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印鑑カードとは?取得方法や紛失時の対応を解説

印鑑カードは、会社設立登記をした後に法務局から交付してもらい、会社の印鑑証明書を取得するときに必要となるものです。

この記事では、印鑑カードの取得方法や紛失した場合の対応方法などについて解説します。

印鑑カードとは

印鑑カードは、法人が法務局で印鑑証明書を発行したもらうために必要となるカードです。公的な手続きなどにおいて、その印鑑が自分(代表)のものと証明するために必要になります。

個人でも、市区町村役場に実印登録をして、その実印の印鑑証明書を発行するときに印鑑登録証(カード)が必要となりますが、それの“法人版”です。

法人は、通常、法人設立登記をするときに、法務局に法人代表印の届出を行います。

そして、その代表印の届出と同時(もしくは登記完了後)に印鑑カードの交付申請も行います。

印鑑カードの交付申請をしなければ、自動的に印鑑カードが発行されることはないので注意が必要です。

印鑑カードの利用シーン

印鑑カードが必要となるのは、法人の印鑑証明書を法務局で発行してもらうときです。

法人の印鑑証明書は、金融機関から提出を求められたり、各種の契約締結時等に必要になったりすることがあります。

印鑑証明書を発行するためには、必ず印鑑カードが必要です。

逆に、印鑑カードさえあれば、たとえ会社の代表者ではなくても印鑑証明書を取得することができ、委任状も必要ありません。たとえば、従業員等が印鑑証明書を取得することもできます。

印鑑カードの取得方法

印鑑カードの取得方法について解説します。

手続きの流れ

大まかな流れとして、印鑑(改印)届書の提出・印鑑カード交付申請書の提出・カードの受け取りがあります。各項目について詳しく説明します。

①印鑑(改印)届書を提出する

まず、印鑑カード交付申請をする前提として、法務局に「印鑑(改印)届書」を提出する必要があります。

印鑑(改印)届書を記入し、印鑑カード交付申請書と同時またはそれ以前に提出しておきましょう。

 参考記事:印鑑(改印)届書の書き方と手続きの流れ(記入例あり)

②印鑑カード交付申請書を提出する

法務局の窓口に印鑑カード交付申請書を提出します。交付申請書の用紙は法務局に置いてあり、法務局のHPからダウンロードすることもできます。

登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式

交付申請の手続きができる場所は、その法人の本店所在地を管轄する法務局です。

会社設立登記を申請する法務局と同じ法務局なので、通常は設立登記と同時または完了後の書類を受け取るときに印鑑カード交付申請書も提出します。

③カードを受け取る

印鑑カード交付申請書を提出すると、通常、10分程度待てばその場で印鑑カードを発行してくれます。

ただし、印鑑カードを取得できるのは会社設立登記が完了した後なので、設立登記申請と同時に印鑑カード交付申請書を提出した場合には、設立登記が完了するまで印鑑カードを受け取ることはできません。

印鑑カード交付申請書の記入例

印鑑カード交付申請書の記入内容を解説します。

印鑑カード交付申請書

登記所に提出した印鑑の押印欄

印鑑届出書に押印したものと同じ法人印を鮮明に押印します。印影が欠けていたり、不鮮明だったりする場合、押し直しを求められる場合があるので気を付けましょう。

商号・名称

法人の正式名称を記載しましょう。ただし、株式会社を㈱と省略して記載しても問題ありません。

本店・主たる事務所

法人の本店所在地を登記されているとおりに記載します。建物名や部屋番号についても、登記されているのであれば省略せずに記載します。

印鑑提出者の資格

該当する資格に〇をつけましょう。

氏名

代表者の氏名を記載します。ここには氏名だけ記載すればよく、肩書(代表取締役等)を記載する必要はありません。

生年月日

代表者の生年月日を記載します。印鑑届出書に西暦で記載した場合は西暦で、和暦で記載した場合は和暦で記載します。

会社法人等番号

会社法人等番号を記載します。会社法人等番号は、会社の登記事項証明書に記載されています。また、国税庁法人番号公表サイトでも確認できます。

申請人

法人の代表者本人が申請する場合は「印鑑提出者本人」、代理人が申請する場合は「代理人」にチェックを入れます。

住所氏名には、申請人(代表者本人または代理人)の住所、氏名を記載します。

委任状

法人の代表者本人ではなく、代理人が申請をする場合には委任状の欄を記載します。

代理人の住所氏名と、法人の代表者の住所氏名を記載し、印鑑届出をした会社代表印を押印します。代表者の個人の実印ではなく、法人の届出印を押印する必要があるため、注意しましょう。

印鑑カードを紛失した場合

印鑑カードを紛失してしまった場合の対応方法を紹介します。

手続きとしては以下の2つが必要となります。

  • 印鑑カードの廃止届出
  • 印鑑カードの再交付申請

印鑑カード廃止届書の記入例

印鑑カードの交付申請と同時に、古い印鑑カードの廃止届出を行います。

「印鑑・印鑑カード廃止届書」の用紙が法務局に置いてあり、法務局のHPからダウンロードすることもできます。

印鑑・印鑑カード廃止届書

記載する内容は、以下のものです。

届出内容のチェック欄

印鑑カードの廃止届出の欄にチェックを入れます。届出した印鑑自体も紛失した場合などは、印鑑及び印鑑カードの廃止届出の欄にチェックを入れます。

押印欄

法務局に印鑑届出をした法人の代表印を押印します。

商号・名称

法人の登記されている正式な名称を記載します。

本店・主たる事務所

法人の登記されている本店を記載します。

印鑑提出者の資格

法人の代表者について、該当する資格に〇を付けます。

氏名

法人の代表者の氏名を記載します。

住所

法人の代表者の住所を登記されているとおりに記載します。

生年月日

法人の代表者の生年月日を記載します。

印鑑カード番号

紛失した印鑑カードの番号が分かれば記載します。会社法人等番号とは異なりますので注意が必要です。

カード廃止の理由

該当する理由を選んでチェックを入れます。

申請人

法人の代表者本人が申請する場合は「印鑑提出者本人」を、代理人が申請する場合は「代理人」を選んでチェックを入れます。

委任状

法人の代表者本人ではなく、代理人が申請をする場合には委任状の欄を記入します。

委任内容は、印鑑カードのみの廃止の場合には、「印鑑カードの廃止届出」を選んでチェックを入れます。

押印欄には、法務局に届け出ている法人の代表印を押印します。代表者の個人の実印ではありません。

印鑑カードの再発行方法

印鑑カードは再発行が可能なので、法務局で再交付の申請を行います。

再交付の場合の専用の用紙があるわけではなく、通常の交付申請書に再度記入することになります。

まとめ

印鑑カードは印鑑証明書を取るために不可欠なもので、いざ印鑑証明書が必要となったときに見つからないと慌ててしまいがちです。

大切なものなので、法人の代表印などと同様に大切に保管しておきましょう。
紛失や不正利用を防ぐためにも注意して保管することが大事ですが、 万が一紛失したり、破損してしまったりした場合でも、再発行ができます。慌てずに落ち着いて対応しましょう。