育児休業等取得者申出書の書き方(記入例つき)
従業員が育児休業を取得すると、さまざまな手続きが必要になります。
そのひとつに「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」(以下、「育児休業等取得者申出書」)を年金事務所または事務センターに提出し、育児休業等を取得した従業員の社会保険料を免除するという手続きがあります。
今回は、この「育児休業等取得者申出書」の概要と書き方について、記入例を参考にしながら説明します。
育児休業等取得者申出書の概要
育児休業等取得者申出書は、以下に挙げる育児休業等について、従業員から申し出を受けた事業主が提出するものです。
①1歳に満たない子を養育するための育児休業
②1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するための育児休業
③1歳6か月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業
④1歳(上記②の場合は1歳6ヶ月、上記③の場合は2歳)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業
簡単に説明すると、①については子が1歳になるまでの本来の育児休業、②、③については一定の要件を満たすことで延長が認められた場合の育児休業、④については会社独自の制度でさらに延長できる育児休業に準ずる休業のことを指しています。
①として提出する場合には「新規」、②、③、④として提出する際には「延長」として提出します。
また、提出書類に記載した終了予定日よりも早く育児休業等を終了した場合には、「終了」としてのこの届出書を提出する必要があります。
なお、届出書の名称が「育児休業」ではなく「育児休業等」となっているのは、法律上の制度ではない上記④を含んでいることによります。
提出時期
この届出書には、育児休業等を取得してから何日までという提出期限はありませんが、育児休業等をしている期間中に提出しなければなりません。
提出先
育児休業等取得者申出書は、事業所の所在地を管轄する年金事務所に持参するか事務センターに郵送します。
紙媒体の提出だけではなく、一定の手続きを行えば、電子申請も認められています。
なお、健康保険が全国健康保険協会(協会けんぽ)のものではなく、健康保険組合のものである場合には、その健康保険組合にも提出する必要があります。育児休業等取得者申出書には添付書類はありませんが、健康保険組合に提出する場合には、添付書類の有無について、その健康保険組合に確認することが必要です。
育児休業等取得者申出書の書き方
育児休業等取得者申出書の書き方について、記入例を参考にしながらポイントを説明します。
記入例とポイント
育児休業等取得者申出書は、該当従業員の個人番号(マイナンバー)や子どもの名前、生年月日などを記入しなければなりませんので、記入にあたっては十分な確認が必要です。
主な項目の意味や、記入するにあたって注意すべきポイントを順番に説明します。
①事業所整理記号
事業所が初めて社会保険に加入する手続きをした際に付与される事業所整理記号を記入します。原則として「01-イロハ」のような数字とカタカナです。
事業所整理記号は、「適用通知書」や「保険料納入告知額・領収済額通知書」などに記載されています。
②事業主の押印
事業主自らが署名した場合には押印は不要です。
③被保険者整理番号
被保険者が就職した時に付与される被保険者整理番号を記入します。
被保険者整理番号は、「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」や健康保険被保険者証(以下、保険証)などに記載されています。
④個人番号(基礎年金番号)
本人確認を行ったうえで個人番号(マイナンバー)を記入するか基礎年金番号を左詰めで記入します。
⑤区分
育児休業等の対象となる子どもが実子である場合には 「1.実子」 を〇で囲み、養子である場合には 「2.その他」 を〇で囲みます。
⑥養育開始年月日(実子以外)
育児休業等の対象となる子どもが養子である場合には、その子の養育を開始した年月日を記入します。
⑦育児休業等開始年月日
育児休業等開始年月日は対象従業員の状況によっても異なりますが、例えば、女性従業員で実子を養育する場合には、育児休業等開始年月日はもっとも早くて子どもの生年月日の翌日から起算して57日目(56日目までは労働基準法による産後休業に該当するため)になります。養子を養育する場合には養育開始年月日を記入します。
このあと説明する「延長」または「終了」 として提出する場合には、前回提出時に記入した育児休業等開始年月日を記入します。
⑧育児休業等終了予定年月日
育児休業等終了予定年月日は、子どもが1歳に到達する日以前の日付を記入します。(「到達する日」は誕生日の前日になりますので注意が必要です。)
ただし、「パパママ育休プラス」に該当する場合には、1歳2か月に到達する日以前の日付を記入します。
「パパママ育休プラス」とは、原則としては子どもが1歳になるまでの育児休業が、両親がともに育児休業を取得する場合には、1歳2か月までに延長される制度です。(2か月分は遅れて育児休業を取得した父または母にプラスされます。)
このあと説明する「延長」または 「終了」として提出する場合には、前回提出時に記入した育児休業等終了予定年月日を記入します。
⑨備考
「パパママ育休プラス」に該当する場合は、「1.パパママ育休該当」を〇で囲みます。
「2.その他」については、記入要領上、特に指示はありません。
⑩A.延長
前回提出時に記入した育児休業等終了予定年月日から、子どもが1歳6ヶ月に到達する日まで、あるいは、2歳または3歳に到達する日まで育児休業等を延長する場合には、上記で説明した各項目も記入のうえ、「育児休業等終了予定年月日(変更後)」を記入します。
⑪B.終了
前回提出時に記入した育児休業等終了予定年月日よりも早く育児休業等を終了した場合には、上記で説明した各項目も記入のうえ、「育児休業等終了年月日」を記入します。
まとめ
従業員が育児休業に入ると、一定の要件を満たせば、雇用保険から育児休業給付金が支給されるものの、社会保険料は大きな負担になります。育児休業等取得者申出書は、育児休業を取得した従業員の社会保険料について、従業員と会社のそれぞれの負担分をともに免除してもらうための届出書です。従業員はもちろん、会社にとっても重要な手続きになりますので、忘れないように提出しましょう。