会社設立登記をオンライン申請する手順
会社を設立するためには、登記の申請が不可欠です。設立の登記は、書面申請だけでなくオンライン申請も可能ですが、初めての場合はやや手続きが複雑に感じるかもしれません。ただ、メリットも多く検討する価値はあるでしょう。
ここでは、会社設立登記のオンライン申請について解説します。
会社設立登記とは
会社を設立するためには、会社設立登記をしなければなりません。
登記の申請が受理された日が「会社設立日」となり、登記をしていない限りその会社は公的に存在していないことになります。
会社を設立するためには、必ず登記しなければいけない内容が法律で定められています。
株式会社の場合、以下の内容は必ず登記しなければなりません。
①商号(会社名) | 会社の種類に応じ、例えば株式会社であれば、必ず「株式会社」と入れる必要があります。 |
②本店所在地 | 具体的な地番まで登記しなければなりません。 |
③目的 | 会社がどのような事業を行うのか、事業目的を登記します。 |
④資本金の額 | 下限の金額は特にないため、1円以上で構いません。 |
⑤発行可能株式総数 | 最大で株式をどれくらい発行できるのか、上限を登記します。 |
⑥発行済み株式総数並びにその種類及び数 | 設立時に発行した株式数を登記します。 |
⑦取締役の氏名 | 最低でも取締役1名が必要です。 |
⑧代表取締役の氏名・住所 | 代表取締役は氏名だけでなく、住所も登記する必要があります。 |
⑨公告方法 | 官報公告、Webサイトで公告、新聞紙面で公告などがあります。 |
上記以外にも、定款(会社のルールを定めたもの)などで定めた場合には登記しなければならない内容もあります。
会社設立登記をオンライン申請する方法
会社設立登記を申請する方法は、従来の書面申請のほかに、オンライン申請があります。
オンライン申請とは、インターネットを使って自宅などから登記申請データを法務省のシステムに送信する方法です。
オンライン申請をするメリットは、主に以下のとおりです。
メリット①
インターネットができる環境があれば、法務局の窓口に出向く必要がありません。会社設立登記は、登記申請が受け付けられた日が「設立日」となるため、書面申請の場合には希望の設立日に合わせて法務局が遠くても窓口に出向かなければなりません。オンライン申請であれば、自宅などから設立希望日に申請すればよいため、便利です。
メリット②
登録免許税を納付する際、収入印紙を購入する必要がなく、インターネットバンキングで納付することができます。書面申請の場合には、郵便局などで収入印紙を購入しなければなりません。
メリット③
書面申請よりも、通常早く登記が完了します。国もオンライン申請を推奨しており、オンラインの方が書面申請より早く処理を進めてくれます。
メリット④
登記の完了状況をオンライン上で確認することができます。書面申請の場合、登記完了予定日の目安はありますが、電話などで法務局に確認しなければ確実な完了状況がわかりません。
登記・供託オンライン申請システム
会社設立登記のオンライン申請は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して行う必要があります。
このシステムは、登記申請や供託の手続きをインターネットで行うための公的なシステムです。
会社設立登記(発起設立)をオンライン申請する手順
株式会社を発起設立する場合の手順を簡単に紹介します。
手順①:定款作成と認証
まずは会社のルールブックである定款を作成します。定款には、必ず記載しなければならない内容(絶対的記載事項)、定めた場合には記載しなければ効力が認められない内容(相対的記載事項)、任意で記載することができる内容(任意的記載事項)があります。
定款を作成したら、公証役場での認証を受ける必要があります。
公証役場で認証を受けるためには、事前に公証役場に定款案をFAX等で送り、内容をチェックしてもらいます。
定款は、紙の定款のほか、電子定款の作成も可能で、電子定款の場合は印紙代4万円を節約することができます。
手順②:資本金の払い込み
発起人が資本金を払い込みます。払い込みをする口座は、発起人の個人口座です。設立時代表取締役または設立時取締役の個人口座へ払い込むこともできます。会社設立前には会社の口座は存在しないため、個人口座へ振り込むことになります。
手順③:各種書類の作成・取得
登記に必要となる書類の作成、印鑑証明書などの書類を取得、法人印の作成など、必要な書類などを揃えます。
手順④:ソフトのインストールと利用者登録
オンライン申請をするために、「登記・供託オンライン申請システム」への利用者登録を
します。
「登記・供託オンライン申請システム」を検索してページを開き、トップページの「申請
者情報登録」をクリックし、氏名などの必要な情報を入力します。
登録が完了したら、ソフトウェアのダウンロードページから「申請用総合ソフト」のイン
ストールを行います。
手順⑤:申請書様式選択と申請書情報の入力
申請用総合ソフトにログインして、申請書情報の入力を行います。
「処理状況表示」→「申請書作成」→「申請書様式一覧選択」の順番でクリックしていき、「会社設立登記の申請書」を選択します。
商号・本店・登記の事由・登記すべき事項・登録免許税等の必要な情報を入力していきます。
手順⑥:電子署名
申請書に電子署名を付与する必要があります。
電子署名の方式は、ICカードで署名する方法、ファイルで署名する方法の2つがあります。
「電子署名」をクリックして、「ICカードで署名」または「ファイルで署名」のいずれかを選択します。ICカードで署名する場合、ICカードリーダーにICカードを差し込んで「OK」をクリックします。ファイルで署名する場合、電子証明ファイルを選択して「開く」をクリックします。アクセスパスワードを入力して確定すると、電子署名の付与が完了します。
手順⑦:データの送信
電子署名した申請書情報を送信します。
手順⑧:登録免許税の納付
登録免許税の納付手続きを行います。
電子納付をする方法と、収入印紙を購入して用紙に貼り付けて提出する方法がありますが、その場で簡単に納付が完了する電子納付がおすすめです。
株式会社設立登記の登録免許税は、資本金額の0.7%ですが、最低金額は15万円です。
オンライン申請と書面申請とで、登録免許税の金額は変わりません。
手順⑨:添付書類の提出
会社設立登記(発起設立)には、申請書情報以外にも添付書類が必要です。
取締役会を設置しない会社が発起設立する場合、基本的な添付書類は以下のものです。
- 定款
- 設立時取締役、設立時監査役選任及び本店所在場所決議書
- 発起人の同意書
- 設立時代表取締役を選定したことを証する書面
- 設立時取締役、設立時代表取締役及び設立時監査役の就任承諾書
- 払い込みを証する書面
- 設立時取締役の印鑑証明書
- 設立時監査役の本人確認証明書
これらの書類を、「申請書総合ソフト」の「書面により提出した添付書類の内訳表の印刷」をクリックしてプリントアウトしたものと共に法務局に提出します。持参ではなく郵送することも可能です。
ただし、この添付書類が届いた時点から法務局による審査が開始されるので、急いでいる場合には持参した方が早いでしょう。
なお、添付書類についてもオンラインで提出することもできます。
この場合には、手順③の後、PDF化した添付書類に電子署名をして、電子署名した添付書類を申請書に添付する作業を行います。
定款が電子定款の場合には、「公文書フォルダ追加」を選択してファイルを添付して送信する必要があります。
まとめ
会社設立登記をするには、オンライン申請の場合も書面申請の場合も、様々な書類を作成して添付しなければなりません。自分でゼロからミスなく書類を作るのは意外と大変です。
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