会社の種類や定款によって手続きが変わる?
新人法務担当乙ちゃんは、甲先輩から教わりながら本店移転登記書類を作成することに。移転登記が何なのかはわかったけど、手続きにはいろいろなパターンがあるらしく…?
会社の種類で決議の方法が変わる
会社の本店の住所は、気軽に変更していいものではなく、重要な事項ですので会社としてしっかりとした手続きで決定しなければいけません。
具体的には、取締役による会議によって決定します。まずは、会社が取締役会を設置しているかどうかを確認します。
1.取締役会設置会社の場合
登記簿の「取締役会設置会社に関する事項」の欄に「取締役会設置会社」と記載されていれば、取締役会設置会社です。
この場合、「取締役会」で本店の移転や移転先の住所・日時について決議しなければいけません。
その上で、決議があったことを証明するための「取締役会議事録」を作成します。
ちなみにこの取締役会議事録は後で登記申請するときに必要となります。
2.取締役会非設置会社の場合
登記簿に「取締役会設置会社に関する事項」の欄がなければ、取締役会非設置会社です。
また、取締役が1人や2人の会社や監査役(又は会計参与)がいない会社は取締役会非設置会社です。
この場合、本店の移転や移転先の住所・日時について「取締役の決議」で決定する必要があります。
その上で、決議があったことを証明するための「取締役決定書」を作成します。
ちなみにこの取締役決定書も後で登記申請するときに必要となります。
会社定款によって手続き方法が変わる
定款記載の「本店所在地」と移転先の住所を比較して、定款の変更が必要な場合は「株主総会議事録」と「株主リスト」を作る必要があります。
1.定款の内容をチェック
まず、定款の本店所在地について定めた条文を探します(第3条のことが多いようです)。
そうすると、
(本店所在地)
第3条 当会社は,本店を東京都○○区に置く。
などと記載されていると思います。
移転しようとする本店の所在地が、定款に書いてある「本店所在地」と異なる場所に移転する場合は、定款を変更しなければいけません。
2.定款の変更手続き
定款は自由に変更してもいいわけではなく、原則として株主総会特別決議によって変更しなければいけません。
そこで、株主総会を開催し、定款記載の本店の所在地を変更する旨の決議を可決させます。
その上で、決議があったことを証明するための「株主総会議事録」を作成します。
ちなみにこの株主総会議事録は後で登記申請するときに必要となります。
また、株主総会議事録を登記手続きで使う場合は、株主の情報をリストにした「株主リスト」を作成して提出する必要もあります。
まとめ
自分で本店移転登記を行うのに不安がある方は…
どうしても時間がなかったり難しくて書類の作成を任せたい場合は、司法書士という登記の専門家にお願いして書類の作成・提出を代行してもらうことができます。費用は司法書士事務所によって異なるので、一概には言うことはできませんが、3万円から6万円くらいが相場だといえます。
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