【会社設立後の提出書類】⑨健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の書き方(記入例あり)
従業員を新たに雇用すると提出義務が生じる書類がいくつかあります。
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」(以下、被保険者資格取得届)もそのひとつです。ヒトを採用することで成長していく会社にとって、提出する機会の多い書類のひとつといえるでしょう。
ところが、「いつ、どこに、どのやって提出すればいいんだっけ?」「書類には何を書けばいいの?」と悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、被保険者資格取得届の概要や作成のポイントを解説します。
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届について
被保険者資格取得届は、従業員が健康保険および厚生年金保険に加入するときに提出する書類です。加入要件を満たす従業員を新たに雇用した時は原則、提出しなければなりません。
提出期限、提出方法、提出先
被保険者資格取得届は、雇用等によって新たに健康保険・厚生年金保険に加入すべき者が生じた日から5日以内に提出します。
提出方法と提出先は、郵送の場合は事務センター、窓口持参の場合は事業所所在地を管轄する年金事務所です。
届出用紙の他、電子媒体(CDまたはDVD)でも提出できます。また、電子申請による提出も可能です。
添付書類が必要になるケース
添付書類は原則不要ですが、次の2つのケースに該当する場合は必要になります。
(1)60歳以上で、退職後1日の間もなく再雇用された場合、aとbの両方またはcが必要となります。
a.就業規則、退職辞令の写し(退職日の確認ができるもの)
b.雇用契約書の写し(継続での再雇用が確認できるもの)
c.退職日および再雇用された日に関する事業主の証明書(事業主印の押印が必要)
※(1)の場合、被保険者資格取得届と同時に資格喪失届の提出が必要です。
(2)国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件に該当する場合等
健康保険被保険者適用除外承認申請書
※(2)は国民健康保険組合の理事長が認めた場合のみ被保険者資格取得届の提出が可能となり、事実発生日から14日以内に届出が必要です。
未提出が発覚した場合
被保険者資格取得届の提出が必要であるにもかかわらず、提出していないことが後で発覚した場合、被保険者資格取得届の提出に加え、被保険者の入社日(提出義務が生じたとき)からの保険料の支払いを求められます。
また老齢厚生年金の受給者が対象の場合、すでに支払われた年金を返納しなければならないケースもあります。届出漏れには注意が必要です。
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の書き方
ここからは被保険者資格取得届の書き方について説明します。被保険者資格取得届には規定の様式があり、日本年金機構ホームページでダウンロードすることができます。
記入するときのポイント
被保険者資格取得届を記入するときに注意すべきポイントを抜粋して説明します。
①健康保険被保険者証記号
会社ごとに決められている記号を記入します。
②厚生年金保険事業所整理記号、事業所番号
こちらも会社ごとに決められている記号および番号を記入します。
③被保険者整理番号
被保険者別に追番号を記入します。追番号とは通し番号のことです。入社順に整理番号を付与するとよいでしょう。
④取得区分
該当するものを丸で囲みます。
⑤取得(該当)年月日
入社日(事実上の使用関係が発生した日)を記入します。
⑥被扶養者
健康保険の被扶養者がいる場合、「1.有」を丸で囲み、被扶養者(異動)届を提出します。
⑦報酬月額
㋐通貨
労働の対価として支払われるすべての金額を記入します。臨時で支払われたものや賞与などは含みません。
なお、週給制の場合は「報酬額÷7×30」に相当する金額を記入します。また、歩合やインセンティブ等で給料が変わる場合は、同様の業務に携わっている従業員の給料の平均額を記入します。
㋑現物
定期券や食事、住宅など、金銭以外で支払われるものの金額を記入します。
⑧備考
「2.二以上事業所勤務者の取得」の場合、資格取得日から10日以内に被保険者が被保険者所属選択・ 二以上事業所勤務届を提出しなければなりません。
「3.短時間労働者の取得(特定適用事業所)」は、短時間労働者に係る資格取得届を提出する場合に丸で囲みます。
「4.退職後の嘱託再雇用者の取得」の場合、被保険者資格喪失届の提出も必要です。
⑨住所
健康保険に加入する場合は、居住している住所を記入します。
記入例
最後に被保険者資格取得届の記入例を掲載します。書類作成時の参考にしてください。