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特許と実用新案どちらを選ぶ? メリット・デメリットで違いを読み解く

この記事では、特許と実用新案を比較したときの双方のメリット・デメリットから、どちらに出願するのが得策なのかについて、解説します。

実用新案と比べた特許のメリット

安定的で保護の厚い権利

特許は、特許庁による実体審査(新規性、進歩性および記載要件についての審査)を経て、権利化されます。

そのため、方式的な審査のみで登録される実用新案よりも信頼性の高い権利といえます。自己の特許権を侵害する第三者に対しては、差止請求や損害賠償請求によって、権利を行使することができます。

長い権利存続期間

特許は原則、出願日より20年間保護されます。加えて医薬や農薬関連の発明については、5年を限度として存続期間の延長が認められています。存続期間が出願日より10年とされている実用新案より長期の権利保護を受けることができます。

実用新案と比べた特許のデメリット権利付与までに時間がかかる

方式的な審査のみでスピーディーに権利付与される実用新案と違い、特許は特許審査官による実体審査を経なければならないため、権利付与まで時間がかかります。

費用が高い

特許の場合、特許実体審査を請求するために審査請求費用を支払う必要があります。金額は「118,000円+特許請求項の数×4,000円」とされており、例えば請求項の数が10の場合、審査請求費用は118,000円+40,000円=158,000円になります。

特許と比べた実用新案のメリット

簡易でスピーディーな権利保護が可能

実用新案の場合、方式的な審査のみで権利付与される“無審査登録制度”が採用されているため、実体審査を経る必要がある特許と比べて、迅速な権利保護を可能とします。

費用が安い

実用新案では、特許と違い特許審査の費用を支払う必要がないため、その分費用が安いです。特許の実体審査に似た「実用新案技術評価」を請求する場合であっても、費用は特許審査にかかる費用の3分の1程度(42,000円+特許請求項の数×1,000円)で済みます。

特許と比べた実用新案のデメリット

権利の信頼性が低い

実用新案は実体審査を経ることなく権利が付与されるため、いったん登録された場合であっても、その後に権利が無効化されやすい不安定な権利といえます。また、自己の実用新案権を侵害する第三者に対しても、実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、差止請求や損害賠償請求を行うことができません。

存続期間が短い

実用新案の存続期間は出願日より10年と規定されており、原則20年の特許よりも保護期間が短いです。

特許と実用新案どちらを選ぶ?

特許と実用新案のいずれの保護を選択するかに関しては、権利の信頼性や存続期間、費用および手続き負担等を考慮して、総合的に判断することになります。

例えば、自社のビジネスを中長期的に支える(可能性のある)研究成果につき、安定的で保護の厚い権利を確実に得ておきたい場合は、特許による保護を選択することを強くおすすめします。

一方、権利で保護される製品のライフサイクルが非常に短いような場合、研究成果を簡易的に保護するという目的で、実用新案を選択されるのも十分考えられます。

ただし実用新案の場合は、保護の対象が「物品の形状、構造又は組合せに係るもの」に限定されており、例えば、「物の“製造方法”」や「医薬に用いられる“化学物質”」など、そもそも実用新案の保護対象となり得ないものもある、ということにも留意しなければなりません。