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労務の手続き⑳~外国人労働者を雇う時~

少子高齢化に伴い、若くて元気な日本人の労働力は年々減少しています。それを補うような形で、日本で働く外国人の数は年々増加しています。平成30年12月には出入国管理法及び難民認定法等の改正案が国会で可決され、外国人労働者の雇用を拡大する方針へと方向転換が図られました。

 

そういった事情から、今後、外国人を雇用する機会が増加し、外国人の雇用に関する手続きを行うシーンが出てくるでしょう。そこで、今回は、外国人を雇う時の労務の手続きについて解説します。

 

外国人を雇った際の雇用保険の手続き

外国人労働者も、要件を満たした場合には、日本人と同じように、雇用保険の対象となります。日本で合法的に働く外国人で、雇用保険の加入要件を満たす人が対象となりますが、外国の公務員や外国の失業補償制度の適用を受けることができる人は適用除外になります。

 

雇用保険被保険者資格取得届について

外国人を雇う時、その雇用条件が雇用保険の加入基準を満たす場合には、日本人の従業員と同じように、雇用した日が属する月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークに提出する必要があります。

 

外国人労働者を雇う場合の届出書には、在留期間、在留資格、国籍・地域、資格外活動の許可の有無、派遣・請負就労区分の記載等がある点が、日本人の届出書と異なります。届出書の用紙は日本人と共通です。

 

外国人雇用状況届出書について

平成19年10月から、すべての事業主について、外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」のものを除く)を雇用した場合には、当該外国人の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、「外国人雇用状況届出書」によって、管轄のハローワークに報告することが義務化されました。

 

なお、雇用保険の対象となる外国人労働者を雇用する場合には、必要事項を資格取得届に記載すれば、こちらの届出書は提出不要となります。

 

この届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金が科せられます。

 

外国人雇用状況届出書の提出期限は、対象となる外国人を雇用した日の属する月の翌月末日までです。

 

本届出書の様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードによって取得することができます。

 

外国人労働者を雇った場合の労災保険の手続き

労災保険は、事業場に労災保険が適用される限り、外国人労働者は、合法的に働こうと、不法就労であろうと、保険の対象となります。

 

外国人労働者は、お仕事が原因となる病気や怪我の治療代は労災保険から支給されますし、お仕事が原因で死亡したり、障害の状態となったりした場合にも、労災保険から補償金が支払われます。

 

たとえ不法就労であったとしても、労災保険の対象となりますので、保険事由が発生した場合には、労災保険から保険金が支払われます。

 

労災保険の手続きは事業所単位で行われる

労災保険の加入手続きは事業所単位で行われるので、個人の加入手続きはないのが原則です。

 

事業場がすでに労災保険の加入手続きをしている場合には、外国人労働者を雇った際の労災保険の手続きはありません。外国人を新規に雇った場合には、その年度の年度更新の際の確定保険料が概算保険料よりも高くなりますので、増加したその分の保険料をその時に納める形になります。

 

外国人労働者を雇った場合の社会保険の手続き

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届について

外国人労働者の方にも、社会保険が適用されます。したがって、社会保険の加入要件を満たす場合には、その手続きが必要になります。

 

具体的には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を外国人の方を雇った日から5日以内に、管轄の年金事務所へ提出します。

 

アルファベット氏名登録(変更)申出書について

平成24年7月から、外国人についても住民票が作成され、その住民票上の氏名は原則としてアルファベットで表現されることとなりました。日本年金機構でも、平成25年7月以降、これまでのカナ氏名に加え、アルファベット氏名も収録することになりました。

 

このため、被保険者資格取得届出書に、「厚生年金保険被保険者アルファベット氏名(変更)届」を添付します。

 

この届出書の記載事項は、新たに厚生年金被保険者となる方の基礎年金番号、生年月日、性別、在留区分、アルファベット氏名などを記載するだけの簡単な書面です。様式や記載例は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

 

在留資格や在留期間の確認について

外国人労働者を雇用しようとする場合に、最初に行うことは、在留資格や在留期間を確認することです。就労可能な在留資格を有していない、または、在留期間を経過した外国人労働者を働かせた場合には、法律違反により罰せられることがありますので、注意しなくてはなりません。

 

在留資格や在留期間の確認は、外国人が所有している在留カードを見ればわかります。旅券(パスポート)にも、在留資格が記載されますが、入国後に在留資格が変更していると、その変更後の資格は記載されません。在留カードで確認するのが最善の方法です。

 

在留資格とは何か

在留資格とは外国人が日本に滞在できる資格のことで、現在の日本では、出入国管理法及び難民認定法によって、複数の種類の在留資格が認められています。

 

これらの在留資格のうち、留学、家族滞在などは、日本での就労が認められていません。経営、法律、医療などは、在留資格が認められる範囲内で就労が可能です。なお、永住者、日本人の配偶者などは就労に制限がありません。

 

雇用しようとする外国人が、就労に制限のない在留資格を持っている場合や、就職しようとする会社の仕事に関する在留資格を持っている場合は、在留期間が雇用期間を超える限り、雇用して問題はありませんが、就労が禁止されている在留資格を持っている場合や、就職しようとするお仕事とは関係のない在留資格を持っている場合は、採用を控える必要があります。

 

まとめ

現在の日本では、外国人労働者の方にも、日本人と同じように、社会保険や労働保険が適用されますので手続きが必要です。

 

外国人を雇用する際に、最も注意する必要があるのは、在留資格及び在留期間の確認です。これらの確認を怠り、就労資格のないものを就労させた場合、不法労働助長罪に問われます。この罪の罰則は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金ですので、必ず確認しましょう。

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