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会社の「公告方法」 種類と必要なケースを解説

すべての会社は、以下の2つの場面で公告を行わなくてはなりません。

  • 決定公告
  • 決算公告

公告を行う義務を怠ったときには、100万円以下の過料に処される可能性があるので注意が必要です。

以下では、これら2つの内容の公告について解説いたします。

なお、似たような言葉で「法定公告」ということがありますが、これは上の2つを合わせていうときに使う言葉です(つまり、「法定公告=決定公告+決算公告」です)。

まぎらわしいので注意しておきましょう。

決定公告が必要なケース

決定公告とは、会社を合併したり、資本金を減らしたりといった重要な決定をしたときに必要な公告です。

会社の債権者や株主は会社の財産状況について重大な関心を持っていますので、これらの重要な決定を行った際には、決定公告を行う必要があります。

決算公告が必要なケース

一方で、決算公告は毎年決算を行う度に行う公告です。

中小企業において実際に決算公告を行なっている会社はほとんどありませんが、法律上は決算についても公告を行うことが義務付けられています。

※なお、合同会社は決算公告の必要はありません。決定広告のみを行えば良いとされています。

公告のやり方は3種類

公告のやり方には、以下の3つの方法があります。どれを選択するかはそれぞれの会社が自由に決めることができます。

  • 官報掲載による公告
  • 日刊新聞紙への掲載による公告
  • 電子公告

上で見たように、公告には決定公告と決算公告の2つがありますので、それぞれの広告について上の3つ方法のどれを選択するかを決めることになります。

例えば、「決定公告については官報掲載、決算公告については電子公告を選択する」といった具合です。

結論から言うと、決定公告については官報掲載による公告を選択し、決算公告については電子公告を選択するのが費用も安くおすすめです。

また、どの公告方法を選択するかは、会社の定款で定めて登記しておく必要があります。

後から定款を変更するためには費用が発生しますので、会社設立時において自社のニーズにあった公告方法を定款に記載しておくのが合理的です。

官報掲載による公告のやり方

官報掲載による公告は、都道府県ごとに置かれている「官報販売所」で申し込むことによって行えます。

インターネットから官報への掲載を申し込むことも可能です。この場合は全国官報販売協同組合の申し込みページから掲載の申し込みを行います。

官報広告にかかる費用は、公告するために必要な行数やページ数によって異なります。

例えば1行につき22文字で10行の公告を行なった場合には、3万5893円(税込)の費用が発生します。

官報掲載によって決定公告を行うためには、申し込みから1週間程度が必要になります。

決算公告では2週間程度が必要になるケースが多いでしょう。

日刊新聞紙への掲載による公告のやり方

日刊新聞紙への掲載による公告とは、その名のとおり市販の新聞に公告するやり方です。

日本経済新聞や朝日新聞といった新聞に自社の情報を掲載する形で公告を行います。

料金はどの新聞社に依頼するかによって変わりますが、30万円以上の費用が発生するケースが多いです。

日刊新聞紙への掲載による公告は料金が高くなりますが、決定公告が必要な場合で債権者の数がとても多いときには選択するメリットがあります。

債権者に個別に催告を行うよりも、日刊新聞紙に掲載して一括で催告を行う方が安上がりになるためです。

電子公告のやり方

電子公告は、インターネットを使って公告掲載を行う方法です。

決定公告について電子公告を選択するためには、法務省が指定する「電子公告調査機関」による調査を受けなければなりませんので、そのための費用を支払う必要があります。

電子公告調査機関には、以下のようなところがあります。

  • 電子公告調査株式会社
  • 日本電算企画株式会社
  • グローリー株式会社
  • 日本公告調査株式会社
  • 株式会社ファイブドライブ

会社の吸収や合併を行う際の登記では「公告をしたことを証する書面」というものを法務局に提出する必要があるのですが、この書面を発行できるのは上記の電子公告調査機関に限られています。

費用はどこの電子公告調査機関を選択するかによって変わりますが、例えば日本公告調査株式会社に依頼した場合には、1件あたり最低で4万7618円(税抜)がかかります。

決算公告についてはこうした調査費用は必要ありませんので、自社のホームページに決算書を公開する方法で行えば足ります。

自社ホームページを持っていない場合にはドメインの取得やサーバーのレンタル代が必要となりますが、新たに導入したとても年間で1万円以内の費用に抑えることが可能です。

まとめ

今回は、会社における公告のやり方について解説いたしました。

公告のやり方が実際に問題となるのは、会社の吸収や合併といった重大な組織再編を行なったような場合です。

本文でも見たように、公告には多額の費用が発生しますので注意が必要です。

公告方法はあらかじめ定款で定めておく必要がありますから、会社設立時に自社のニーズに合う方法を選択しておくようにしましょう。