リーガルメディア > 経営・ビジネス > 資金調達 > 【事業再構築補助金】制度概要やスケジュールを簡単解説
資金調達

【事業再構築補助金】制度概要やスケジュールを簡単解説

2021年の補助金の“目玉”ともいえる「事業再構築補助金」の申請受付が、令和3年4月15日より始まります(第1回、締め切りは同年4月30日)。この記事で制度の概要や申請スケジュールを確認しましょう。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の経済・社会変化への対応に向けて事業再構築を図る中小企業等を支援する補助金制度です。

また、事業再構築を通じて事業規模を拡大し、現在中小企業者等にあたる事業者から中堅企業や大企業等に成長していくことを目指す企業をより一層強力に支援する補助金事業でもあります。

事業再構築補助金は、令和2年度第三次補正予算で1兆1485億円が計上されている大規模な補助金です。公募も1回限りではなく、令和3年度に複数回実施される予定です。

補助金は原則“後払い”

補助金は金融機関等からの融資とは違い、返済の義務はありません。ただし、事業者が実際に支払った額に応じて支給される “後払い”が原則です(概算払いが認められる場合もあります)。

申請した対象事業を行わなかった場合や、計画する内容(付加価値額の増加等)を達成できなかった場合には、返還しなければならないケースがありますので、ご注意ください。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により売上を大きく落とした企業や事業者に支給された「持続化給付金」のように、条件をクリアすれば必ず支給されるというものではありません。応募した事業計画書等の内容を十分に審査され採択されるものですから、混同しないようにしましょう。

申請には「GビスIDプライム」が必要

事業再構築補助金の申請は、すべて電子申請となり、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。

ただし、GビズID運用センターにおけるアカウントの発行には時間を要することが見込まれています。そのため、これから新規取得を希望する事業者は、通常よりも早期に発行される「暫定プライムアカウント」を取得すれば、事業再構築補助金の応募申請を行うことが可能です。

GビズIDについては、以下の記事をご覧ください。

【GビズID】利用シーンと取得方法を解説

補助金額と補助率

補助金額と補助率に関しては、企業規模と事業類型によって異なります。

事業類型企業規模補助金額補助率
通常枠中小企業者等100万~6,000万円2/3
中堅企業等100万~8,000万円1/2(1/3)
卒業枠中小企業者等6,000万~1億円2/3
グローバルV字回復枠中堅企業等8,000万~1億円1/2
緊急事態宣言特別枠中小企業者等

従業員数5名以下

100万円~500万円

 

従業員数6~20名

100万円~1000万円

 

従業員数21名以上

100万~1,500万円

3/4
中堅企業等2/3

事業類型によって補助対象要件が異なりますので、詳細は公募要領をご確認ください。

また、すべての公募回の合計で、「卒業枠」は400社限定、「グローバルV字回復枠」は100社限定での交付となっていますので、ご注意ください。

補助対象事業の要件

要件は、事業類型(通常枠、卒業枠等)により異なりますが、ここでは「通常枠」について説明します。

①事業再構築要件

事業再構築指針に示されている定義に該当する事業であること(詳しくは後述)

②売上高減少要件

申請前の直近6カ月のうち、任意の3ヵ月の売上高合計額が、2019年または2020年1月~3月の同じ3ヵ月の売上高合計額と比較して、10%以上減少していること。

③認定支援機関要件

補助金に応募申請する事業計画を、「認定経営革新等支援機関」と策定していること。

※補助金額が3000万円超の場合は、金融機関との策定が必要

④付加価値額要件

補助事業終了後3~5年で、付加価値額または従業員一人当たりの付加価値額の年率平均が3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

※付加価値額は、営業利益+人件費+減価償却費の合計額です。

事業再構築要件について

補助対象事業の要件である「①事業再構築要件」には5つの類型があります。各類型の詳細については、「事業再構築指針」において公表されています。具体的に、事業がどの類型に当てはまり、要件を満たすかどうかについては、認定経営革新等支援機関と相談の上で策定していくことになります。

①新分野展開

主たる業種や事業を変更することなく、新しい製品やサービスを提供することによって、新たな市場に進出すること。

②事業転換

主たる業種は変更しないが、新製品や新サービスを提供することによって、主たる事業を変更すること。

③業種転換

新製品や新サービスを提供することによって、主たる業種を変更すること。

④業態転換

製品の製造方法や商品・サービスの提供方法を相当程度変更すること。

⑤事業再編

会社法上の組織再編行為等を行い、新事業形態のもと、上記①~④いずれかを行うこと。

スケジュール

「事業再構築補助金」に限らず、一般的な補助金は、申請を行って採択されれば、すぐに補助金がもらえるというわけではありません。

応募申請し採択された後、補助金の交付申請を行い、期間内に補助事業を実施します。補助事業実施後、実績報告を行い、確定検査によって交付額が決定されたら、補助金を請求し支払われるという流れです。

ですから、例え申請して金額通りに補助金がもらえる場合でも後払いとなり、補助事業の実施費用は、自己負担となります。

金額によっては金融機関の融資が必要となりますので、事前に相談しましょう。

第1回の公募スケジュール

公募開始:令和3年3月26日(金)
申請受付:令和3年4月15日(木)予定
応募締切:令和3年4月30日(金)18:00まで

第1回の採択発表は、令和3年6月中旬頃の予定です。令和3年度内に合計4回程度の公募が予定されていますので、第1回目の公募期限に間に合わない場合でも、準備を進めておくことをお勧めします。

必要書類

申請は、電子申請システムでの受付のみですが、申請内容入力以外にも、PDF等で添付が必要になる書類・資料があります。必要書類は、事業類型により多少異なりますが、ここでは「通常枠」のみ説明します。

  • 事業計画書
  • 認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
  • コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類
  • 決算書等
  • ミラサポplusで作成した「活動レポート(ローカルベンチマーク)」
  • 加点申請する場合の書類

詳しくは、事業再構築補助金ホームページ(中小企業庁)をご確認ください。
https://jigyou-saikouchiku.jp/#c1

まとめ

事業再構築補助金は、補助額、予算金額の大きい補助金ですから、対象となる事業者は、ぜひともチャレンジしたい補助金でしょう。第1回の応募期限は、令和3年4月30日となっていますが、令和3年度内に4回程度の公募が予定されています。今回の公募に間に合わない場合でも、認定経営革新等支援機関とともに、事業計画書の策定を進めていくことをおすすめします。