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書類の書き方

給与支払報告書(総括表)の書き方【記入例あり】

給与支払報告書は従業員が居住する市区町村に提出する書類で、総括表と個人別明細書の2つの書類で構成されています。

今回は、この総括表がどのような書類であるのか、また、記入方法などについて解説します。

給与支払報告書の総括表とは

まずは、総括表がどのような位置付けの書類であるのかについて解説します。

給与支払報告書の表紙にあたる書類

給与支払報告書は、総括表と個人別明細書(源泉徴収票とほぼ同じ内容の書類)という2つの書類で構成されています。

このうち、総括表は給与支払報告書の表紙に当たる書類であり、会社の情報や該当市区町村に何人分の個人別明細書を提出するのかなどを記入するものです。

提出先は市区町村

総括表を含む給与支払報告書は、地方税法により、毎年1月31日(31日が土日祝である年は次の平日)までに、その年の1月1日時点で従業員が居住する市区町村に提出することが義務づけられている書類で、市区町村が従業員の住民税額を決定するためのものです。

なお、源泉徴収票や支払調書などのいわゆる法定調書については所得税法などの法律によって税務署に提出することが義務付けられています。

総括表の記入例・各項目の記入方法

総括表の記入例および各項目の記入方法については次のとおりです。

記入例

総括表は次のような書類で、会社(給与支払者)の情報や報告する人数(個人別明細書の枚数)などを記入するものです。

※総括表の様式は市区町村によって多少異なります。ここでは東京都(23区)で主に採用されている様式で記入例を作成しています。

給与支払報告書(総括表)の記入例

各項目の記入方法

総括表の各項目の記入方法は次のとおりです。

※ここでも東京都(23区)で主に採用されている様式をもとに説明しています。

様式上部の「追加・訂正」について

一度、給与支払報告書を提出したあと、追加で提出する場合には「追加」を、内容を訂正するために再提出する場合には「訂正」を○で囲みます。

様式上部などの※印欄について

様式上部の「※種別」欄や「※整理番号」欄など、※印がある部分には何も記入する必要はありません。

「1 給与の支払期間」

給与を支払った期間を記入します。令和3年度分として提出するのであれば、その前年の「令和2年1月分から12月分まで」となります。

「2 給与支払者の個人番号又は法人番号」

会社の場合は法人番号を記入し、個人事業主の場合は個人番号(マイナンバー)を記入します。(個人番号を記入する場合は左側を1マス空けて記入します。)

「3 給与支払者郵便番号」~「8 連絡者の係及び氏名並びに電話番号」

会社または事業所の情報を記入します。「6 代表者の職氏名印」欄には押印も必要です。

「9 会計事務所等の名称」

年末調整事務やその他関係事務を会計事務所などに依頼している場合には、その会計事務所などの名称、電話番号を記入します。

「10 提出区分」

通常は「年間分」を〇で囲みますが、退職者のみの給与支払報告書である場合には「退職者分」を〇で囲みます。

「11 給与支払の方法及び期日」

給与の支払い方法(月給や週給など)と支払日を記入します。(例)「月給 毎月25日」、「週給 毎週月曜日」など

「12 事業種目その他必要な事項」

事業内容を記入します。(例)「小売業」、「建設業」など

「13 提出先市区町村数」

給与支払報告書を提出する市区町村の数を記入します。

「14 受給者総人員」

給与支払報告書を提出する年の1月1日現在において、給与の支払いを受けている従業員数(合計)を記入します。

「15 特別徴収対象者」~「18 報告人員の合計」

提出先の市区町村に居住する従業員について、特別徴収の対象者、普通徴収の対象者(退職者)、普通徴収の対象者(退職者を除く)の人数を記入して、最後に合計を記入します。

※「特別徴収」とは、事業主(給与支払者)が従業員の住民税を給与から天引きして納付することで、原則として事業主の義務になっています。

※「普通徴収」とは、住民税を従業員自身で納付することで、一定の要件を満たす場合に例外的に認められます。

「19 所轄税務署」

会社または事業所を管轄する税務署名を記入します。

「20 納付書の送付」

納付書の送付を希望するかどうかについて、「要」または「不要」のいずれかを〇で囲みます。

「21 前年の特別徴収義務者指定番号」

前年度に該当市区町村から通知されている「特別徴収義務者指定番号」を記入します。新規に特別徴収を開始する場合など、まだこの番号がないときは記入する必要はありません。

給与支払報告書を提出するまでの流れ

最後に、給与支払報告書を提出するまでの流れを簡単に説明します。

①市区町村から総括表が送付

住民税の特別徴収に関する手続きを従業員が居住する市区町村に行っていれば、12月中にその市区町村から会社名などが印字された総括表が送付されてきます。(市区町村によっては個人別明細書の様式も一定部数、送付してくれるところもあります。)

この市区町村から送付されてきた総括表は、年明けに提出作業に入るまで一か所にまとめておきます。

②年末調整の実施

個人別明細書は源泉徴収票とほぼ同じ記載内容であるため、個人別明細書を作成するためには源泉徴収票が作成できる状態でなければなりません。(一般的には給与ソフトなどで同時に作成します。)

つまり、12月中を目途に年末調整を完了させる必要があるということです。

③個人別明細書の仕分け・総括表等の作成

源泉徴収票とともに作成した個人別明細書を従業員が居住する市区町村ごとに仕分けし、総括表を作成して一式にします。

※特別徴収から普通徴収に変更になる従業員がいる場合には、普通徴収切替理由書も作成して総括表、個人別明細書と一式にします。

なお、総括表や個人別明細書、普通徴収切替理由書の提出部数は市区町村によって異なりますので注意が必要です。(概ねそれぞれ1部または2部必要です。)

④1月末までに従業員が居住する市区町村に提出

最後に、作成した給与支払報告書を毎年1月31日(31日が土日祝である年は次の平日)までにその年の1月1日時点で従業員が居住する市区町村に提出しますが、提出する方法としては次の3種類の方法があります。

・紙媒体(文書)による提出

・光ディスク(CD、DVDなど)による提出

 事前に該当市区町村の承認を受けるなどの手続きが必要です。

・電子申告(eLTAX:エルタックス)による提出

 事前に利用者IDや対応ソフトウェアを取得するなどの手続きが必要です。

なお、平成30年度の税制改正によって、令和3年1月以降に提出する給与支払報告書については、前々年に税務署に提出した給与所得の源泉徴収票の枚数が100枚以上(改正前は1,000枚以上)である場合には、光ディスクによる提出(この場合、承認を受ける必要なし)またはeLTAXによる提出が義務付けられていますので注意が必要です。

まとめ

給与支払報告書は、総括表と個人別明細書の2つの書類で構成されていますが、総括表は給与支払報告書の表紙に当たる書類です。

総括表の様式は市区町村によって異なりますので、市区町村から送付されてくるものか、該当市区町村のホームページからダウンロードしたもので作成するようにしましょう。