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創業期の資金調達に使える「新創業融資制度」

創業期には何かにつけて「お金」の不安がつきまといます。ビジネスが軌道に乗るまでは資金調達に奔走する企業も少なくないのではないでしょうか。

資金調達の選択肢には、金融機関からの融資や補助金・助成金の活用などがあります。そのうち、創業前や創業直後の資金調達策として活用できるのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。

この記事では「新創業融資制度」の概要や融資までの流れについて解説します。

新創業融資制度の概要

「新創業融資制度」は、日本政策金融公庫が行う融資制度です。大きな特徴は、無担保、無保証人で融資が受けられることです。仮に経営が破綻して倒産に至っても、経営者個人は返済責任を負いません。

なお、新創業融資制度は他の融資制度との併用が必要で、「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」と組み合わせることが多いようです。

新規開業資金と女性、若者/シニア起業家支援資金は、次の記事で解説しています。

>開業前の資金調達の定番「新規開業資金」を簡単解説

>「女性、若者/シニア起業家支援資金」概要と融資までの流れ

資金使途、貸付限度額、貸付期間

新創業融資制度の対象となる資金使途は、事業開始前後で必要な設備資金および運転資金です。貸付限度額は3,000万円で、そのうち運転資金は1,500万円。貸付期間は併用する他の融資制度に準じます。

資金使途設備資金および運転資金
貸付限度額3,000万円(うち運転資金1,500万円)
貸付期間併用する融資制度による
担保、保証人無担保、無保証人(原則)

利率は年利2.56~2.75%(令和2年3月2日時点)です。法人の代表者が連帯保証人となる場合、利率は優遇されます。

融資を受けるための要件

融資を受けるには、下表の1)~3)の要件に該当する必要があります。

1)創業の要件

次のいずれかに該当すること

  • 新たに事業を始める人
  • 事業開始後、税務申告を2期終えていない人
2)雇用創出等の要件

次のいずれかに該当すること

  1. 雇用の創出を伴う事業を始める人
  2. 技術・サービス等に工夫を加え、多様なニーズに対応する事業を始める人
  3. 現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める人で、6年以上の勤務経験(同業種の他企業での勤務も含む)がある人
  4. 大学等で習得した技能等に密接に関連した職種に2年以上継続して勤め、その職種と密接に関連した業種の事業を始める人
  5. 産業競争力強化法に定める「認定特定創業支援等事業」を受けて事業を始める人
  6. 「地域創業促進支援事業」または「潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクール」の支援を受けて事業を始める人
  7. 日本政策金融公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める人
  8. 民間金融機関(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合)と日本政策金融公庫による協調融資を受けて事業を始める人
  9. 前1~8までの要件に該当せず事業を始める方であって、新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると公庫が認めた方で、1,000万円を限度として本資金を利用する人

また、事業をすでに開始している場合、事業開始時に1~9に該当していれば対象となります。

3)自己資金要件

新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を1期終えていない人は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できること

なお、2)雇用創出等の要件の3~8に該当する場合は、自己資金要件を満たさなくても対象になります。

また、新商品の開発・生産、新しいサービスの開発・提供等、新規性が認められる人、中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用予定人も、自己資金要件に該当しなくても対象になります。

引用元:日本政策金融公庫ホームページ

融資を受けるまでの流れ

ここからは新創業融資制度で融資を受けるまでの流れについて説明します。申し込みから融資までの期間は、3~4週間を要するようです。

①相談

まずは日本政策金融公庫の窓口(創業ホットライン、創業サポートデスク)に相談します。
専門家に相談したい場合は、全国6カ所(札幌・仙台・新宿・名古屋・大阪・福岡)にあるビジネスサポートプラザに行きましょう(事前予約制)。

②申し込み

必要書類を支店窓口へ持参または郵送します。主な必要書類は次のとおりです。

  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 見積書(設備資金の場合)
  • 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)

③面談

申し込みから1週間以内に審査担当者との面談が行われます。日本政策金融公庫のホームページによると、面談では次の5つがポイントになるようです。

  1. 創業の動機、略歴
  2. 商品・サービスの内容、特徴
  3. 販売先、店舗等の立地条件
  4. 資金計画の実現性
  5. 収支予測の妥当性

④創業予定地の確認

審査担当者が創業予定地を訪れ、立地の利便性や競合環境の調査をすることがあります。

⑤審査

面談から2週間程度で審査結果が郵送で届きます。

⑥契約~融資

審査結果の書類に契約書が同封されているので、契約書等を郵送で提出します。その後、融資金が指定した銀行口座に入金されます。

まとめ

新創業融資制度は、無担保、無保証人で融資を受けられる心強い制度です。ただし、申し込み時に創業計画書等の作成が必要となるため、法人設立の準備や開業準備と同時並行で進めるのは大変かもしれません。

そのような時は、法人設立の手続きをLegalScript(会社設立登記)で行うと効率的です。ITを活用して開業準備をスムーズに行い、新たな事業のスタートダッシュにつなげてみてはいかがでしょうか。