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育児短時間勤務制度とは?導入手順をわかりやすく解説

「育児休業が終わって、ようやく職場復帰!でもすぐにフルタイムで働くのは無理かもしれない…」

そんなときに利用できるのが「育児短時間勤務制度」です。この記事では、育児短時間勤務制度を導入する手順について説明します。

育児短時間勤務制度とは?

育児短時間勤務制度とは、3歳未満の子を育てるために所定労働時間を短縮することができる制度です。

利用できる労働者

育児短時間勤務制度は、次に該当する労働者が利用できます。

  • 3歳に満たない子を養育している
  • 1日の所定労働時間が6時間以下ではない
  • 短時間勤務制度が適用される期間に育児休業をしていない 等

また、「入社から1年が経過していない」「1週間の所定労働日数が2日以下」といった労働者については、労使協定で定めれば制度から除外することができます。

育児短時間勤務制度を導入する手順

育児短時間勤務制度を取り入れるには、どのようにしたらよいのでしょうか。順を追って説明していきます。

手順①:制度を理解する

まずは、総務人事担当者が「育児短時間勤務制度(「育児のための所定労働時間の短縮措置」)」についてよく把握してください。対象労働者の範囲、短縮できる時間、労使協定で除外できる労働者、社会保険の特例など、しっかりと調べ、理解しておきましょう。こうしたベースとなる知識がないと、適切な就業規則を作成することができないばかりか、必要な社会保険手続もままならず、労働者からの質問に答えることも難しくなります。

手順②:就業規則を作る

制度を理解したら、次は会社で取り入れるルールを決めましょう。手順①で把握した法令に違反することのないよう、具体的なルールを作っていきます。

対象となる労働者、労使協定により除外可能な労働者、制度を利用したいときの請求方法、短縮できる労働時間のバリエーション、制度利用時の賃金・賞与の扱い、フルタイムに戻る際の段取りなど、決めておくことはたくさんあります。特に賃金についてはトラブルのもとになりやすいので、明瞭なルールにするよう心掛けてください。そしてルールが決まったら、そのルールを就業規則の文言として読みやすくまとめてください。

また、常時10人以上の労働者を使用している事業場は労働基準監督署に就業規則を届け出る義務がありますから、届出も忘れないようにしましょう。

育児休業関連の法律は改正が多いため、定期的に制度をチェックし、必要があれば就業規則の内容も改定してください。

手順③:to doリストを作る

育児短時間勤務制度のためのto doリストを作っておくことがおすすめです。特に社会保険の届出などは見落としやすいので、該当者が出たときに適切に制度を利用できるよう、会社のするべきことを書き上げておくと安心です。そして、こうしたリストも作りっぱなしにせず、法改正に合わせてメンテナンスをしていく必要があります。

手順④:労働者への周知

就業規則が出来上がったら、労働者への周知を行いましょう。どんなに良い制度を作り上げても、労働者がその存在を知らなければ活用することはできません。

また制度をよく周知することで、制度利用者以外の労働者の理解も得やすくなり、制度利用者へのハラスメント防止にもつながると考えられます。

まとめ

育児短時間勤務制度の導入についてご説明いたしました。いかがでしたでしょうか?

この制度は“労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置”、つまり仕事と子育ての両立を応援するためのものです。こうした制度を利用しやすく整えることで、労働者は出産・育児によるキャリアの中断を回避することができ、会社側もそれまで育てた大切な人財を失わずに済むでしょう。