本店移転の登記手続きを始める前に!注意すべき3つのこと
本記事では、会社の本店移転に伴う登記手続きについて、注意していただきたい点を3つ紹介します。
会社の本店移転に際しては、賃貸借契約を結んだり、従業員の方の理解を得たりするなど、さまざまな手続きやステップが必要となりますが、登記申請も忘れることができません。本店移転を計画されている経営者の方などのご参考になれば幸いです。
注意点①:本店移転の登記が必要か判断する
登記手続きにおける本店移転とは、登記事項証明書(登記簿)に記載されている「本店」の住所を変えることを意味します。あくまでも、登記上の「本店」の場所が変わった時に必要となるのが本店移転登記です。現実的に、オフィスとして稼働しているかどうかは問いません。
最近は、ネットビジネスなど自宅でも始めることができるビジネスが増えてきており、ご自宅を本店として登記申請されている場合も少なくない状況です。このような場合には、ご自宅の引っ越しが本店移転となります。
本店移転の登記手続きが必要かどうかについては、ご自身の会社の登記事項証明書を法務局で取得して、登記上の「本店」が変わってしまうかどうかで判断しましょう。
注意点②:ケースによって提出する書類が変わる
登記申請においては、法律上の手続きをきちんと済ませたことを示す証拠として、さまざまな添付書類が必要となります。本店移転の登記申請においても、一定の添付書類を付ける必要があります。
本店移転の登記においては、取締役会議事録(取締役会を置いていない会社においては、取締役の決定書)が必ず必要となります。
具体的には、取締役会において、本店移転が過半数で可決されたことを示す取締役会議事録、または、取締役の過半数が本店移転に同意したことの決定書が必要です。
当然ですが、本店移転が取締役の過半数で可決されていない議事録、決定書を添付しても登記申請は通りません。取締役会の議事録は、「満場一致の賛成で可決した」と記載されているのが望ましい状態です。
株主総会議事録と株主リストが必要なケース
本店移転に伴い、定款を変更する必要がある場合には、株主総会議事録と株主リストも添付しなければなりません。
管轄区域内での移転の場合も定款の変更が必要となる場合もありますが、他の法務局の管轄区域へ本店移転をする場合は、必ず定款の変更が必要になりますので、株主総会議事録と株主リストの添付は必須です。
定款変更にあたり、株主総会で必要となる賛成の割合は2/3以上の賛成です(会社法第466条及び第309条2項11号が根拠となります)。逆にいえば、67%以上の株主の賛成があれば、反対を押し切っても本店移転が可能となりますが、後日のトラブルを避けるためには、可能な限り「満場一致の賛成で可決した」状態が望ましいのは取締役会議事録と同じです。
注意点③:旧本店所在地の法務局に申請する
管轄外本店移転の際には、登記申請は旧本店所在地の管轄法務局に申請します。
例えば、本店を東京都新宿区から福島県いわき市へと移転した場合、申請先は東京都新宿区の管轄法務局に申請します。いわき市の管轄法務局に申請しても、管轄違いで却下(現実には新宿区の管轄法務局に申請するように指導)されます。
管轄外本店移転の場合には、申請先を間違わないように注意が必要です。
また、管轄外への本店移転の場合には、本店移転登記申請書(新所在地分)、印鑑届書もあわせて旧本店所在地の法務局へ提出する必要があります。
まとめ
本記事のポイントは、以下の通りです。
- 本店移転登記が必要かどうか→登記上の「本店」欄が変わるかどうか。
- ①必ず必要となる添付書類 →取締役会議事録(または取締役の決定書)
②本店移転に伴い、定款を変更する場合に必要となる添付書類→株主総会議事録、株主リスト - 管轄外本店移転の場合の登記の申請先→旧本店所在地の法務局
上記3点以外にも、定款のチェック、従業員の方に対するケア(退職金の支給など)、許認可が必要な事業の場合には、許認可要件が維持されるかの確認など、本店移転に関しては、たくさんの注意点が存在します。本店移転には、登記以外にも法務上検討すべき点が数多くありますので、それぞれの専門家へ相談しつつ、慎重に進めてください。
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