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労務の手続き⑩~休憩を社員個別に与える場合~

労働基準法第34条では、休憩に関する基準を定めていますが、その基準は、休憩の3原則と言われています。この3原則とは、次のとおりです。

  1. 休憩は、労働時間の途中に与えなければならない
  2. 休憩は、一斉に与えなければならない
  3. 休憩は、自由に利用させなければならない

この休憩3原則については、さまざまな例外規定が設けられており、一定の場合には、守らなくてもよいことになっています。

そこで、今回では、「2.休憩は、一斉に与えなければならない」という原則の例外規定を中心に、休憩3原則の例外規定について解説していきます。

休憩を一斉に与えなくてもよい場合

労働基準法第34条2項では、休憩は一斉に与えなければならない、と規定しています。多くの企業が、12時から午後1時までをお昼休みとし、従業員全員が休憩をとります。これが一斉休憩です。「休憩は交替で与えてはならない」とも表現できます。

業種による例外

この規定には例外が設けられており、以下の業種に該当する場合には、法律上当然に休憩を交替で与えることができます。

  • 運輸交通業
  • 商業
  • 金融・広告業
  • 映画・演劇業
  • 通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公署

労使協定による例外

上記の事業に属さない事業を営む事業場であっても、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある時は、交替で休憩を与えることができます。

この労使協定を結んだ場合には、労働基準監督署への届け出は不要です。

この協定の正式な名称は「一斉休憩の適用除外に関する労使協定」といいます。様式は、各都道府県の労働局のホームページでダウンロードできます。記載例も閲覧できるので、参考にしながら、自分の事業場に適した協定書を作成できます。

「休憩の3原則」その他の原則

「休憩の3原則」のその他の原則についても説明します。

休憩は労働時間の途中に与えなくてはならない

休憩は、労働時間の途中に与えなくてはならない、という原則があります。

例えば、所定労働時間が9時から17時までの8時間の場合、休憩時間は45分になります。この45分の休憩は、9時から9時45分までと、16時15分から17時までの時間帯を除く時間に与えなくてはなりません。

このケースで、「9時から9時45分までを休憩時間とし、9時45分から17時45分までを勤務時間とする」「9時から17時までを勤務時間とし、17時から17時45分までとする」といった勤務時間を設定することは法律違反となります。

ちなみに、休憩は労働時間が6時間未満の場合には与える必要がありません。休憩時間が6時間以上8時間未満の場合には少なくとも45分、労働時間が8時間超の場合には少なくとも1時間を、休憩時間とする必要があります。

休憩は自由に利用させなければならない

休憩時間に関するもうひとつの原則は、「休憩時間は自由に利用させなくてはならない」というものです。これは、休憩時間は「労働者が労働から解放されることを保障されている時間」であることを意味します。従って、「昼休み中は電話対応があるかもしれないので、自分のデスクから離れないように」と上司から命令された場合は、休憩時間にはなりません。このケースでは、別途に休憩時間を設けなくてはなりません。

休憩時間の自由利用の例外

ただし、いくら休憩時間に自由に行動できるといっても、昼休みに社員が近所のパチンコ屋でパチンコをしているなどという事態はさすがに問題です。

休憩時間の利用について、事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害さない限り差し支えない、とされており、休憩時間中の外出を許可制とすることは、事業場内で自由に休憩できる場所がある場合には、違法とはならないと解釈されています。

なお、休憩時間の自由利用の原則には例外が設けられていて、以下の事業に該当する事業場では、労働者に休憩時間を自由に利用させなくても違法とはなりません。

  • 警察官
  • 消防吏員
  • 児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者

また以下の施設に勤務する職員で、児童と起居をともにする者は、労働基準監督署長の許可を受けた場合、休憩時間の自由利用は適用されません。

  • 乳児院
  • 児童養護施設
  • 知的障害児施設
  • 盲ろうあ児施設
  • 肢体不自由児施設

休憩付与の例外について

以下の要件に該当する事業場では、休憩そのものを与える必要がありません。

①屋内勤務者30人未満の郵便局で、郵便の業務に従事する者
②運送又は郵便事業における長距離運転業務従事者

勤務形態が似ている職種に、列車内販売員、食堂車従業員がありますが、これらの場合には、休憩付与の適用除外に該当しませんので、手待ちの時間が発生しても、原則のとおり、休憩時間を与える必要があります。

まとめ

労働基準法は、休憩時間についてもさまざまな規定を設けています。労働に関するルールというと、労働時間に関するものばかりに目が行ってしまいますが、労務に従事していない休憩時間に関するものも重要です。

休憩時間に関するルールは、労働基準法で定められていますが、事業場で働く従業員が労働基準法を見る機会は非常に限られてくると思います。就業規則で定めておけば、就業規則は事業場に備え付けるなどして、労働者に周知する義務がありますから、休憩時間に関するルールを浸透させることができます。

事業場の休憩時間に関するルールをはっきりさせておかないと、休憩時間の解釈を巡って大きなトラブルが起こる場合がありますので、十分に注意する必要があります。