【会社設立後の提出書類】⑭雇用保険適用事業所設置届の書き方(記入例あり)
会社を設立して労働者を雇うようになると、各所に提出しなければならない書類が増えます。
今回説明する「雇用保険適用事業所設置届」もそのひとつです。雇用保険に係る手続きを行う際に欠かせない書類なので、概要や書き方についてチェックしておきましょう。
雇用保険適用事業所設置届の概要
雇用保険適用事業所設置届(以下、適用事業所設置届)は、会社設立後、雇用保険の被保険者となる労働者を雇用したときに提出が義務づけられている書類です。
雇用保険の被保険者には、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある者が該当します。
この要件を満たす労働者を雇用した場合、雇用保険の適用事業となり、雇用保険に係る手続(保険関係成立届、概算保険料申告書、適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届の提出)を行わなければなりません。
保険関係成立届を先に提出
適用事業所設置届は、「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署に提出(二元適用事業の場合は、所轄の公共職業安定所にも提出)し、労働保険番号を付与された後でなければ提出できません。まずは保険関係成立届の作成・提出から進めましょう。
※保険関係成立届の作成方法は、【会社設立後の提出書類】⑫労働保険の保険関係成立届の書き方をご覧ください。
提出期限、提出先、提出方法
適用事業所設置届の提出期限は、設置の日(雇用保険の加入要件を満たす労働者を雇い入れた日)の翌日から10日以内です。
所轄の公共職業安定所(ハローワーク)の窓口に書類を持参してください。なお、電子申請による届出も可能です。
必要な添付書類
適用事業所設置届の提出時には、次の書類を添付する必要があります。
☑保険関係成立届の事業主控
※労働基準監督署受理済みのものに限ります。
☑事業所の実在、設置日や所在地などが確認できる書類(以下のいずれか)
- 登記事項証明書
- 事業許可証
- 工事契約書
- 不動産契約書
- 源泉徴収簿
- 他の社会保険の適用関係書類
※事業所の所在地が登記されたものと異なる場合は、所在地が明記された書類(公共料金の請求書、賃貸借契約書など)が必要です。
雇用保険被保険者資格取得届も同時に提出
雇用保険に係る手続では、雇用保険被保険者資格取得届の提出も必要です。提出先はどちらも所轄の公共職業安定所(ハローワーク)なので、あわせて提出すると効率的です。
なお、雇用保険被保険者資格取得届を初めて提出する事業主は、以下のような、労働者の雇用の事実が確認できる書類の添付が求められます。
☑労働者名簿
☑賃金台帳(雇用~現在のもの)
☑出勤簿またはタイムカード(雇用~現在のもの)
☑雇用契約書
また、労働時間の短いアルバイトや有期契約の労働者を雇用した場合は、就業規則や雇用契約書の提出が必要です。
雇用保険適用事業所設置届の書き方
ここからは適用事業所設置届の書き方について説明します。申請書には規定の様式があり、ハローワークインターネットサービスでダウンロードできます。また、同サイト内での画面入力による申請書の作成も可能です。
記入例とポイント
記入例をもとに、作成時のポイントを抜粋して解説します。
<表面>
①法人番号
法人設立登記の完了後に付与される13桁の法人番号(法人マイナンバー)を記入します。
②労働保険番号
保険関係成立届を提出した際に付与される労働保険番号を記入します。※保険関係成立届(事業主控)を参照に記入しましょう。
③事業の概要
事業の内容を具体的に記入します。(例.日用品・雑貨等の販売、ITによる経営支援、金属部品の加工業など)
④常時使用労働者数
1日の平均従業員数の見込みを記入します。
※「1日平均使用労働者数=延使用労働者数÷所定労働日数」で算出します。
⑤雇用保険被保険者数
「一般」にはその年度の1カ月平均雇用保険被保険者のうち、一般被保険者と高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者の合計数を記入します。「日雇」には、日雇労働被保険者数を記入します。
⑥雇用保険担当課名
「総務」「人事」など、担当窓口となる部署名などを記入します。
⑦社会保険の加入状況
加入している社会保険を丸で囲みます。
<裏面>
⑧登録印
事業所印影欄には社印(角印)、事業主(代理人)印影欄には代表者の実印をそれぞれ押印します。その他の欄は押印する必要はありません。
⑨最寄りの駅又はバス停から事業所への道順
略図を記入します。
まとめ
雇用保険に係る手続きを行う際は、全体の手順を把握することが大切です。まずは保険関係成立届と概算保険料申告書を提出し、続いて適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を一緒に届け出るようにしましょう。必要となる添付書類も多いので、抜け漏れなく準備することが大切です。