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【小規模事業者持続化補助金】政策加点とは?各項目を解説

小規模事業者持続化補助金は、国の政策的観点から9つの加点項目があり、条件を満たすことにより審査時に加点があります。

ここでは政策加点項目の詳細について解説をします。

政策加点項目とは?

政策加点とは、国の政策に沿う取組を行う事業者に対して審査で加点を付与するものであり、政策加点項目は、加点の条件となる項目です。審査は、公募要領に示される「審査の観点」に沿って加点方式で行われます。政策加点項目に取り組み、加点の付与を希望することにより、点数がプラスされ、採択が高まる可能性があります。

9つの政策加点

それでは、どのような加点項目があるのか、一つずつ説明をします。

パワーアップ型加点

パワーアップ型加点は、「地域資源型」と「地域コミュニティ型」の2種類があり、次の内容に沿った事業計画を策定した事業者に加点を行います。

地域資源型

地域資源とは、地域の特産物である農林水産品、地域の伝統工芸品、産業集積に由来した鉱工業品やその技術などを意味します。これらを使って、地域外への販売や、新規事業の立ち上げを行う事業者に対して、加点を行います。取り組み例は次の通りです。

  • 地域の特産品のこんにゃくを用いたパスタの開発とECサイト販売
  • 地域の文化財や自然を活用したインバウンド向けツーリズム事業の立ち上げ

地域コミュニティ型

地域コミュニティ型は、地域の課題解決や暮らしのニーズに応えるサービスにより、地域の需要を新たに呼び起こす取り組みを行う事業者に対して加点を行います。地域の課題とは、例えば、地域の雇用(少子高齢化対策)、空き家の増加、シャッター商店街、防災などがあげられます。取り組み例は次の通りです。

  • 不動産業による、観光事業を行う「まちづくり事業部」の創設
  • リフォーム会社による空き家の活用や解体需要を捉えたビジネス

赤字賃上げ加点

赤字賃上げ加点は、「賃金引上げ枠」を申請する事業者のうち、業績が赤字の事業者に対する要件に該当する事業者に対して、政策加点による優先採択を行います。

経営力向上計画加点

経営力向上加点は、「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対して加点を行います。「経営力向上計画」は、自社の経営力を向上するために実施する計画です。各事業分野の主務大臣の認定を受けることにより、税制措置(税金の減免等)、金融支援(融資の金利優遇等)、法的支援(事業譲渡の際の特例等)を受けることができる制度です。

各申請の締め切り毎に「経営力向上計画」の認定日の期限が定められているため、加点の対象となるためには、期限内に認定を受ける必要があります。

電子申請加点

補助金の申請の際は、郵送または、電子申請(オンライン申請)を選択でき、電子申請加点は、電子申請を行った事業者に加点を行います。

電子申請とは、インターネットを利用して補助金の申請を行うもので、補助金申請システム(J グランツ)を使用します。J グランツは、無料で利用可能ですが、事前に「GビズID」の取得と登録が必要です。種類によって取得に時間がかかる場合があるため、初めて取得する際は、申請に間に合うように余裕をもって準備をする必要があります。

事業承継加点

事業承継加点は、代表者が満60歳以上で、かつ、申請する補助事業を後継者候補が中心になって実施する事業者に加点を行います。各申請の締め切り毎に代表者の満年齢の基準日が定められているため、基準日時点で満60歳以上である必要があります。

また、商工会・商工会議所が作成・交付する「事業承継診断票(様式10)」、「代表者の生年月日が確認できる公的書類」と「後継者候補の実在確認書類」の提出が必要になるため、申請に間に合うように、準備が必要です。

東日本大震災加点

東日本大震災加点は、東京電力福島第一原子力発電所による影響を受け、現在も厳しい事業環境にある事業者に対して加点を行います。避難指示等の対象となった福島県12市町村に所在する事業者、または、新たな販路開拓等に取り組む太平洋沿岸部に所在する水産仲買業者及び水産加工業者が対象です。後者は、申請時に「食品衛生法に基づく営業許可証もしくは届出書(受領印押印済み)」の提出が必要です。

過疎地域加点

過疎地域加点は、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域の経済発展につながる取り組みを行う事業者に加点を行います。「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」の目的は、人口の著しい減少に伴い、地域社会の活力低下、生産機能・生活環境が他地域より低位にある地域に対して、財政措置、行政措置、税制措置を行い、地域の持続的発展を図ることです。対象は、同法に定める「過疎地域」「みなし過疎地域」及び「一部過疎地域」に該当する地域です。

災害加点

災害加点は、福島県沖を震源とする地震により災害救助法の適用を受け、再建が極めて困難な地域に所在する事業者に加点を行います。各市町村が発行する「罹災証明書」または「被災届出証明書」等の公的書類の提出が必要です。

事業環境変化加点

事業環境変化加点は、ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰による影響を受けている事業者に加点を行います。「経営計画書」に、事業環境変化により影響を受けている内容の記載が必要です。

まとめ

小規模事業者持続化補助金には、国の政策的観点から9つの加点項目があります。審査は、公募要領に示される「審査の観点」に沿って加点方式で行われます。政策加点項目に取り組むことにより、採択の可能性が高まります。申請に準備が必要な加点項目もあるため、期限を確認し余裕をもって準備をすすめましょう。