたり、犯罪収益についていわゆる資金洗浄(マネーロンダリング)を行うために利用されたりしていることが指摘されています。
これらを防止するためには、印鑑証明書や顔写真付き身分証明書を提出させて、本人確認をしっかりと行うことが求められています。さらに、その前段階である印鑑登録の場面でも、顔写真付き身分証明書を提出させて本人確認を確実に行っています。
まとめ
株式会社設立時には3か月以内に発行された「印鑑証明書」と「顔写真付き身分証明書」を準備し、スムーズに手続が進むようにしましょう。